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FX力を鍛える有名人コラム

トランプ勝利!きたる円高時代に備えよう[井口喜雄]

トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。 

執筆時点ではまだ確定はしていないのですが、大勢は決しており、ドナルド・トランプが勝利をおさめたようです。

多くの人がヒラリー・クリントン候補の勝利をメインシナリオとしていたなか、6月のBrexitと同様またしてもサプライズとなりました。Brexitの時、離脱は痛みを伴うので選択できないと考えていましたが、英国民の感情はそれを上回りました。

米大統領選挙でも我々が思っている以上に元政権に不満があり、今の現状を変えたいという思いが強かったのでしょう。また、マスコミで報道されている以上にトランプの人気が高かったということかもしれません。

さて、お祭りが終わり、今後の展開はどうなるのでしょうか。

リスクオフは避けられない展開

トランプ氏が実際大統領になった場合、オーソドックスな政治になる可能性がある一方、現在のスタンスのまま突っ走る可能性も否定できません。

マーケットにとって一番厄介なのが不透明感です。この不透明要素の高いトランプ氏が大統領になったことで一旦は世界的なリスクオフ地合いとなり、円が買われる地合いがメインシナリオになります。

また、トランプ氏は大統領に就任した暁にはFRBのイエレン議長の再任を認めないとの発言をしており、自らを低金利人間と呼び現在FRBが向かっている利上げシナリオを批判しています。

12月の利上げ確率は80%を超えて完全に織り込んでいますが、こちらもわからなくなってきました。米経済は完全雇用となるなか、おそらく12月の利上げは実行する(FOMCは今のうちにやってしまえと考えているかもしれませんが)と考えていますが、もしかしたらやらないかもしれないというモメンタムが米ドル/円を押し下げる要因となります。

円高時代の到来か

さらに現在、各国で行われている通貨安戦争に待ったをかけるだけならまだしも、今後米国も参戦して金融緩和を進めてくる可能性も否定はできません。

大幅な金融緩和やトランプ大統領の掲げている大型の財政政策はリスクオンになるため円安効果の側面もありますが、トランプ大統領が金融緩和に舵を切れば長期的に見て円高時代の到来は避けられないものと思われます。

また、こちらは短期的なお話になりますが、急激な円高を受けて早速、麻生財務相と浅川財務官が面会して政府と日銀が緊急会合を開いたようです。おそらく円売り介入が話し合われるものと思われます。

しかし、円売り介入はできないと思います。この値動きが投機的な動きではなく、普通の失望売りだからです。単独介入をしても催促相場になるだけなのは重々承知していることでしょうからこの水準で介入はやってこないでしょう。

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