3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析

外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術【今月のテーマ|米大統領選後の為替市場。鍵を握るテクニカルと金利差に注目!】

外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術【今月のテーマ|米大統領選後の為替市場。鍵を握るテクニカルと金利差に注目!】

米大統領選が終わりました。執筆時点で私はまだ結果を知りません。どんな結果が出ているか楽しみですが、大イベント通過後に出るトレンドはそれ以前から始まっていることが多いもの。私の愛用する移動平均線、一目均衡表の雲、MACDを使った純粋なテクニカル分析と各国政策金利の差から「米大統領選後の為替相場」を予測してみたいと思います。

※この記事は、FX攻略.com2021年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

テクニカル指標&金利差から見てドル円は「ゆるやかな下降トレンド」に戻る!?

 今号が発売(編注:2020年11月21日)されている頃には、米大統領選の結果が判明していることと思います。米大統領選に関しては、バイデン氏が勝利しても民主党が提案している大規模な経済対策が実行される可能性が高まり、株価と金利の上昇から「ドル高円安」という事前予想になっていました。一方、トランプ氏が勝ったら、これまでの株価重視の流れから、こちらも多少のドル高で反応している可能性が高いとの予想でした。ただ、トランプ再選なら中国への制裁がさらに強まることになり、米中関係のさらなる悪化からリスクオフの円買いが進む可能性も取り沙汰されていました。

 ただ、この原稿の執筆時点では米大統領選の結果が決まっていないため、今回は純粋にテクニカル分析や金利差を使って、年末から2021年前半にかけての為替相場を展望しましょう。私が愛用しているテクニカル指標は200日、120日移動平均線(以下、SMA)、MACD、一目均衡表の雲の三つです。MACDのパラメーターは、通常「12、26、9」がデフォルト(標準設定)になっていますが、私は「25、75、9」といった中期線と長期線の間隔を見る長めのMACDのほうが相場の長期的な展望には向いている、と思っています。私、佐藤正和流・チャート分析の極意を詳細に執筆した『これだけ! FXチャート分析 三種の神器』という本が11月30日に発売されますので、そちらもどうかよろしくお願いいたします。

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ドル円「米大統領選後」トレンド想定図 ドル円日足チャート

 さて、チャート①はドル円の2019年9月から約1年間の日足チャートに、上記のテクニカル指標を適用したものです。コロナショックに見舞われた3月の乱高下以降、ドル円は120日、200日SMAを割り込み、25日指数平滑移動平均線(EMA)と75日EMAの間隔を示すMACDも0ラインの下で右肩下がりのままです。7月31日には米国国内総生産(GDP)の落ち込みによる長期金利の低下で104円台前半まで急落。9月21日にも、世界的な金融機関の多くが長年、マネーロンダリングに手を染めていたというニュースなどで、瞬間的に103円台突入の安値をつけました。

 7月初旬以降、一目均衡表の雲を割り込み、雲の下限が上値を阻む抵抗帯になっています。流れだけを見ると、どう見ても「ゆるやかな円高トレンド」が続いている形です。しかし、2018年3月以降、1ドル104円台が「岩盤」といっていい支持帯になっており、それ以下まで下げる動きも起こりませんでした。

 結局、現状の為替市場では、日本も米国も欧州も豪州・NZもゼロ金利(豪州・NZは0.25%)~マイナス金利で推移しています。ドル円が最も顕著ですが、金利差がほぼ存在しないことが「金利差ゼロのベタ凪相場」の元凶になっています。

 米大統領選の結果によって、この膠着相場が崩れるのか、それとも崩れないのか、この本が出ている頃にはある程度、決着がついているでしょう。2016年11月にトランプ氏が大統領に選出されたときのような急変動が、今回も起こっているとしましょう。その場合、もしドル高円安の方向なら、現在のドル円は200日SMAが位置する107円台を突破してコロナ禍中の2月高値112円台を目指している流れが考えられます。

 一方、円高ドル安に振れるなら今頃104円台を完全に下回り、100円台を試す展開に見舞われているかもしれません。しかし、2019年以降、どんなサプライズな出来事が起こっても、ドル円は104円~112円台をやや右肩下がりに行ったり来たりするだけの「非常にトレンドレスな相場」に終始しています。米大統領選という超ビッグイベントでさえ、ドル円にトレンドをもたらす起爆剤とはならない可能性もあります。

「やや右肩下がりの下降トレンド」が今後も継続し、1ドル100円~102円台を下値、110円を上値にしたベタ凪相場が年末から2021年にかけて続いていく可能性も否定できません。チャート①でも、2~3月にかけてのコロナショック時の乱高下はその後、収束し三角持ち合いを形成しました。同じように米大統領選で乱高下したあと、再びトレンドレスに戻る可能性も高いでしょう。

ビッグイベント後のトレンドが従来と反対方向なら逆張りもあり。ユーロドルは結局、上昇か!?

 もし米大統領選イベントの終了で、今、ドル円が上か下に一方通行に動いているなら、12月~年始まで、その勢いが続くかどうか確かめた上で、逆張りするという戦略もありそうです。

2016年「大統領選後」のドル円トランプ相場 ドル円週足チャート

 チャート②はトランプ大統領が選出された2016年~2017年9月のドル円週足チャートです。ドル円は下降トレンドの底打ち局面でしたが、トランプ氏が選出された11月第1週の1週間後には200週SMAを突破して上昇。1か月後には120週SMAや右肩下がりの一目均衡表の雲も抜け、ピークの118円台まで短期間に到達しています。このチャートから得られる教訓は、トランプ選出前の10月上旬にすでにMACD(パラメーターは25、75、9の中長期に設定)がゴールデンクロスして、それまでの下降トレンドが大底を打っていた点です。

 さらに、たった2か月で打ち上げ花火のようにピークをつけたあとは、上下動を繰り返しながらも高値が切り下がり、4年後の米大統領選までつながる「レンジ相場」に移行している点です。つまり、

  • 米大統領選前にすでに暗示されていたトレンドが米大統領選後に加速する。
  • 米大統領選のサプライズはそれほど長続きしない。

という2点が2016年の教訓でした。

 前者から考えると、2020年の米大統領選前に出ていたのは「ゆるやかな下降トレンド」ですから、米大統領選後も円高方向に振れやすい流れになります。

 また、後者から類推すると、米大統領選のときに出た従来と反対方向のトレンドが続くのは年末年始までで、その後はレンジ相場に移行する可能性もある、ということになります。

 読者の皆さんはすでに結果をご存じですから、2016年の米大統領選と現状のドル円を見比べて、そこに何か類似性はないか探りましょう。その上で、順張りか逆張りかを注意深く選択したほうがいいでしょう。

ユーロドル「大統領選後」トレンド想定図 ユーロドル日足チャート

 では、5月以降、3大通貨の中で最強の座を占めていたユーロはどうでしょうか? チャート③は2020年に入ってからのユーロドルの日足チャートです。5月以降、反転上昇に転じたユーロドルは1ユーロ1.20ドル台の壁を超えられず、8月に入ってから高値持ち合いに移行しています。9月末には一目均衡表の雲の中に入って、1.16ドルの安値をつけたあと、再び小反発していました。

 こちらも米大統領選の結果次第で現在は大きく上か下に動いている可能性があります。バイデン氏でもトランプ氏でも結局、「株高、ドル高」に振れるという事前の予想から考えると、下値に控える120日SMA(1.14ドル台)、200日SMA(1.12ドル台)を超えて、現在、ドル高ユーロ安の下げトレンドが加速しているかもしれません。

 とはいえ、冒頭で見たように米欧もまた基本は「金利差ゼロ」の世界ですから、米大統領選というイベントで出た短期的なトレンドが12月~1月にかけて失速する可能性もあります。金利差がない、もしくは今後すぐには開かない以上、大きなトレンドは出にくい、と考えれば、その失速を狙った逆張り戦略もありえるのかもしれません。

コロナ後回復が最速の中国の恩恵を受ける豪ドル、NZドルには金利差からも注目!

 むろん、為替市場に影響を与えるのは現状の金利差というよりも、これから1年後ぐらいをメドにした「将来の金利差」であることには留意したほうがいいでしょう。

 アフターコロナの世界で、最も早く金利引き上げに動きそうなのは、すでにコロナ禍を脱したように見える中国以外ありません。米中対立という不安要素もありますが、中国経済の影響を強く受けている豪ドル、NZドルが「将来の金利差拡大」を目当てに買われやすい地合いが続きそうです。

「金利差ゼロ」時代の豪ドル円「大統領選後」 豪ドル円週足チャート

 そこで豪ドル円の動きを見てみましょう。チャート④は2014年11月に1豪ドル102円台をつけて以降の豪ドル円週足チャートですが、見事な下降トレンドが続いて、コロナショックに見舞われた今年3月には59円台まで下落しています。しかし、そこから中国経済の立ち直りを遠因に、MACDのゴールデンクロスをともなって反転上昇。8月末には78円台の高値まで約20円も上昇しました。8月以降は一目均衡表の雲や120週SMAを上抜け、長期MACDも0ライン超えが目前になっています。ユーロ円に比べると反転上昇に勢いがないですが、今後、直近高値が集まる74~75円台をサポートにして、80円台を目指して上昇が続く可能性もありそうです。

 豪ドル円が6年近く下落トレンドだったのは、その間、2.5%だった政策金利が0.25%台まで低下し続けたのが原因です。逆に言うと、もうこれ以上、下がりようがない水準まで金利が下がったので、為替レートも自律的な反転上昇に転じたともいえます。日本のマイナス金利がさらに拡大するのも現実的ではなく、「将来どちらが先に利上げするか?」といえば、間違いなく豪州。将来の金利差の見通しからすると、豪ドル円の上昇はまだ続きそうにも思えます。

 バイデン氏が選出されても米中対立はそう簡単には終わらないでしょうが、多少は緩和されるでしょう。すでに大統領選の結果を踏まえて、チャート④からさらに値動きしているはずですが、その方向性が上方向なら素直に乗るのも一案に思えます。

「金利差ゼロ」時代のNZドル米ドル「大統領選後」 NZドル米ドル週足チャート

 もう一つの高金利通貨NZドルについても見てみましょう。チャート⑤は、NZドル米ドルが2014年8月に0.88ドル台の高値をつけて以降の週足チャートです。NZドル円以上に下落トレンドが鮮明でしたが、コロナショックの3月につけた安値0.54ドル台から反転上昇に転じ、9月には0.67ドル台の高値に到達。一目均衡表の雲と120週SMAを抜け、200週SMA超えがすぐ狙える位置まで上昇しています。

 国際通貨基金(IMF)は、10月に「新型コロナウイルスに起因する世界経済の落ち込みが従来の予想に比べ緩やかにとどまる」との見通しを示し、世界の経済成長率予想を上方修正しました。

 現在、2021年の予想経済成長率は+5.2%になっています。中でも中国の成長率に関しては、今年は+1.9%とし、2021年を+8.2%まで引き上げました。米国の2021年の予想成長率は+3.1%、日本は+2.1%としており、中国の回復力が際立つと見られています。そう考えると、豪ドルやNZドルなど、中国経済の回復に恩恵を受けやすい通貨が真っ先に上昇に転じてもおかしくありません。

 本連載が世に出る1か月後の世界ほど、執筆している現時点で見通しが立ちにくいものはありません。見通しが立ちにくいと事前に予想できるという意味では、2016年のトランプ相場のようなサプライズがなく、従来の膠着気味のトレンドレス相場が続いている可能性もあるでしょう。

 ある意味、今回の記事は、「過去から現在に向けた手紙」になります。米大統領選のようなビッグイベントで発生するトレンドは、実はその2~3か月前の過去から、すでに始まっていたことが多いもの。この「過去からの手紙」が1か月後の相場展望に役立つことを祈ります。

※この記事は、FX攻略.com2021年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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佐藤正和
佐藤正和
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演するほか、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。 ・外為オンラインの詳細はこちら外為オンライン公式サイト
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