移動平均線は数あるテクニカル指標の中でも歴史が長く、そして今でも多くの投資家が使っています。それだけにFXで移動平均線の期間の設定をどうすべきか、あれこれ悩んでいる方も多いのではないでしょうか? 今回は、不動修太郎さんに移動平均線の期間について教えてもらいましょう。
長期の移動平均線とは
移動平均線の最も基本的な使い方は、1本の移動平均線の傾きは右肩上がりであれば相場が上昇、右肩下がりなら下落と予想する方法でしょう。長期移動平均線を使うと、相場の大きな方向性が分かりやすいです。専門家が株価や為替の日足で数か月の値動きを説明するときには、数か月以上の長期チャートに75日、200日などの長い期間の移動平均線が使われるケースが多いですね。
期間を変えるとどうなるのか?
チャート①は、2020年3月のドル円日足チャートです。このチャートの前半では、もみ合いのレンジ相場でしたが、水色の縦の破線で示した3月25日以降は欧米で新型コロナウイルスの感染者が大幅に増え、ドル安円高に動きました。チャート①の上側は、期間75の単純移動平均線、下は全く同じローソク足に期間25の単純移動平均線を表示しています。
二つのチャートの下には移動平均線の傾きから予想される相場の上昇、下降を矢印で書き込みました。青い矢印で示した期間は移動平均線の傾きが右肩上がりなので相場が上昇、赤い矢印は右肩下がりの期間なので下落の予想となります。
期間75の移動平均線では、相場が下落トレンドに転じた水色破線の時点から、かなり遅れて移動平均線が右肩下がりになっていますね。移動平均線の期間を長くすると、おしなべて相場予想の的中率は高くなりますが、相場が速く動くと移動平均線の動きは実際の相場の値動きから大きく遅れてしまいます。しかも、移動平均線の動きが緩やかなので、売買の機会が少なくなってしまいます。
したがって、チャート①の相場においては移動平均線の期間を20前後の短い期間に設定する方が、より多くの利益を得られる可能性が高まります。
期間が適正ならトレードしやすい
もう一度、チャート①の下側にある期間25のチャートを見てください。水色の破線よりも右のオレンジ色の破線で囲んだ下落トレンドが出ているところでは、移動平均線がローソク足に沿って動いており、上値抵抗線(レジスタンスライン)となっていますね。
さらにチャートの右端のドル高に動いているところでは、下値支持線(サポートライン)になっています。また、水色破線よりも左側ではローソク足がほぼ水平の移動平均線の上下を行き来しており、その時点ではトレンドがないレンジ相場であったと分かります。これらのことから、チャート①においては相場の流れがつかみやすい期間25が適しているといえます。
その時々の相場によって、予想にふさわしい移動平均線の期間は異なります。まずは最近のチャートで期間を昔から使われている75に設定し、その後に少しずつ期間を短くして相場に合った期間を見つけましょう。
移動平均交差法
短期と長期の2本の移動平均線を使う「移動平均交差法」もよく知られています。まず短期移動平均線は期間25としましょう。次に長期移動平均線の期間は短期線の2倍程度、つまり50に設定してください(チャート②)。そして、実際の相場の動きよりも移動平均線の動きが遅ければ、期間を少しずつ短くして調整しましょう。最近の相場では短期移動平均線の期間は25前後、長期移動平均線の期間は50程度だと勝率が高く、平均して利益が取れるのでお勧めです。
次に、直近の3週間ほどのチャートに移動平均線を表示して売買の勝率、利益、損失額をざっと調べてみましょう。この原稿を執筆している時点では、ドル円の値動きは穏やかです。為替相場は時に大きく動き、時にほとんど動かなくなるなど様相が変わります。もし、相場の値動きが大きく速くなったら、その時点で移動平均線の期間を少し短くしましょう。
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パラメーターの調整
テクニカル指標は、過去の値動きをある数式に当てはめて計算し、その結果を曲線や記号などでチャート上に描き、将来の相場を予想しやすくする手法です。つまり、テクニカル指標はそれまでの相場の経験則ですので、相場の動きが大きく変われば設定をそれまでと変更する必要があります。
FXで安定して利益を上げるには、説明したように相場の動きに合わせてテクニカル指標のパラメーターを調整することが大切です。
※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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