過去5回にわたりお届けしたフォーメーション分析についての解説も、今号で最後となります。これまでにフォーメーション分析の基礎から応用、そして実践的な活用方法をしっかりと学ぶことができたと思います。今回は総集編として、フォーメーション分析における「ダマシの回避方法」をマックス岩本さんにレクチャーしてもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです
【フォーメーション分析を理解する[マックス岩本]】
・その1|トライアングルフォーメーション(三角保ち合い)とは
・その2|リバーサルフォーメーションとは
・その3|ダブルフォーメーションとは
・その4|コンティニュエーションフォーメーションとは
・その5|リバーサルフォーメーション(スパイク、ソーサー)とは
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パターンを見誤るとダマシに遭う可能性も
前号では、発生頻度こそ高くはないものの、確認された際にはトレンド転換の信憑性が高まるソーサーならびにスパイクフォーメーションについて解説しました。これまで5回にわたって解説してきたフォーメーション分析ですが、いよいよ今回が最終話です。総集編となる今回は、「すぐに実践できるダマシの回避方法」をテーマに、フォーメーション分析の活用時の注意点について解説して参ります。
これまでに解説してきたフォーメーション分析は、トレンドの終盤に確認されるものとトレンドの中段に確認されるものに大別され、発生局面や発生頻度にこそ違いはありますが、どれも市場参加者の心理の変化とパターン完成時に信憑性の高い方向を示唆するという点では共通です。
これらのチャートパターンは、1枚のチャートを対象に時間軸に際限なくトレンドの出発点を見いだすことができるため、初心者トレーダーから中上級者トレーダーに至るまで、今なお多くのトレーダーに愛用されています。しかし、その取っ付きやすさ故に客観性を欠いた見方をしてパターン完成前に早仕掛けをしてしまったり、冷静に見ればチャートパターンに見えない局面にもかかわらず主観的視点からパターンを見いだしてしまったりして、結果損切りになってしまったという苦い経験はないでしょうか。
そこで今回は、フォーメーション分析の代表格のトライアングルとヘッドアンドショルダーズを取り上げ、具体的なダマシの回避方法について解説していきます。
方向性をつかむには大局的な視点が重要
チャート①はポンドドルの30分足チャートです。きれいな逆N字を描く下落トレンドからトライアングルフォーメーションを形成すると、青丸のポイントで実体ベースもしくは終値ベースで上昇トレンドラインを割り込む場面がありました。この分析手法を用いた場合には、積極的にショートエントリーしていきたい局面です。しかし、結果はご覧の通り下ブレることなく反発、下落トレンドラインを上抜けるとそのまま上昇トレンドへと移行しています。
もしこの場面で売っていたとすれば、ロスカットを余儀なくされた局面です。このような場面でエントリーし、悔しい思いをした経験はありませんでしょうか。もちろん、上昇トレンドラインを割り込んだ後の下値動意が限定的であったことが確認された時点で、早期に売りポジションを手仕舞い、後の上ブレ局面時にロングで入り直せば良いじゃないか? と思われる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、ここで考えていただきたいことは青丸のポイントで売ることが果たして正しい判断なのかということです。ちなみに、私はこの局面でのショートエントリーは見送ります。
その理由はチャート②にあります。これは先ほどの局面を少し大きな視点で捉えたポンドドルの4時間足チャートです。30分足チャートでご覧いただいた局面は真ん中にある黒枠のところ。いかがでしょうか。実は少し大きな視点で見ると、30分足で確認された「トライアングル」はさらに大きな「トライアングル」に内包されていたのです。そして、4時間足で見たときの保ち合いに入る前の方向性は上昇トレンドでありました。これらを考慮すれば、30分足でのショートや4時間足の青丸でショートエントリーすることがダマシとなる可能性が高いこと、何より赤丸のポイントで買っていくことが優位性のある売買判断であることが理解できると思います。
では続いてチャート③をご覧ください。こちらはポンド円の15分足チャートにヘッドアンドショルダーズボトムが確認された事例です。一定期間にわたって続いた下落局面から同チャートパターンに移行し、ネックラインを突破した局面では急上昇しているのが確認いただけるのではないでしょうか。なお、この事例は先程とは異なり、ダマシに遭い損失を被ってしまうものではありません。しかし、これにも注意すべきことがあります。それではチャート④をご覧ください。
こちらは先程の局面を少し大きな視点で捉えたポンド円の4時間足チャートです。15分足でご覧いただいた局面は黒枠のところです。いかがでしょうか。実はこちらは大きな視点で見たときには、ヘッドアンドショルダーズトップが確認された後の、ネックラインにかけての揺り戻しの局面だったのです。もちろん、15分足で短期的に買っていく分には問題ない局面ではありましたが、近視眼的な見方から中期的にポジション保有をしてしまった場合には、その後どうなったかはチャートの後半部分を見れば明らかでしょう。
フォーメーション分析を活用し、マーケットから信憑性の高い方向性を見いだすためには、近視眼的な見方は禁物です。自分以外の市場参加者が何を思い、どんな売買判断を下す可能性があるかということを常に考え、客観的視点を持ってトレードすることがフォーメーション分析を極める秘訣です。
※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです
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