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米雇用統計上振れでも利上げには程遠い[雨夜恒一郎]

先週発表された米国6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が+28.8万人と予想の+21.7万人を大幅に上回り、失業率も6.1%と予想6.3%を下回り、約6年ぶりの水準へ低下した。

この結果を受けて「米ドル/円」は102円を突破し、一時102.27円まで上昇。

「ユーロ/米ドル」も1.36ドル台を割り込むなど、ドルが全般に上昇した。

また、NYダウは1万7000ドルの大台を初めて突破し、米国10年債利回りも一時2.68%と2か月ぶりの水準へ上昇した。

しかし、これだけ強い数字が出たにもかかわらず、「米ドル/円」の上昇幅はわずか30銭程度。

しかも、翌金曜日には早くも失速し、一時102円割れまで押し戻されてしまった。

前日のADP雇用調査の上振れ(+28.1万人)である程度反応済みだったこと、また、米国市場の3連休を控えていたということを考慮しても、もの足らない結果である。

先週の当コラムで述べた通り、雇用統計直後が当面の戻り高値になる嫌なイメージが脳裏をよぎる。

NFPと失業率は確かに大きく改善したが、イエレンFRB議長が重い腰を上げるには内容的に力不足との見方も少なくない。

議長が注視する雇用関連指標、いわゆるイエレン・ダッシュボードをチェックしてみると、労働参加率は62.8%と前回に続いて1975年以来の低水準。

非自発的パートタイマーも前回から27.5万人も増加しており、NFP増加のほとんどがパートタイムの低賃金労働で占められていることがわかる。

非自発的パートタイマーを含む広義の失業率(U-6)は12.1%と5月から0.1%低下したものの、リセッション前の平均8.8%には遠く及ばない。

米国の雇用市場はリセッション後大きく構造が変化し、スキルのある労働者とない労働者に二極化している。

ダッシュボードには含まれていないが、平均賃金の伸びも前年比+2.0%とインフレ率と同レベルに低迷している。

新規雇用の多くがパートタイマーであるため賃金が伸びず、インフレリスクにもつながらないという構造になっているのだ。

これは数年前に米国の債券運用会社PIMCOのCEOであるモハメド・エラリアン氏が提唱した「ニュー・ノーマル」(新たな秩序)という考えに合致する。

米国経済全体で見れば景気は順調に回復しているが、定職に就けない弱者の生活は困窮するばかりだ。

そして、その弱い部分を人間的な観点で重視しているのがイエレン議長なのだ。

FF金利先物はやや利上げを織り込む動きを示しているものの、来年6月の利上げ予想確率はやっと50%を超えてきたところ。

まだまだ利上げまでのハードルは高いと見たほうがよく、米国金利とドルの上昇余地もおのずと限られてくるだろう。

「雇用統計で高値掴み」のパターンはまだ完全に崩れたわけではなく、今週はドルの反落リスクを警戒したい。

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