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週刊FXシナリオ|ドル売り止まず、109.86まで安値更新[阪谷直人]

ドル売り止まず、109.86まで安値更新(8/4 6:14)

昨日ドル円は、NY時間にドル売り再燃でした。 

東京時間は、今日発表の7月米雇用統計を控え、110.60水準での横ばい推移と動意薄でしたが、NY時間に入り、先ず、7月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(総合)が53.9と予想の56.9を下回り、昨年8月以降ほぼ1年ぶりの低水準に落ち込んだ事で、一時110.11まで下落。

その後、NY時間の終盤、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が「モラー特別検察官はロシア問題調査で大陪審を設置する」と報道した事で、リスク・オフの円買いが先行し、再度ドル売りで一時109.86まで下落。 

これを受けて、米10年債利回りは、前日比0.05%低い2.22%まで低下。

ですが一方で、米国株式市場は、NYダウは前日比8.70ドル高の22024.94ドル、これで8日連続しての高値更新でした。ハイテク株の比率が高いNASDAQ指数は同22.31ポイント安の6340.34と、まちまちでした。

 

ポンドが急落、英国利上げ観測後退で(8/4 6:12)

英国中央銀行(BOE)が昨日開催した金融政策決定会合で、政策金利を過去最低の現行の0.25%に据え置く事を決めました。これは市場の予想通りの結果で、資産買取プログラムの規模も4350億ポンドで維持としました。 

前回会合に続き2名の委員が0.25%の利上げを支持して、6対2で政策を決定。しかし市場の一部には、利上げ支持が3名の委員に増えるのではとの憶測もありました。

今回のポイントは、英中銀が同時に発表したインフレ報告です。

「2017年のGDP見通しを1.9%から1.7%へ下方修正」

「1年後のインフレ率は2.58%、前回は2.64%」
「2年後のインフレ率は2.19%、前回は2.20%」
「3年後のインフレ率は2.22%、前回は2.26%」

とGDPやインフレ見通しを下方修正した事です。

成長見通しが下方修正されたほか、賃金も下方修正され、ハト派寄りと市場はとらえ、加えてその後の会見で、カーニー総裁が「経済の成長は依然短期的に停滞している」と指摘した事で、年内の英利上げ観測が大きく後退し、ポンドは一時1.3158まで急落。

NY時間に入ってもポンド売りが続き、一時1.3113まで下落し、7月31日来の安値を更新。その後、1.3155まで戻したものの、買いは続かず1.3138で引けました。

 

ドル円は方向感のハッキリしない中間波動・もみ合い相場(8/3 6:32)

昨夜NYではドル売りが一時再燃し110.98から110.29まで下落し日中安値を更新し、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスも低下、一時92.548と昨年5月3日以来の安値を付けました。

週次在庫統計発表直後に原油価格が下落し、トランプ大統領が対ロシア制裁強化法案に署名したとの報道で、警戒感から安全資産としての米国債買いが強まり、米10年債利回りは2.28%から2.24%まで低下し7月21日来の低水準となった事などが背景です。因みに引けは2.26%まで戻しています。

その後、NYダウが前日比+52.32ドルの22016.24ドルで引ける米株の強さから、ドル円は110.77まで戻して引けています。トランプ政権の先行き不透明感からのドル売り先行という市場の地合いは依然強いものの、下値では買いも厚くなりつつあり、一方的なドル下落ともなりきらない、行って来いの展開になりやすく、方向感のハッキリしない中間波動・もみ合い相場に入った様子です。 

それでもNYダウの22000ドル乗せは更なる上昇への通過点と見ます。好調な企業決算が相場を押し上げ、昨日はアップルの好決算が寄与しました。世界経済、米経済指標は良好な一方で、FRBの引き締め姿勢はハト派的なことが市場・投資家の心理を悪化しにくくしているからです。 市場はトランプ大統領が掲げる政策が2018~2019年に後ずれすることをすでに織り込んでいて、早期に実現するとはみてはいません。

ただトランプ政権が税制改革を進めるも、現在とん挫している医療保険制度改革(オバマケア)の見直しで混乱が見られれば、8月~9月にいずれ利益確定の動きから調整が入ると見ますが、あくまで一時的な下げと予想します。 

昨日はセントルイス地区連銀のブラード総裁は、FRBが米利上げを更に行えばFRBが掲げる2%のインフレ目標達成を阻害する恐れがあるとして、追加利上げに反対する姿勢を表明、クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、足元のインフレ鈍化に過剰反応すべきではないとし、9月19・20日のFOMCまでに入手するデータを注視すると述べました。インフレ率の低迷に悩むFRBの現状を表しています。

 

ユーロは徐々にドルに対する受け皿としては終焉の時期を迎えつつあるのでは(8/2 5:53)

ユーロ圏各国の10年物国債利回りは昨日1日、総じて5~6bp低下しました。ECBが近く利上げすることは無い、利上げをするにしてもそのタイミングは当分先の事になるとの見方が拡がりつつあり、利回りは6月末の高水準から戻ってきています。この理由には、ここ暫くのユーロ高傾向で、ユーロ建て資産の投資妙味が総じて増していることも大きく影響していると見ます。 

昨日発表された第2四半期のユーロ圏GDP(速報値)は、前期比0.6%、前年比2.1%と、それぞれ増加し、いずれも市場の事前予想と一致しました。 第1四半期GDPは前期比0.5%と、これまでの0.6%から下方修正。 

ちなみに欧州委員会は5月に、ユーロ圏の2017年の成長率は1.7%、2018年は1.8%となるとの見通しを発表しましたが、欧州委のモスコビシ委員(経済・財務担当)は今回のGDP統計を受けて、「欧州委は見通しを上方修正する可能性がある」と述べました。

また、国際通貨基金(IMF)は前月、ユーロ圏の経済成長率見通しについて、2017年は1.9%、2018年は1.7%とし、前回見通しをそれぞれ0.2%ポイント、0.1%ポイント引き上げました。EU統計局はユーロ圏の第2四半期GDP改定値を8月16日に、確報値を9月7日に発表する予定で、要注意です。

この様に、ユーロ圏経済は上半期を非常に健全な状態で終えました。下半期も堅調にこの成長は継続すると想定されます。

 一方でユーロ圏のコアインフレ率は、徐々に上昇してきていますが、未だECBの設定する2%弱というターゲットを下回っていて、実体経済が堅調に推移しているにも関わらず、インフレ率が依然として目標を下回っています。理論的には、労働市場の引き締まりがいずれ賃金上昇となってインフレ率に波及すると期待されるものの、その通りとなるかどうかはわかりません。市場は、この堅調な実体経済を既に織り込み済みで、この後は目標をクリアできないインフレ率を織り込む番です。

 ユーロドルは1.18を難なくクリアし、引き続き底堅い展開が予想されますが、このユーロ高は、主にドル安の裏側であり、ユーロロングの積み上がりもあり、徐々に米ドルに対する受け皿としては、買いのクライマックスが近いものと想定します。

 

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トランプ政権の混迷が拡大で、ドル売り地合い継続(8/1 7:26)

トランプ政権は、米議会において米医療保険制度改革(オバマケア)を廃止する法案を可決できないままでいます。加えて、ホワイトハウスでは報道官の辞任や、大統領首席補佐官の更迭と、政治的な波乱が相次いでいて、政権運営は混迷を一段と深めています。  

 NYタイムズによると、先日ホワイトハウス広報部長に指名されたスカラムーチ氏が解任されると報道しました。スカラムーチ氏は21日に任命されたばかりなのですが、スカラムーチ氏が任命された事で辞任したプリーバス前首席補佐官の後任として就任したジョン・F・ケリー氏が、スカラムーチ氏の解任を要請したためだとしています。

スカラムーチ氏が指名されたことで、スパイサー氏も辞任している事もあり、どう見てもトランプ政権は混迷を深めています。一部にはテイラ-ソン国務長官も政権運営に不満を述べているとの報道もあり、迷走している政権運営に対し、市場の懸念が深まっていて、ドルの全般的な売りに繋がっています。

昨日7月31日はNY時間に、シカゴ購買部協会景気指数は市場予想より若干弱く、中古住宅販売保留件数指数は市場予想よりも強く、前回発表も上方修正されました。しかし今週は週の後半に重要指標の発表を控えているので、市場の反応と動きは限定されました。

ドル円はNY時間に、1カ月半ぶりの低水準、110.22まで値を下げました。ホワイトハウスのスカラムチ広報部長の解任により米政治の先行き不透明感が強まり、月末のポートフォリオ調整を背景にドルが売られた格好です。

そんなドルが弱い地合い中でも、FRBの路線は規定路線から外れることはないとの市場の見方に変化はありません。FRBはインフレ率が低迷する中でも、向こう数カ月でバランスシートの縮小に着手する姿勢を示していて、今週発表される一連の米経済指標に余程の大きな予想外の動きがない限り、その規定路線は実行されるものと想定しています。

市場は

(1)FRBの9月のバランスシート縮小、12月の米利上げを織り込んでいる一方で

(2) トランプ政権の相次ぐ政策運営の失態がドル売りを先行させています。

(3) ただ、連日のようにNYダウ株式市場が史上最高値を更新していて、

「株高」と「ドル安」が同時進行している相場展開に、強い違和感を覚えます。ですので、今後の市場の巻き戻しの動きに要注意です。

 

ドル円、先週と今週のポイント(7/30 7:55)

先週は驚きのドル売りのしつこさです。

(1)25・26日のFOMCに於いて全員一致で政策金利の据え置き、「比較的早期」でのバランスシート正常化開始が決定され、インフレ動向や債務上限引き上げ問題次第ではこれまで織り込み済みの9月FOMCから10月以降に先延ばしの可能性が示唆される。また、「インフレ動向を注視する」という表現が、FRBのインフレ鈍化への警戒感とハト派的だと受け止められる。

(2)トランプ大統領のロシアゲート疑惑。

(3)ムニューシン財務長官が為替操作国への厳格な対応に言及。

(4)米上院でのオバマケア廃止・修正法案が可決に至らずトランプ政権の政策実行への不確実性に対する懸念が高まる。

ほぼ全てドル売りの材料で、ドル円は112.19から110.54まで下落、ドルは全面安の展開となりました。

11日高値114.49からの下げが実はまだ終わっていなかったと見るべきで、このまま25日の陽線が否定されると108水準への展開となります。

24日の寄引同事線、25日の大きめの陽線で、「一本上に出た」と見たのですが、誤ったようです。

その後の26日、28日の大きめの陰線で下押し圧力が強く、前回安値の24日安値110.61を28日に安値更新して110.54まで下押しし、下値模索の展開で108を意識しています。

それでも日・米の各中銀による金融政策の方向性の差から、円キャリートレードは継続と見ます。見るのですが足元の地合いはあまりにもドル売り圧が強く、テクニカルに見ても一旦は108水準への下落がありそうです。

このまま中心値「111.50」を回復できないという事は、一旦108水準まで押しが入ってもおかしくありません。ですが逆にその方が、このままドル高となってしまうより、その後しっかりとしたドル高トレンドに成り易いです。谷深ければ山高しです、つまり押しが強ければその後のV値も高くなる、という意味です。

今週の注目は、

(1)8月1日の6月米個人消費支出(PCE)です。
25・26日のFOMCでインフレ動向を注視するとして、インフレ鈍化への警戒感が示されました。そのため、FRBのインフレ指標である6月米PCEの価格指数に注目です。5月は前年比+1.4%まで伸び率が低下しています、低下が続く場合にはドル 売りとなるでしょう。

(2)8月4日の7月米雇用統計。

(3)やはり8月4日の6月米貿易収支。
今、足元でトランプ政権の日米貿易不均衡是正圧力が話題の中、貿易不均衡是正に絡んで対日貿易赤字にも要注目です。

(4)勿論、ヘルスケア法案、とそれによるトランプ政権の経済政策遂行能力への懐疑的な見方の高まり。

(5)債務上限引き上げ問題、ロシアゲート疑惑、朝鮮半島を巡る地政学リスク。

です。

(7/30 7:55)

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