トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
トランプ政権誕生でマーケットは大きな変化が生まれています。トランプ氏は大幅減税と財政支出拡大を公言しておりますが、具体的な経済政策が固まらないうちに、長期金利、株価、ドルが上昇するご祝儀相場になっています。さてこの相場の落とし所は一体どこにあるのでしょうか。トランプ相場を考えてみたいと思います。
短期的にはロングでついて行くマーケット
米ドル/円は109円台へ突入しており上昇は止まりません。米10年債金利が急上昇しているため、当然といえば当然ですが今のマーケットは「金利本位制」が鮮明となっており、米10年債が高値で推移していく限りドル買いシナリオで問題ないように思っています。
また、注文を見てみるとショートカバーが圧倒的に多く、売り目線の参加者はこのマーケットについていけていないようです。109円台ではさらにショートポジションが積みあがっており、まだまだ上値余地がありそうに見えます。短期的には素直にこの上昇トレンドの波に乗っていくべきで、リバウンド狙いのショートも可能ではありますが、超短期にとどめておくのが無難でしょう。
トランプリスクは消えたのか
短期的にはこのブル相場について行くことができますが、今後はどうでしょう。
トランプ氏は大幅減税のほか、インフラ投資を前面に打ち出し、民間投資に10年間で1兆ドルのインフラ投資を予定しており、そのために財政支出拡大と言われております。出来る出来ないは別としても「景気拡大→金利上昇→ドル上昇」のシナリオで今のマーケットが動いています。
しかし、金融緩和派のトランプ氏は自らを低金利人間と呼ぶほどです。FRBの利上げ路線を否定しており、ドル高はお気に召さない一方でこれまでの発言から円安を容認するとも思えません。そろそろ関係者からはドル高けん制発言もありそうですし、落とし所は模索しておかなくてはなりません。
米雇用は完全雇用状態で、12月利上げも90%が織り込まれており、材料出尽くし感も否めません。一つでも悪材料が出てしまうとオーバーシュートしているだけに一気に崩れる恐れもある局面でもあります。山高ければ谷深しの相場になる可能性は高く、ロングでついて行く場合もストップはタイトに入れておきます。
テクニカル面でも110円を試す展開
テクニカル的にも、米ドル/円の立ち位置は改善されています。200日移動平均の106.50円(黄線)、7月の高値107.50円(白ライン)を明確に上抜けており、ここからは心理的節目となる110.00円を目指す展開が予測されます。現水準に主だったレジスタンスはなく、動意がつけば簡単に抜けてきそうな地合です。
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