- 確実な利益を望み、損失から逃げるプロスペクト理論
- これまでに投じたコストに縛られるサンクコスト効果
- 本当は分かっていても現実を認められない認知的不協和
- 最初の情報や判断に振り回されるアンカリング効果
- 心理的な罠を回避するためにはルールの設定と厳守を
プロスペクト理論が利小損大を誘発
今月は、トレードに大きな影響を与える人間心理についての解説です。投資の世界において、手法やライフスタイル、資金などは人それぞれです。にもかかわらず、多くの方が資産を失ってしまうのは、この心理面が少なからず影響していることは間違いありません。いってしまえば、「普通の人間なら誰もが陥る罠」であるといえます。
まず、「プロスペクト理論」から解説していきましょう。この言葉を聞いたことがある方も多いはずで、FXにおける心理ワードで最も有名なものでしょう。学術論文になるほど内容が濃いものですが、簡単にいうと「人間は確実な利益を望み、損失を避けたがる」というもの。目の前のポジションが含み益だと、予定より早いタイミングで利食いしたくなってしまうのに、損失の確定はなかなかできず損切りをちゅうちょしたことはありませんか? 実はそれ、普通なんです。訓練をしていないなら、ほとんど誰もがこういう感情になります。
この状態が続くと、利食いが浅く、損切りが深いトレードになりがちで、「利小損大」の未来が待っています。
投じた時間や費用が惜しくなってしまう
二つ目は「サンクコスト効果」。これは、「苦労したり、時間や費用をかけたことを無駄にしたくない」というものです。見始めた映画の最初の30分間がぜんぜん面白くなくて、でもお金を払ったんだから最後まで見ないともったいない、といった心理といえばニュアンスが分かるのではないでしょうか。でも、お金を払ったことと、その映画の後半が面白くなるかは別問題ですよね。
FXなら、「これだけ時間をかけて分析したんだから」「こんなに待ってやっと得たチャンスなんだから」という心理につながります。その結果としては、ルールを守れなかったり、強引な利益追求になったり、損切りが遅れたりします。
ここで大切なのは、どれだけ自分が長時間の分析をしたり、狙い澄ましたエントリーをしていたとしても、相場には何も関係がないということです。相場は、投資家一人一人が投入したコストなど知りません。
相場の状況は常に変化していますから、どれだけコストを投入したトレードであろうと、流れと違うことをしていると感じたら、すぐに軌道修正する必要があります。
分かっていても認められない
三つ目は「認知的不協和」です。これは目の前に起きている事実を、認めたくないという心理から来るもので、本人はちゃんと分かっていることがポイントです。分かっていながら認められず、無理やり別の解釈を用いるなどします。
分かりやすい例として、タバコについてこんなことをいっている人を見たことがありませんか?
「タバコを吸っていても長生きする人はたくさんいる」
タバコが身体に悪いことは自覚しているのに、それを認められず、吸っていながら長生きをする人もいるという論理のすり替えをして、自分が喫煙することを正当化しています。
FXなら、「~だからまだ大丈夫」というパターンが多いです。5分足のルールに基づいて買いエントリーをして、既に含み損になっている。それなのに「日足はまだ買いの形になっているから大丈夫」「今日この後、経済指標があるから問題ない」という風に無理やり理由を作って、今持っているポジションが含み損になっていることを認めようとしません。
ずっと影響する最初の予想や判断
四つ目は「アンカリング効果」です。これは、最初の考えや予想が、その後の判断を狂わせることを意味します。
有名なトレーダーの「ドル円がこれから●円になる」という予想に、自分が引っ張られてしまうパターンですね。
あるいは自分が分析して、「ドル円はこれから上がる」という結論になったとして、後から別の情報が出てきたり、相場の展開がガラリと変わったとしても、最初の分析で固定された目線がなかなか変えられないという経験がある方もいるのでは?
今回は四種類の心理的に陥りやすい罠を紹介しましたが、これらから逃れるためには、優位性のある取引ルールが必要です。もちろんそのルールをしっかり守れることが前提です。
普通の人間が自由気ままにトレードをすれば、まず間違いなく今回紹介したような状態になり、自然と不利なトレードを繰り返すことになります。
「FXで結果を出すためには、手法は何でも良い」とよくいわれます。それには、今回紹介したような心理的な影響の方が、投資手法よりはるかに大きいという側面があるからです。
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※この記事は、FX攻略.com2021年3月号(2021年1月21日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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