FXに対して「一発勝負の賭け事」というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし実際は、堅実な積み重ねが必要となる投資です。果たして、そんなFXとの良い関係を築いていくために、どんなことを心がければ良いのでしょうか。香澄ケイトさんに伺います。
諦めたら終わり
だいぶ前の話になりますが、5人ほどの個人投資家さんにインタビューをさせていただいたことがあります。ものすごいFXの猛者が現れるのかと思っていたら、皆さんごくごく普通の方ばかり。全員に共通していたのは、「頑張り屋さん」だということ。相場で紆余曲折、失敗し、そこから一念発起して、自分なりの投資ルールをつかみ取った人たちでした。
多分、相場に負けるのが悔しい以上に、自分に負けるのが悔しいんですね。そう、負けたら終わりじゃなくて、諦めたら終わりなんです。ほとんどの人は最初から、そううまくはいきません。相場はそんなに甘いものではないんです。
最初はビギナーズラックがあったとしても、その後で相場の真の力を思い知らされるのです。
長く付き合うための二つのコツ
何となく儲かりそうだからと思ってやって、大きな損を出して退場。そして二度とFXはやらない……それでは、あまりにも残念だと思いませんか? せっかくFXをやろうという気持ちになったんですもの。FXはギャンブルではありません。投資なんです。長い目で見て、長く付き合って、資産形成にプラスになるようにしましょう。
最初は下手でも、続けていれば上達します。問題は続けていけるかどうかです。そのためには、「大きなダメージ(損失)を被らないようにすること」です。
私の場合は、次の二つの方法で、そうならないようにしています。
①小さなつづらでトレード
私は、以前は10万単位でトレードしていましたが、現在は1〜5万単位にしています。身の丈サイズの取引金額を導き出すには、レバレッジをかけた取引金額(円換算して、100万円なのか1000万円なのか、1億円なのかなど)を、実際の金額として違和感なく使えるかどうかを基準にしてみてください。
損失をいかに少なく抑えるかがFXを続けていく上で重要ですので、そのためには、自分が許容できる損失も考えなくてはなりません。損失許容範囲は、自分の日常生活レベルに当てはめて、1万円とか10万円とかいった金額がなくなっても大きな違和感を覚えないかどうかで判断すると良いでしょう。全く損をしたくない? だったらFXはお勧めできません。
リスク対リターンの関係から考えると、損失を出したくないのであれば、大きな利益は望めません。その代わり小さな利益でもコツコツと積み重ねていけば、いずれそれなりの利益になります。FXが継続できて、10年単位のスパンになれば、自分の資産形成に一役買ってくれる結果になると思います。
②デイトレでその日中にスッキリ
私は基本的に、FXは短期トレードが良いと思っています。中でも私はデイトレに終始しています。利益が出ていようが、損失が出ていようが、その日のうちに決済します。
ポジションを寝る前に決済すれば、傷(損失)も浅くて済むし、第一安眠できる。為替市場はNY時間で大きく変動する傾向があるので、眠っている間に相場が急変して、翌朝起きたら自分のポジションがアゲインスト(不利)になっているのって、私の場合は精神的にも相当良くないんです。
私は一通り、長期、スイング、スキャルピングと試してから、デイトレに落ち着きました。人それぞれですから多少模索をしなくてはいけませんが、模索したらその分だけ、自分に最も適したトレードスタイルが会得できると思います。
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FXもほど良い距離感が大事
もう一つ、私がFXを長く続けるために強く心がけているのは、「常にポジションを持たないこと」。FXをやる人なら必ず一度や二度、もしくは慢性的にかかってしまう、いわゆる「ポジポジ病」のことですが、無計画な自分の感覚だけの値ごろ感でトレードするのだけは避けましょう。これを実行するだけでも、損失を未然に防ぐことができます。
また、トレード時間にメリハリをつけるようにし、ダラダラと相場を見ないことです。やたらと相場を気にしていると日常生活に支障を来してしまいます。自分がトレードすると決めた時間帯以外は、FXのことは忘れるくらいの気持ちでいるのが良いと思います。
ちなみに、長続きするカップルの秘訣の一つは、あまり会い過ぎない(干渉し過ぎない)ことだそうです。FXもそんなイメージでしょうか?
ですから結論をいうと、「FXと長く付き合うコツ」は、「のめり込み過ぎず、ほど良い距離感を置くこと」だと思います。専業トレーダーを生業としない限り、自分の本業があるわけですから、自分の生活に影響を及ぼさないようにすることが基本。
FXでちょっとくらい損失を出したとしても、本業がうまくいっていれば精神的にもビクともしません。反対にFXで大きな損失を出して、本来の屋台骨がグラつかないようにしましょう。
※この記事は、FX攻略.com2017年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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