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移動平均線に一工夫を加えたトレードを活用する[平野朋之]

前回は、昨年秋以降からの円安(ドル高)の流れに沿った、ゆっくりとしたトレード方法について解説を致しました。しかし、その円安(ドル高)の流れがいつまで続くかは「神のみぞ知る」で、先々のことは誰にもわかりません。

そこで前回強調したことは、【より長い時間軸チャートを確認する】【その長い時間チャートの方向にポジションを傾ける】ということでした。いくらニュース等で「円安」と騒がれても、今後のことはわからないので、やはり、トレードを継続するには、「予想」よりも「現実の流れに沿って行動する」ことが大切です。

今回はその「現実の流れに沿ってトレードをする」ということに焦点を当てて、「移動平均線」に一工夫をしたトレード方法について解説を致します。

移動平均線そのものでエントリー&決済のタイミングを考える

通常、移動平均線は過去×日間の「終値」を平均化したもので、「移動平均線の傾き」、またはレートと移動平均線の位置からトレンドを判断します。しかし、今回はトレンドを判断するのではなく、移動平均線そのものでエントリー&決済のタイミングを考えてみます。

【図表1】は、過去3期間の高値移動平均線【A】、安値移動平均線【B】を表示させたチャートになります。

このチャートをざっとみていただくと、高値移動平均線【A】と安値移動移動平均線【B】のなかに、ロウソク足が収まっていることがわかると思います。そこで、この特徴を活かし、エントリーのタイミングは……、

  • ・安値移動平均線【B】に差し掛かった時点で「買いエントリー」
  • ・高値移動平均線【A】に差し掛かった時点で「売りエントリー」

決済方法は、

  • ・安値移動平均線【B】での「買いポジション」は、高値移動平均線にタッチしたら決済
  • ・高値移動平均線【A】での「買いポジション」は、安値移動平均線にタッチしたら決済

しかし、これだけでは不十分ですので、冒頭でも触れた「現実の流れに沿って行動する」ことを考慮すると、異なる時間足チャートを表示させ、上昇トレンド中で「買い」、反対に、下降トレンドで「売り」を行うようにし売買効率を高める必要があります。私の場合、この「異なる時間足チャート」とは、「平均足改良版」を使い、トレンドを把握します。【図表2】は、高値(安値)移動平均線のチャート(15分足)に、4時間足の平均足改良版を表示したものです。

この場合、4時間の平均足改良版が「陽線(青)」となっていて、上昇トレンドを示唆していますので、安値移動平均線【B】に差しかかった時点で「買いエントリー」を行い、その後、上昇した場合は、高値移動平均線【A】で決済をします。

また、トレンドを示す平均足改良版が「陰線」の時は、上記の反対で、高値移動平均線【A】に差しかかった時点で「売りエントリー」を行い、その後下降した場合は、安値移動平均線【B】で決済をします。

実にシンプルですが、移動平均線を一工夫するだけで、「現実の流れに沿って行動する」ことが可能となり、安値で買い(高値で売り)エントリーができます。

もちろん、平均足改良版以外でも、上記と同じようなトレードを行うことは可能です。たとえば、平均足改良版ほど威力はありませんが、インターネット上では移動平均線のマルチタイムフレーム等のチャートインディケータをダウンロードをすることができます。

ロスカットの方法

最後にロスカットの解説を致します。

たとえば、買いエントリーを行った際のロスカット注文は、安値移動平均線【B】の下に位置するラインに置きます。このラインは、安値移動平均線から「高値移動平均線と安値移動平均線の差」を引いた値になります。また、売りエントリーを行った際のロスカット注文は、高値移動平均線【A】の上に位置するラインに置きます。このラインは、高値移動平均線に「高値移動平均線と安値移動平均線の差」を足した値になります。

このようなロスカット注文を置くことで、思惑と大きく乖離して、負け金額が大きくなる前に、いったんマーケットから撤退でき、残った資金で再度エントリーチャンスが訪れた際に、余裕をもったトレードが可能になります。

なお、今回解説をしたトレード方法の詳細、またチャートインディケータは、当社のFXコースにて提供させていただいておりますので、ご利用ください。また、このトレードの考え方につきましては、当社ページの「トレーダー育成動画プログラム」でも解説をしますのでご覧ください。(月刊FX攻略.com 2013年9月号掲載)

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