トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
日銀に金融緩和策があるのか
昨日、日銀の黒田総裁は「必要となれば緩和検討」と発言をしました。日銀にこれ以上の金融緩和策があるとは思えませんが、海外勢を中心に円が売られる展開です。おそらく発言の効果はないと知りつつも短期勢にとっては格好の円売り材料として利用してきたのだと思います。
しかし、これから日米通商協議が行われるわけですが、米財務省は日銀の金融緩和策が円安誘導していると警告しています。そうしたなか、昨日の緩和発言がアメリカ側を刺激し今回の日米通商協議で、為替条項が導入される可能性が高まったかもしれません。
FOMC議事録で方向性を示せるか
現在、ドル円は日銀の追加緩和発言や、米中貿易協議の楽観的なモメンタムから上昇していますが、ここから先は少し警戒が必要となります。なぜなら米中通商協議は合意に向けてマーケットは楽観的な見方が多いようなのでその反動から、セルザファクト的な動きがあるかもしれません。また、今夜28:00のFOMC議事録では1月29日・30日開催分が公表されますが、年内の利上げ停止や、バランスシート縮小の早期終了に関してどのような議論がされたのか見極める必要があります。1月のパウエルFRB議長の発言と大きな変化がなく、ハト派的な内容ならドル円が下押しする可能性もありそうです。
ドル円のチャートを見ると上値は引き続き200日移動平均線の111.30円付近、下値は21日移動平均線の差し掛かる109.90円付近が上下のレンジになります。イベントなどから上下突っ込んでくれる展開があるならついていきますが、ブレイクできないようであればレンジ内でうまく立ち振舞うしかありません。
ポンドは正念場
今夜はFOMC議事録が注目されますが、26:30より予定されているメイ英首相とユンケル欧州委員長の会談も目が離せません。EU側が再交渉に否定的なスタンスであることから事態の進展は難しく、ユンケル欧州委員長も「今回の会合で離脱問題を解決に導く公算は小さい」と述べています。しかし、「合意なき離脱」となればEU側も経済的ダメージは避けられないため、妥協点を見つけたいはずです。少しでも合意に近づくことができればポンドは上昇する一方、EUが引き続き否定的なスタンスを変えてこなければ足元で上昇したポンドは上昇分を失うことになるでしょう。
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