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FX力を鍛える有名人コラム

米中協議で一喜一憂の必要なし ドル円は強気継続[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年11月11日号

先週のドル円相場

米中貿易協議の進展期待を背景に株高・米国債利回り上昇・ドル高の展開となった。ドル円は週初の108円台前半から力強く上値を拡大する動きとなり、「中国が米国と段階的な関税撤廃で合意」と報じられると、一時109.49円と5月30日以来の高値をつけた。ただ終盤はトランプ大統領の「米国は中国と関税撤廃で合意していない」との発言を受けて109.08円まで押し戻された。

今週も米中協議に振り回される展開

相変わらず米中貿易協議をめぐる報道に一喜一憂する展開が続いている。米中がいわゆるフェーズ1で合意できれば、双方が既存の関税を撤廃する方向で交渉が進んでいるようだが、トランプ大統領は米国内での調印を望んでいる一方中国は難色を示しており、事態はまだ流動的のようだ。今週も様々な報道や憶測が飛び交う可能性が高く、短期売買を主とするトレーダーは、スクリーンにしっかり目を凝らし波に乗り遅れないようにしなければならない。

木を見ず森を見よ

しかしすべてのニュースや噂をチェックすることは不可能だし、報道に振り回されるばかりでは常に後手に回って損失を被るだけである。したがって平均的なトレーダーであるわれわれは、物事の本質を見極め、大局観に従って行動するべきなのである。米中問題の本質は単なる貿易摩擦にとどまらず、今後数十年にわたる覇権を賭けた現代の冷戦である。したがって協議はある日しゃんしゃんと完全合意できるようなものではなく、交渉・決裂・再交渉・部分合意(以下ループ)といった具合に、お互い妥協できる軟着陸地点を探りながら数年続いていく公算が大きい。もちろん両国とも経済的にはお互いが必要不可欠であるため、完全決裂もありえない。

大局観として一つ確かなことは、米中ともに戦略が「制裁・報復」から「対話」に変わり、協議はごく緩やかに進展しているということだ。個々の報道に一喜一憂する必要はなく、むしろ「一憂」で下げた局面が買い場となるだろう。

いよいよ魅力的な米国市場

米国経済は絶好調とは言えないものの、いい塩梅であると言える。労働市場は力強く、景気は緩やかに拡大し、インフレの兆候は見えない。ゴルディロックス(適温経済)が継続し、企業業績はおおむね良好、株式市場は史上最高値を更新中だ。金利市場も、一時は逆イールドが発生するなど危機モードにあったが、最近ではイールドカーブがスティープ化し、10年債利回りも2%近くまで回復してきた。政策金利は保険的意味合いで3回引き下げられたが、どうやらそれも当面打ち止めのようだ。

10年-2年債スプレッド 出所:セントルイス連銀

米国市場は非常にうまくいっておりどこから見ても魅力的だ。筆者には、この状況下で2%の金利差を払ってまでドルをショートする理由は見当たらない。シカゴ投機筋のポジションがここ数週間ドルロングに傾いてきたのも宜(むべ)なるかな、である。今週も110円を目指して緩やかな上昇局面が続くと予想する。

IMM通貨先物の投機ポジション 出所:CME、Quick

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