【来週の米ドル/円予想レンジ】→ 102.50-105.80
「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」-。
これは日銀法第4条である。日銀は7/29の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切った。7/18週号で指摘したが、4/28の黒田総裁発言通り、1月のマイナス金利策導入効果の見極めに半年以上掛けなかったことになる。
政治に配慮するも満額回答を要求する市場
追加緩和の理由を推考するなら、安倍首相が8/2に経済対策を閣議決定し、8/3に内閣改造の意向を示したことへの政治的配慮となる。新体制でアベノミクスの一層の加速に寄与する格好となろうか。
しかし、市場が百家争鳴した緩和期待には満額回答とはなっていない。成長支援資金供給・米ドル特則の拡大や、米ドル資金供給オペの担保となる国債貸付制度新設決定は、ドルの調達コスト低減や経済活動支援、金融システム堅持が目的であり、“円売り”として飛びつくには程遠いイメージだ。
日銀緩和の賞味期限と今後のテーマ
しかし筆者は声明内容(金融緩和の強化について)から市場対話にも配慮した面を感じた。それは最終項目で次回金融会合(9/20-21)において物価動向と政策効果を総括検証するとした点である。検証結果次第で更に追加の金融緩和策も、とした匕首(あいくち)を胸元から覗かせたのだ。無論、追加緩和カードを一旦切ったことで矢継ぎ早に次の一手を示すかは微妙だが、想像を膨らませる文面だ。“永久債発行”まで期待を高めた円売り派への配慮か。債券発行管轄の財務省と日銀の協議・連携強化が必須であることから、市場に“満額回答(円売り材料)”への猶予を求めた格好とも読めるのだ。
前号で推考したが、11月米大統領選挙を控え、両候補共、排他的・保護主義的な主張を更に強める可能性から、ドル高(円安)に寛容な姿勢を見せるとは思えない。FRBは政治・米大統領選に配慮して、金融政策の変更をより慎重にすると考えられる。となると、今回の日銀緩和の賞味期限がポイントとなる。8月第一週は週末に米雇用統計。以降はブラジル・リオ五輪や甲子園高校野球開会式を控え、本格的な夏休みの入り口で市場参加者減、上下圧力減衰も想像されるタイミングとなる。
米ドル/円上値焦点は日足一目均衡表雲の帯(103.637-105.048)を念頭に7/29高値105.805、7/27高値106.535が期待値。下値焦点は7/29追加緩和決定直後の安値102円半ば圏。最大リスクはヘリマネ論者・バーナンキ氏・黒田総裁会合のあった7/11安値100.55と推考。
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日銀政策決定会合を受けドル/円は103円台に。米雇用統計を来週に控え今後の行方は?!
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