FX力を鍛える有名人コラム

目先動きづらいドル円 戻り売りが賢明[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年4月1日号

先週のドル円相場は

先週のドル円相場は、109円台後半から110円台後半へとじり高の展開。FOMCの予想以上にハト派的なスタンスを受けて週初はドル売りが先行したが、週後半は株式市場の上昇や米国債利回りの安定を背景に買い戻しが優勢となり、110.95円まで回復した。先週の当コラムでは、米景気減速懸念や利下げ観測の高まりと、年度末特有の需給で、もう一段のドル下落の恐れがあると予想したが、残念ながらそのような展開にはならなかった。

利下げ催促相場

米国の利下げ観測が遠のいたかといえばそうではない。FF金利先物が織り込んでいる今年6月の金利分布をみると、早くも1回目の利下げが行われる可能性を25%程度織り込み始めている。さらに今年12月の金利分布をみると、現状維持は33%である一方、利下げ1回が41%、そして利下げ2回以上も25%以上となっている。金利市場の参加者は完全に利下げ催促モードに突入しているのだ。

FF金利先物が織り込む今年6月の金利分布 出所:CME Fed Watch

FF金利先物が織り込む今年12月の金利分布 出所:CME Fed Watch

逆イールドとリセッション懸念

3か月と10年の金利は逆転し、4ベーシスの逆イールド。指標となる2年と10年のスプレッドも16ベーシスと逆転寸前だ。過去30年間で逆イールドが発生したのは今回が4回目だが、過去3回はいずれもリセッションに見舞われている。

10年-3か月スプレッド グレーの帯はリセッション期  出所:セントルイス連銀

先週発表された昨年10-12月期の米国GDP確定値は、速報値の+2.6%から+2.2%へ下方修正され、4-6月期の+4.2%、7-9月期の+3.4%からの減速感が一段と強まった。NY連銀が算出するナウキャストによると、今年1-3月期のGDPは+1.3%まで減速する見通し。中国景気の急減速や貿易摩擦、Brexitをめぐる不透明感などを勘案すると、近い将来のリセッション入りのリスクは決して小さくはない。

株式市場は楽観的

にもかかわらずドル円があまり下がらないのはなぜか。その理由の一つは、株式市場が堅調を維持しているからであろう。先週NYダウは400ドルあまり上昇し、FOMC後の下げ幅をほぼ帳消しにした。過去10年に及ぶ緩やかな景気拡大の中で、NYダウは3倍以上に値上がりしている。株式市場の参加者は、低インフレ・低成長のゴルディロックス(適温経済)が今後も続くと楽観しており、リセッションを怖がっていないのだろう。株式市場が堅調でリスク選好が高めに維持されていれば、ドルより低金利の円を買い進む理由はない。

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戻り売りスタンスが賢明

利下げ観測を背景にドルは売られやすいが、株式市場がしっかりしている限り円も買いづらい。結果、市場にはドル売りと円売りの勢力が混在することになり、一方向に動きにくくなる。趨勢はドル安との見方に変わりはないが、現時点では下値を積極的に売っていくのは得策でなく、先月上値を抑えられた111円台後半まで戻りを待つのが賢明であろう。

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