ドル円予想レンジ 116.50-119.20
「Confused by China’s Yuan? It’s Intentional(人民元相場の迷走、実は当局の思惑通り)-。これは1/15の米経済紙見出しだ。昨年12月頃から中国人民元下落が続くなか、更なる先安観が拡がりつつある。では何故、米紙見出しは当局の思惑通りとしたのだろうか。
中国政府が人民元安を望む理由
中国政府が人民元安(通貨安)を志向している、と推測する理由は簡単だ。米連邦準備理事会(FRB)の利上げを機に、国内の過剰設備と過剰信用の調整が景気の後退を強めることから、ある程度の人民元安を必要と考えているフシが伺えるからだ。特に新年明けから対ドルでの人民元基準値引き下げは、中国政府の元安容認、とした証左で読み取られた格好となる。
人民元に踊らされる円
では、人民元安は続くのか、円は踊らされ続けるのか。今後のポイントは1点。中国政府は、人民元を国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権に組み入れ、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立等、元の国際化に努めている。しかし、習近平国家主席が、2月の旧正月、3月の全国人民代表大会を控え、個人投資家や企業、機関投資家による中国市場からの更なる資金引き揚げを看過するか否かだ。
1971年のニクソンショック、1985年のプラザ合意のようなドル切り下げ宣言同様、“矜持の中国”が果たして元切り下げ宣言をするだろうか。一部報で日中での外交関係悪化を背景に、2013年9月の期限後、未更新だった通貨スワップ協定再締結に向けた交渉が明らかになった。これは実質、円が人民元を補完、支援する格好となる。3兆ドル超の外貨準備を抱えている中国のなりふり構わぬ意向が強まれば、安倍政権の外交武器となるのではないか。
また、原油価格低下の顕在化によって実質賃金と消費の上昇が脅かされている黒田日銀総裁にも“渡りに船”となるのではないか。中国からの輸入額が高水準を維持する中で、人民元安・円高を退けられれば、物価基調改善に自信を貫く黒田総裁は、政治による追加緩和圧力を押し返すものと推考している。1/19北京時間午前10時(日本時間午前11時)発表の中国10-12月(第4四半期)国内総生産(GDP)<市場予想6.9%>は、その試金石となりそうだ。
ドル円下値焦点は1/12、14安値圏117.21-28。下抜けて1/11安値116.67、昨年8/24安値116.05。上値焦点は118円台後半抜け1/8高値118.95。超えれば本年高安の61.8%戻しの119.02、1/6高値119.18が視野となる。
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ドル/円は資源価格や中国市場の動きに左右され、上値の重い展開が続く。
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