第12回では、トレードノートの重要性や書き方についてご紹介させていただきました。今回は限られた資金で効率良く運用するための「固定比率での複利運用」や「バルサラ(破産確率)」などをご紹介していきたいと思います。
資金を活用した運用方法
近年話題になることが多い「倍々トレード」や「常に同じ比率でロットを決める○%投資法」「マーチンゲール・逆マーチンゲール」など、資金そのものを活用したトレード手法は数多く存在しますが、実際にどの程度の効果があり、どのようなタイプの方に向いているのでしょうか? 具体的な例を挙げてご紹介しましょう。
○%投資法
資金を効率良く増やすためにはロットを上げる必要がありますが、安易に初期値と同じ比率でロットを増減させると思わぬリスクに晒されます。
○%投資法(固定比率運用)では、仮にクロス円のトレードで「100万円の資金に対して10万通貨」を基準とした場合、100pips勝つことができれば次のトレードは増えた10万円を加算した11万通貨で行います。逆に100pipsの損失を出してしまった場合、次は90万円から算出した9万通貨でのトレードとなります。
一見、勝てば11万通貨、負ければ9万通貨となり、50%の勝率があれば問題なさそうに思えますが、勝率50%でこの方法を繰り返すと確実に破綻します。勝ち続けていれば(高勝率)複利の恩恵を受け、資金は加速度的に増えていきますが、今回の例に当てはめるとそうはいきません。1回目のトレードで勝った場合は資金が110万円に増え、次のトレードは11万通貨となりますが、2回目に損失を出してしまうと11万円の損切りとなるため資金は99万になってしまいます。
同様に1回目に負けた場合、次のトレードは残高90万円から算出した9万通貨となり、2回目に勝つことができても資金は99万円です。勝率が50%の状態では回数が増えるごとに実質的な損失は加算され続け、資金は確実に目減りしてしまうのです。
では、勝ったときだけ複利を適用し、負けたときのロットは変更しないとした場合はどうでしょう。1回目で負けて2回目で勝った場合の残高は100万円(逆の場合は99万円)となり、勝敗の順番次第ではリスクのみ軽減されているようにも思えますが、負けたとき(資金が減っている状態)に前回と同額のリスクを取るのは資金に対するリスク割合の増加を意味し、抜本的な改善策とはいえません。
次に、勝率60%の人が資金100万円に対して10万通貨、損益100pipsで10回の複利トレードを行った場合はどうでしょうか? あくまで理論上ではありますが、勝率通り6勝4敗となれば最終的な残高は116万2321円となり、約16%の収益となります。さらに勝率70%の場合では142万615円となり、約42%の収益が期待できます。勝率が6割を超えていれば、資金管理次第で効率的な運用が可能といえます。
バルサラによる破産確率
特にスキャルピングでは低リスクリワード(損益率)になりがちで、勝率を高める必要がありますが、リスク管理上、連敗やドローダウンを考慮しなければいけません。数学者であるナウザー・バルサラ氏の理論(表①・②・③参照)では、自身の【勝率とリスクリワード】や【資金に対するリスク割合】の違いで破産確率が大きく変化します。理想は1%以下ですが、5%以下なら有効的なトレードができている状態といえます。
資金管理の重要事項
FXに限らず投資や投機では、1回または1日など固定された期間内での資金に対するリスク割合を資金管理の一つとして設定する必要があります。私の場合は口座残高に対して、通常時は【1%/1日】、最大で【3%/1日】に設定しています。
この資金管理はとても大切で、曖昧だと突発的なリスクやメンタル崩壊時などに再起不能な状態に陥りかねません。生き残るための安全策として、必ず資金に対するリスク割合を決めましょう。
次回は「資金を安全に効率良く運用しよう②(仮)」と題しまして、限られた資金で効率良く運用するための「適時適切ロット」や海外口座で人気の「倍々トレード」などをご紹介できればと思います。
※この記事は、FX攻略.com2019年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
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