乱高下を繰り返すも上昇基調で推移
金(ゴールド)が上値追いの展開となってきました。本誌2019年11月号では、「1600ドル台を目指すか」と述べましたが、既に同水準を上抜き、1770ドル台まで上昇し、8年ぶりの高値をつけました。また、日本国内の金小売価格は、40年ぶりの高値6100円台まで上昇しています。昨年から引き続き、多くの要因がゴールドの価格を後押ししています。今回は、騰勢を続けるゴールドの上値を考えていきましょう。
まずは、年初からのゴールドの値動きをみていきましょう(チャート①参照)。今年は1517ドル付近から取引が始まりました。1月3日に米軍がイラクでイランのソレイマニ司令官を爆殺すると、市場はリスクオフとなり、安全資産としてゴールドと円、米国債が買われ、ゴールドは節目の1550ドルを突破しました。同月8日にはイランがイラクにある米国軍基地に対し報復爆撃を実施し、2013年3月以来の1610ドルまで水準を引き上げました。
その後、株高を背景に1536ドル前後まで軟化する場面がありましたが、新型コロナウイルスの災禍が広がり、株価が下落すると、2月18日には1600ドル台を回復、同月24日には1688ドル台まで急伸しました。しかし、同月28日にNYダウが4000ドル超の史上最大の大暴落を演じると、市場は“Sell Everything”となり、1565ドルまで急落しました。3月に入り、3日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が0.50%の利下げを実施すると、ゴールドは1646ドルまで急騰、その後、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、9日の朝には1702ドルまで水準を引き上げました。
ここで起きたのが、石油輸出国機構(OPEC)プラスの協調減産体制の崩壊です。これを受けてNY原油は暴落、ダウも2000ドル超の下落となり、ゴールドも1659ドルまで下落しました。そして、3月12日に、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスがパンデミックとなったと宣言すると、市場は全資産売りとなり、16日には1452ドルまでの暴落となりました。
ただ、ここから米連邦準備制度理事会(FRB)のゼロ金利政策や無制限の資産買い入れなど、世界的な緩和政策が実施されると、すぐにゴールドは買い戻され、パンデミックが宣言された約1か月後の4月13日には、1700ドルを回復し、年初来高値となる1722ドルまで上昇。その後、1670~1750ドル前後のレンジ取引となりましたが、6月22日にこのレンジから上放れると、1770ドル台まで水準を引き上げています。
超緩和政策
現在、ゴールドは上値追いの展開となっていますが、これには大きく三つの要因があります。まずは、各国の超低金利政策です。特にFRBのバランスシートは、7兆ドル以上まで拡大しています。FRBの超緩和政策がもたらすものはドルの減価、インフレ懸念と、ゴールドにとっては買い材料です。さらに、米債利回りの低下を招くことから、金利を生まないゴールドが米債に対する代替投資としても妙味が増します。
地政学リスクの高まり
加えて、地政学リスクの高まりです。米中の覇権争い、新型コロナウイルスによる世界的な景気後退、イラン問題、ブレグジット、中印問題、中台問題、香港問題など、現在、多くの問題が世界中で勃発しています。このことも、セーフヘイブンとしてゴールドに資金を向かわせています。
かねてより、各国中銀はドルの減価もあり、金準備を積み増していましたが、ここ数年ロシアなどを中心にその動きが加速しています。また、通貨は国の信用という裏付けがあって初めて価値が出ますが、信用がなければただの紙切れです。しかし、ゴールドは実物資産であり、その物自体に価値があり、換金性が高いです。このことは個人投資家にとって大きな魅力になっているでしょう。
投資主体の変化
また、このところゴールドの投資家層に変化がみられます。これまでは、短期筋が多かったのですが、最近は長期保有を目的とした投資家のゴールド購入が増えているようです。最大のゴールド上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの残高も、6月26日現在で1178・90トンと、増加傾向が続いています。
そして、世界の富裕層への投資助言を行っている欧州のプライベートバンクが、ゴールドの購入を進めているとの話も聞かれます。これまで株を中心に助言を行っていましたが、今の超緩和政策でも株価が反応をしなくなったときに、資産として高値を維持できるのはゴールドと考えているようです。
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1年後には2000ドルも
ここからの見通しですが、既に1770ドル台まで上昇しており、1800ドル台乗せは時間の問題でしょう。また、新型コロナウイルスのワクチンすらできていない今、コロナとの共存は長引きそうです。スペイン風邪のケースでも、本当に多くの死者を出したのは第2波でした。新型コロナウイルスの災禍が、一段と広がる可能性は十分にあります。よって、超緩和政策はまだしばらく続くでしょう。1800ドルは単なる通過点であり、2011年9月の高値1920ドル、さらには一部の証券会社が上値目標とした1年後の2000ドルも現実味のある数値といえるでしょう。
※この記事は、FX攻略.com2020年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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