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週刊FXシナリオ|インフレ率が上昇しない米経済(9/1 10:15)[阪谷直人]

インフレ率が上昇しない米経済(9/1 10:15)

8月30日発表の第2四半期の米GDP改定値が年率換算で前期比3.0%増と、速報値の2.6%増から上方改定され、市場予想の2.7%増を上回り、2015年第1四半期以来の、2年超ぶりの大幅な伸びとなった事で、ドルは110.67まで上げ幅を広げました。

その上方修正の背景は個人消費と設備投資の底堅さで、米国内需が基調としてほぼ3%の成長に沿っている一方で、供給サイドにその成長を支えるだけの力がないと懸念される中、米国のインフレ率の上昇を支えて来るのではと想定されました。

しかし昨日発表の 個人消費支出(PCE)価格指数は、前年同月比で1.4%上昇と2015年12月以来、約1年半ぶりの低い伸びで、この指数は過去5年間、FRBが目標とする2%を下回り続けています。

7月の消費支出統計で物価指標が依然として低い伸びに留まり、低調な数字が続いていたので、今回は小幅な上振れがあると想定されていたのですが、やはり引き続き低い伸びでした。

結果、米国債利回りは低下傾向で、米10年債利回りは前日比0.02%低下の2.12%でした。

米10年債利回りは、昨年11月以降の水準近くに低下しているので、本日の8月米雇用統計を控え、利回りの低下幅は小幅であったのかも知れません。本日の8月の雇用統計の見通しは、非農業部門雇用者数が18万人増と予想されていて、統計中の賃金指標にも注目です。

インフレ率が鈍化継続の中、FRB高官からは米利上げに対して慎重姿勢が示される公算は大きいと想定します。

つまりFRBは9月理事会で米利上げを見送り、バランスシートの縮小計画にのみ議論を集中するという織り込みが強まるでしょう。本日の雇用統計のインフレ率の内容によっては、FRBが12月に利上げを行うとの見方が一段と弱まりそうです。それはつまり、もう一段のドル安の進行を意味します。

CMEのフェドウォッチによると、金融市場が織り込む12月米利上げ予想確率は31%と、先日の35%から低下してきています。

一方で、8月の米雇用統計が労働市場の拡大を確認する場合には、消費の一段の拡大、米経済成長につながると織り込まれ、また、強い雇用が遅行指標として知られる賃金の伸びを、今後加速させる可能性に注目が集まり、やがてインフレ率の上昇、年内追加利上げが正当化される可能性が強まると想定します。

因みに8月の市場予想は以下の通りです。

・失業率が4.3%、7月は4.3%
・非農業部門雇用者数が前月比+18万人、7月は+20.9万人
・平均時給が前月比+0.2%前年比+2.6%、7月は+0.3%と+2.5%

ムニューシン米財務長官がドル安容認?(9/1 10:05)

トランプ政権は目下、貿易不均衡の是正に取り組んでいます。昨日ホワイトハウスが伝えたところによれば、トランプ米大統領とトルドー加首相が電話会談を行い、「お互いが年末までのNAFTA再交渉の合意達成を望んでいると強く主張した」という状況で、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の真っ最中です。

そのトランプ大統領は予てより人為的な通貨操作を強く批判してきました。

それはクリントン政権のルービン財務長官以降、歴代の米財務長官が繰り返してきた「ドル高は米国の国益」との発言は、公正な貿易を望んでいるトランプ政権のムニューシン米財務長官からは、まだ聞かれていません。

これを背景にトランプ政策は、歴代の「米国はドル高政策」との路線を踏襲しないのではないかとの見方が、政権発足当初から市場・投資家の間で根強くあります。それが故に、本年はドルが年初から下落してきていると判断されます。

そんな中昨日、ムニューシン米財務長官の発言がありました。

「短期的に、ドルの動向は経済の違う部分で、プラス、マイナス両方の影響がでる」とした上で、「貿易に関しては、ドル安はいくらか有利に働く」と指摘。

トランプ政権は貿易赤字の縮小を目指しているので、この指摘は今度のトランプ政権のドル政策を考える上で重要なポイントで、トランプ政権はドル安を望んでいると想定します。

一方で、ユーロドルは年初から上昇していて、特にここ暫くの急激なユーロ高を懸念するECB当局者が増えています。量的緩和縮小ペースが緩慢になる可能性を、昨日ロイターが関係筋の話として伝えました。

「年末までを期限としている量的緩和に関する討議は始まったばかりで、9月7日の次回理事会で何らかの決定をする可能性は非常に低い」との内容でした。

ユーロ高は、ユーロ圏の経済成長やインフレ率の上昇の重しとなり、ECBの出口戦略をペースダウンさせる格好で影響して、慎重な量的緩和出口戦略となると想定します。 

波乱の予想されるこの9月ーー。「米政権のドル安容認」と「ECBのユーロ高懸念」との綱引きとなりそうです。

「政治」の9月が始まります(9/1 9:55)

トランプ政権は今のところ、選挙時から掲げていた医療保険制度改革法(オバマケア)の廃止・代替案の成立、大型減税を含む税制改革、インフラ投資の出動、に関して未だその成立の目途が立っていません。

加えて、9月に入り債務上限問題等、「9月の3つのリスク」を解決する必要が出てきます。

地政学リスクとして北朝鮮情勢を巡る緊張の高まりを受け米国債への買いが継続している中で、連休明けから米議会が再開するワシントンでの動向も注目される訳です。

市場は先ず連邦債務上限引き上げ問題に注目しています。米議会が9月末までに、もし引き上げで合意できなければ、政府機関の閉鎖や米国のデフォルト(債務不履行)につながるため懸念が高まっています。

そんな中トランプ米大統領は、昨日行った演説の中で「国内の法人税率について、15%への引き下げが依然望ましい」とした上で、法人税減税は国の競争力を取り戻すために不可欠との認識を強調しました。

米議会との関係にてこずっていて、懸案のオバマケア代替法案が頓挫しているトランプ大統領の政策遂行能力が懸念されているので、米国の法人税率が現行の35%(米国の法人税率は主要国で最も高い水準)から、4月の税制改革案を当初発表した通りに15%へ引き下げが出来るのであれば、今後の米国経済について明るい見方ができます。

元々4月に発表した税制改革案では、法人税減税と共に、海外利益に対する税率引き下げが柱となっていました。米企業は現在約2兆6000億ドルの利益を海外に滞留させているとされ、こうした資金が米国に還流されない限りトランプ大統領の目指す、大型減税とインフラ投資の実現、つまりその財源確保が難しいと想定されます。

なので、今回の法人税引き下げについての話の次は、先ず間違いなくこの米企業の海外滞留利益の還流についてのメッセージが行われると想定されます。

昨日トランプ大統領は税制改革について演説して、その中で「雇用創出に向けて米国のための法人税減税が必要」と訴えました。議会での合意が必要だと強調し、民主党にも協力を求めましたが、今後の展開に注目です。

【緊急レポート】今後、相場はどうなる?今朝の北朝鮮のミサイル発射を受けて(8/29 14:10)

東京時間29日朝6時過ぎ、北朝鮮からの複数ミサイル発射と、北海道上空を通過とのアラートがあり、ドル円は109.26前後でのNY引けに対し、一気に108.34まで売り込まれました。

この「地政学リスク」のドル売り、というよりも円買いに関しては、当該ミサイルが北海道東部の太平洋上に落下との報道、「日本国内の被害は確認されず」との菅官房長官の談話も有り今日のところは、更なるもう一段の下値模索は無いのではと想定します。

この「地政学リスク」に関しては、

(1)北朝鮮が先日、米グアムへの4本のミサイル発射を予告
(2)しかし、その計画を一旦中止
(3)そのミサイルを、米国に向け打ち込むのは危険との判断から、スペースの空いている太平洋へ発射
(4)その目的は米国、韓国、日本に対して危機意識を高めさせる事、特に21〜31日まで米韓合同軍事演習が行われているこのタイミングに実行

したのだと判断します。

米国を交渉のテーブルにどうしても着かせたい金正恩氏は、慎重に地雷を踏まないように、でも米国の注意を引き付けるための行動を決して止めないでしょう。

その北朝鮮が切るであろう次のカードは「核実験」ですが、その可能性は高くないと想定します。地雷としての危険度が高いからです。

その意味では「地政学リスク」としてのドル売り、リスク・オフの円買いは、あくまで単発の衝撃を市場に与えますが、例えば本日海外時間になっても危機感がより高まるという事は無いでしょう。

それがあるとすれば、トランプ大統領が北朝鮮の挑発に何がしかの形で乗ってしまう時です。とはいえ、トランプ大統領の周りの軍人の閣僚がそれをさせないでしょう。

米国、トランプ大統領の目線で考えると、北朝鮮よりアフガンの方がよっぽど重要であり、シリア、IS、メキシコがそれに続くと思われます。 

ただ今後の相場を見る際のポイントは、引続き「政治」「経済」「地政学リスク」の3すくみのまま。大荒れの9月に突入という事です。

特に注意すべきは、何度も繰り返しますが、「9月の3つのリスク」です。

(1)9月29日が期限の米連邦債務上限問題、米国債がデフォルトの可能性
(2)9月30日が期限の米2018年度歳出法案、米国政府が閉鎖の可能性
(3)この2018年度歳出法案の前に、税制改革法案を通す必要があり

これらの急務を、夏季休暇明け9月4日の米レイバーデー翌日から審議入りとなる米議会の動向、そしてそれを市場・投資家がどう織り込んでゆくのかに注意です。

見方としては、「安定の米経済」に対して「不安定な米政治」の構図です。

これが綱引きをしながらドル売りとドル買いが交互に繰り返されています。 

 

そんな地合いの下で、

(1)ユーロドルの上昇が相場を引っ張っています。昨日28日に1.1983まで上伸したユーロドルは1.3台までへの上伸を視野に入れるべき状況になっています。

(2)対価としてドルは売られるわけで、その為の材料が増えているのが気がかりです。上記の「地政学リスク」もその1つです。特に注意すべきは、何度も繰り返しますが、「9月の3つのリスク」です。

<9月の3つのリスク>
1.9月29日が期限の米連邦債務上限問題、米国債がデフォルトの可能性
2.9月30日が期限の米2018年度歳出法案、米国政府が閉鎖の可能性
3.この2018年度歳出法案の前に、税制改革法案を通す必要があり

(3)この状況をチャートで見てみると、米国株も、日経平均も、ドル円も、一旦の調整売りが入りそうな形状になっていて、市場・投資家はそちらの方向で動き出しそうな地合いになりつつあり、ここ暫くは下値模索に要警戒です。

特に注目すべきは米10年債利回りが2.15%と6月27日以来の低水準にまで低下してきている事です。米政府機関閉鎖や米債の債務不履行の可能性が懸念されての事です。

 

具体的にドル円で見てみると、注目されていたジヤクソンホールでのイエレン議長の講演は、目先の相場の方向性を示すことはできませんでした。

上値の目途である横ばい推移の日足転換線109.77を上抜けず、強気サイクルに入ったとは言えません。上値目途は、節目の109.50、日足転換線109.77、25日高値109.84です。

上値はとにかく横ばい推移の日足転換線109.77を上抜いての引けにならなければ方向感は出ません。上抜けた場合は、「中心値111.50」を回復できるかどうかです。

下値は24日安値の108.84、18日安値の108.59、4月17日安値の108.12、そして節目の108.00です。この支持水準を下抜けない内は弱気サイクルに入ったとは言えません。

ただ、この価格帯を下抜けると、中程度の下げを良きすべきで、一気に105〜106、場合によっては100.00の方向への下落も考えられます。

ただ108近辺から下には、実需としての買いが、特に105近辺では厚いので、一旦は止まるとは思うのですが、それも他のマーケット、つまり米国株、米10年債利回り等の動向次第でもあり、要注意です。米国株が下方へ大きく調整したり、米国金利が更に大きく低下すれば、ドル円も下値模索となります。

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