トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
マーケットは昨日、注目されていたイエレン議長の発言ではなく、ドラギ総裁の発言で動意づく形となりました。ドル円もドラギ総裁のタカ派発言で上昇したユーロ円につられて112円台まで回復しています。ドル円は膠着状態が続いていただけにここから上昇トレンドを構築できるのでしょうか。
ドル円上昇と考えるには時期尚早か!?
ドラギ総裁のタカ派発言でドル円は上昇したものの、ドルインデックスのチャートを見ると逆にドルは下落しておりドル自体の強さは確認できません。昨日のイエレン議長の発言を聞いても「バランスシート縮小は慎重に行う」とややハト派よりのスタンスになっており、やはり現時点でドル円上昇と考えるのは時期尚早ではないかと思います。
また、昨日はオバマケア代替法案の採決を米上院が先送りにしたことを受け、またしてもトランプ政権の不安定感が露出しました。これでは本丸である減税やインフラ支出、規制緩和などの政策に対してマーケットが懐疑的になるのもいたしかたなく、引き続きドルの足枷となっています。更に、足もとでは米経済指標の弱い結果が目立っており、今週木曜日に発表される米GDPの結果が悪化するようであれば今後の米利上げペースの見直しが迫られるのではないでしょうか。
日米金利差拡大を背景とした上昇シナリオを描くこともでき、ドル高になるチャンスはあるとは感じていますが、まだ強気にはなれず、米経済指標と米長期金利を眺めながらのトレードが続きそうです。
ユーロは次のステージへ
ECBのドラギ総裁がECBフォーラムの開幕演説で「力強いユーロ圏の景気回復が見られる、デフレ圧力はリフレに変化した」と発言。更には「政策を変更する可能性はある」とも述べ、資産買い入れ額や金利を変更する事は有り得るとして、ユーロが急上昇しました。このようにECBがタカ派へ調整してきた一方、FRBはハト派へと微調整をしており、やや乱暴に言えばユーロドルは下げようがないという状況です。更には堅調なドイツ経済、メルケル首相のユーロ安に対する懸念表明などポジティブな材料が散見しておりユーロは完全に次のステージに上がったとみていいでしょう。そしてこの流れは次回ECB理事会の7月20日までは続くとみています。
ユーロドルは1.1500が視野に
チャートをみても直近の高値1.129ドルを軽々とブレイク。日足できれいな大陽線を形成しており、完全な上昇シグナルが出ております。テクニカル指標を見ても5日、25日、75日の移動平均はいずれもプラスに傾いており、一目均衡表の遅行線は実線をブレイクしていて相当強い地合いが確認できます。利益確定の売りに押される局面もあるでしょうが、次のターゲットは1.1500ドルになります。
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