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FXで「己を知る」ことの重要性[為替鬼]

孫子の「彼(敵)を知り己を知れば百戦して危うからず」という言葉を、恐らく読者の皆さんも御存じだと思います。これを為替取引に置き換えて考えてみると、「彼を知る」とは為替相場の分析を行い、マーケットの状況を見極めること。「己を知る」とは、自分のトレーディング能力を客観的に評価し、相場に臨むことを意味すると思います。

個人投資家の多くは、さまざまなインディケータを駆使してチャート分析をするなど、「彼を知る」ことには一生懸命ですが、「己を知る」ことについてはどうでしょうか。今回の記事では、為替取引における「己を知る」ことの重要性を、考えていきたいと思います。

孫子の兵法書が教えること

FXで皆さんがエントリーするに際して、恐らくチャートにはいろいろなインディケータを表示させ、自分なりに相場の状況を分析しているのではないでしょうか。トレーダーのなかには、たとえば、「ドル/円」を取引する場合、日米の金利差に注目したり、日米の株価やゴールド、原油の価格など、通貨以外の要素を重要視する人も少なくありません。これらのことは、少しでも相場の状況を正確に分析するためのものであり、まさに「彼を知る」ことに他なりません。

その一方で、皆さんはどれだけ「己を知る」ことに、心を配り時間を割いているでしょうか。言い換えれば、どこまで自分のトレーディング能力や運用パフォーマンスを客観的に評価し、今後のトレードに活かしているでしょうか。注意すべきことですが、自分の能力に対する見積もりは、高すぎても低すぎてもいけません。能力の見積もりが過大であれば、傲慢になって資金管理が杜撰になり、大損する可能性が高まりますし、見積もりが過小であれば、臆病になって絶好のチャンスを生かせないからです。

トレーディング能力とは

そもそも、トレーディング能力とは、どんなことを指すのでしょうか。一番わかりやすい指標が、トレードによる金銭的な損益であり、一回一回のトレードの勝率かもしれません。たとえば、今月は100万円儲かったとか、100回やって70回勝ったというのは、トレーディング能力の優劣をイメージしやすいモノサシになるでしょう。さらに、損益や勝率に加えて、トレードの損益率(ペイオフレシオ)も、能力を測る上で重要な要素になってきます。たとえば、一般的に勝率が高い傾向にある逆張り短期トレードは、ペイオフレシオ(平均利益pips÷平均損失pips)が低くなりがちです。逆に、中長期の順張りトレード手法は、勝率は低いもののペイオフレシオは高くなるのがふつうです。

したがって、スキャルピング手法なのに勝率が低いとか、トレンドフォロー手法なのにペイオフレシオが低いような場合、長期的に勝ち続けることは難しいかもしれません。つまり、高勝率や高ペイオフレシオといった傾向が不可欠な手法なのに、それに見合ったパフォーマンス特性になっていないとしたら、どこかに問題があると考えるべきです。そのような場合の多くは、売買ロジック自体にエッジ(優位性)がないか、ルール通りに売買ができていないかの、いずれかではないでしょうか。

「己を知る」とは

ところで「バルサラの破産確率」というのを御存じでしょうか。これは、ナウザー・バルサラという数学者が考案したもので、破産確率とはある売買ロジックでトレードを繰り返した場合に、運用資金が底をつく確率を表します。バルサラの破産確率を計算するには、「勝率」「ペイオフレシオ(損益率)」、そして、「1回のトレードでリスクにさらす資金の割合」の3つが必要になります。

自分のトレード履歴をある程度用意して計算してみると、このまま順調に利益を積み上げられる可能性が高いのか、それともこのままのやり方ではいつか破産してしまうのか、今後の大雑把なイメージを得ることに役立ちます。ナウザー・バルサラによれば、破産確率は1%以内が優秀とされており、5%以内が望ましいと考えている投資家が多いようですが、個人的には10%以下であれば、まずまずの結果ではないかと思います。この破産確率表は、自分のトレーディング能力を測る尺度として有用で、客観的に「己を知る」ためのデーターとして、とても参考になります。

破産確率を計算してみよう

ひとつの具体例として、為替鬼のトレード手法の破産確率を算出してみました。私は毎日100回前後の超短期トレードを行っていますが、たとえば、先月(2013年7月)1カ月間のトレード履歴は、2051戦1571勝480敗で、勝率は76・6%、損益は約618万円の利益でした。先月の平均利食い幅は約1.8pips、平均損切り幅は約4.1pipsで、損益率は0.44になります。利食い幅がこんなに狭かったことに、ちょっとビックリしました。この場合の破産確率は20%を超えるので、この売買ロジックのままでトレードを続けた場合、5人にひとりの割合で破産することになります。あくまでも印象ですが、このままではいつ破産するかわからない、かなり危ういトレードをしていたことがわかります。

一方、先々月1カ月間はかなりたくさんトレードして、3780戦2525勝1255敗で勝率が66・8%、損益は約1164万円の利益でした。平均利食い幅は約3.4pips、損切り幅は約4.2pips、損益率は0.81で、破産確率は数%程度となり、安定的に利益を積み上げることができました。この2カ月間の分析でとても参考になったことですが、私の超短期トレードの場合、勝率よりも損益率が大きなカギを握っていることがわかります。つまり、少々勝率が下がることを覚悟してでも、利益を伸ばすように工夫しなければ、いつか破産するような事態になりかねないということを示唆しているのです。

このように、定期的に自分のトレードの破産確率を算出し、売買ロジックをできるだけ客観的に分析し、その分析に基づいて効果的な対策を打つことにより、トレーディング能力の向上に役立てることができるのです。

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破産を防ぐためには

どうすれば破産せずにトレードで利益を積み上げられるかに関しては、その方法として次の3つのポイントがあります。まず第一に、トレードの勝率を少しでも上げる努力をすることです。そのためには、自分のトレード手法をさまざまな角度から検証し、たとえば、エントリーポイントを徹底的に精査するなどの、試行錯誤を延々と繰り返すことが必要です。

続いて、損益率を上げるための工夫をすること。具体的には、損切りはできるだけ早く、利はなるべく伸ばす、損小利大のトレードを目指すことが求められます。そして最後に、口座資金に対する1トレード当たりのリスクを低くする、つまり、大きく張らないということです。

FXの経験が長く、勝ち続けているトレーダーほど、低リスクの投資をしているのに驚かされます。なぜなら、何が起こるかわからない為替取引の世界では、どんなに値動きをとらえるのが上手いトレーダーでも、失敗したときに大損するかもしれないというリスクを、常にかかえているからです。だからこそ、一度に大きなリスクを取って大きく稼げる人よりも、大きく負けない投資が継続できるトレーダーこそが、破産せずに生き残り続けることができるのです。逆に、投資経験が浅く今まで負け続けてきた人ほど、ハイリスクな投資をする傾向があるように感じます。

今まで自分が破産する確率なんて気にしてこなかったという方は、この機会に自分の破産確率を算出してみてはいかがでしょうか。トレーディングに対する見方が大きく変わる、キッカケになるかもしれません。

勝てない原因を突き止めろ

FXは9割の人が負けて、1割しか勝てない厳しい世界だといわれます。決して才能のある人だけしか勝てない世界ではありませんが、簡単に利益が上がるような甘い世界でもありません。したがって、どれだけ優れた技能をもったトレーダーであっても、長く為替相場の世界にいれば、必ず損失が続く時期が訪れます。そのときがきても、破産しないリスクで常にトレードすることが重要です。

ただし、どんなに低リスクでトレードしていても、損失の原因がわからなければ、いつまでも改善策を見つけることができません。最終的に口座資金のほとんどを失い、相場から退場せざるを得ない状況に陥るのは明らかです。したがって、自分のトレードのパフォーマンスを定期的に分析して、常に損失の原因に監視の目を光らせておけば、安定的に利益を積み上げていくことが可能になります。今まで「彼を知る」ことに努力してきた割に、思うような結果が出なかったという方は、これからは「己を知る」ことにも、目を向けていただきたいと思います。

日々の膨大な数のトレードで実感していることですが、「彼」である為替相場に確実なことは、何ひとつ存在しません。だからこそ「彼を知る」努力だけでは、勝ち続けることは至難の業だと感じます。FXはまさに、「彼(敵)を知り己を知れば百戦して危うからず」の世界なのです。(月刊FX攻略.com 2013年11月号掲載)

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