今回は、移動平均線を扱っていきたいと思います。
移動平均線はあまりにもメジャーですので、いまさらという感がありますが、今回はしっかりと移動平均線の計算方法から見直していくことで、より深いレベルでの理解を目指して行きたいと思います。
移動平均線とは?
まず、そもそも移動平均線には、いくつか種類があります。何故多くの種類があるのかはさておき、まずはそれぞれの種類と計算法を見ていきたいと思います。
1.単純移動平均線(SMA)
最もよく使われる移動平均線です。t期の価格をPtとして、
SMAt = ( Pt-n + Pt-n+1 + ・・・ + Pt-1 ) / n
で計算できます。
2.指数移動平均線(EMA)
こちらもよく使われる移動平均線です。K = 2/(n+1)として、
EMAt = Pt-1×K + EMAt-1×(1-K)
で計算できます。
3.平滑移動平均線(SMMA)
こちらは、EMAを改良してつくられた、より移動平均線の傾きが平らになるように工夫された移動平均線です。
SMMAt = ( Pt-1 + (n-1)×SMMAt-1 ) / n
で計算できます。
4.加重移動平均線(LWMA)
直線の値に重みを大きくつけ、そこから線形に重みを減らしていくことで、直近の値の重要度を高めた移動平均線です。
LWMAt = (Pt-1 × n + ・・・ + Pt-n × 1) / (n×(n-1)/2)
で計算できます。
移動平均線は「後追い指標」の側面をもつ
さて、この数式を見て何が分かるかというと、まずは直近の価格が決定して初めて移動平均線というものは計算できるということです。
つまり、良くゴールデンクロスなどでトレードすればよいという神話が聞かれますが、それはゴールデンクロスをするのは大きく価格が伸び、上昇が決定した時に出るのであって、そのチャートを右端で見ている時点では分からないということです。
つまり、移動平均線というものは、明らかにどの移動平均線を用いたところで、直近の価格が決定して初めて値を持つことができる、「後追い指標」の側面をもつことを認識する必要があります。
次に、単純移動平均線は、単純にある一定期間における価格の平均値、その他の移動平均線も、計算式をこねくり回してはいますが、ある概念における一定期間の価格の平均値を算出していることに他なりません。
移動平均線が上昇していれば上昇トレンドのサインという人がいますが、そんなことは移動平均線がなくてもその計算式の性格上理解できます。平均値が上昇しているのですから、チャートをみれば一目瞭然でしょう。そんなことに意味があるとは到底思えません。
移動平均線の使い方
折角平均値を算出するのですから、その算出値を活かした使い方をすべきだと私は考えます。
つまり、平均線の値というのは、平均価格であるので、その期間における新規にポジションを建てた人間の建値の平均値である可能性が高いと言えます。(厳密には当然ながら異なりますが、FXでは株のようにVWAP等を見ることができない以上、もっとも乱暴に平均値を把握する手段としてはこれしかないとも言えるでしょう。)
ですので、現在の価格が、そこまでにポジョンを建てた人間の、どちら側の人間にとって、どういった価格であるのか、と意識するためのツールだと私は考えています。
当然ながら、非効率になりがちな場所は、その直近の移動平均線の値付近でしょう。このあたりのプライスの動向をつぶさに観察することは一つのアルファの取り方であると思います。
少し細に入りすぎた感がありますが、以上で移動平均線の説明を終わります。それでは次回はこれまたテクニカルの有名人、MACDについてお話をしていきたいと思います。
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