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予想が外れた時の対処法[雨夜恒一郎]

予想が外れた時の対処法[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2021年2月1日号

先週のドル円相場は

株式市場が調整色を強める中、ドル円は次第にリスクオフのドル買いが優勢となり、104円台へ上昇。月末に絡んだ実需のドル買いやポートフォリオのリバランスのフローも入り、年初来高値の104.40円を突破すると、一時104.94円と昨年11月以来の高値を付けた。

筆者は104円台は売り安心感があるとして戻り売りスタンスを継続していたが、残念ながら予想外の展開となった。

予想が外れたらどうするか

相場を予想し、裁量でトレードする者にとって、予想が外れるという事態は避けられない。その場合、保有していたポジションは多かれ少なかれ損失を抱えることになる。

ここで裁量トレーダーは迷うであろう。

・予想が外れたのだから、潔く損切りするべきなのか。

・それとも初志貫徹で突っ張るべきなのか。

もちろん致命的な損失を放置するのは論外だが、筆者は予想が外れたからといってあわてて損切りする必要はないと考えている。

相場は短期的にはファンダメンタルズに反したり、オーバーシュートしてしまうこともあるが、中長期的にはファンダメンタルズに従うからだ。「市場は常に正しい」とよくいわれるが、市場が一時的に間違えることもままある。

損切りする前に、自分の相場観の基礎となっていた要因をチェックし、本当に自分が間違っていたのかどうかを再検討すべきなのだ。

ドル下落予想の前提は変わったか?

では今回の筆者の相場観=ドル下落予想の要因を検証してみよう。

前提1:FOMCはあと2~3年は利上げもテーパリングも行わない

先週行われたFOMCでは、2%をやや上回るインフレ率を達成するまでFF金利を0~0.25%に維持することと、最大雇用と物価安定の目標に向けてさらに著しい進展が見られるまで少なくとも月間1200億ドルの資産購入を継続することが決まった。パウエルFRB議長もテーパリングの議論は時期尚早と一蹴した。この前提は変わっていないと考えていいだろう。

前提2:米国のインフレ懸念が高まり、実質金利が低下していく

先週の株式市場の調整を受けて、米国10年債利回りは一時1%を下回った。一方、市場の予想インフレ率(ブレークイーブンインフレ率)は2.1%を突破し、実質金利は1%を超すマイナスとなっている。この前提も変わっていない。

前提3:米国の赤字拡大でドルの余剰感が強まる

米国の2020会計年度(2019年10月1日~2020年9月30日)の財政赤字は過去最悪の3兆1320億ドルで、名目GDPの15%という戦時中並みの規模となった。年度が替わった2020年10~12月の財政赤字も5729億ドルと同時期として過去最悪。2021年度も、バイデン新政権の積極的な財政政策によりさらに赤字が拡大する見通しで、膨大な額のドルが供給されるという前提も何ら変わりはない。

前提4:高値・安値を切り下げるドル安トレンドが続いており、前回高値を上抜ける可能性は小さい

この前提は先週のドル上昇により崩れてしまった。同時に強い抵抗線となっていた一目均衡表の先行スパンも上抜けてきた。最後の砦は昨年11月の戻り高値105.68円で、ここを突破するようなら、ドル安トレンドの終了を想定せざるを得ない。

ドル円日足・一目均衡表

ドル円日足・一目均衡表

まとめ

ドルの長期的な下落を示唆するファンダメンタルズ(前提1~3)に大きな変化はなく、大局観としてはドル弱気を継続すべきだ。短期的には株式市場の調整によりドルの買い戻しが出やすいが、ここは静観し耐えるのが適切だろう。ただし、重要抵抗線である105.68円を上抜けするようなら、中規模のドル反発局面に発展していく可能性があり、戦略の見直しが必要となるだろう。

今週はトレンドを見極める重要な分水嶺となりそうだ。

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