FXにおいて時間的な要素を重要視しているという川崎ドルえもんさん。本企画はそんなドルえもんさんに統計的なアプローチから具体的なトレード戦略を教えていただきます。
8月は円高相場アノマリー
こんにちは、川崎ドルえもんです。今回は8月の為替傾向を解説していきます。
まず表①を見てください。これは8月につけた月足(過去20年分)が陽線・陰線のどちらであったかを数えたものになります。見て分かるように、クロス円の陰線回数が多くなっています。特にユーロ円と豪ドル円の陰線回数が16回、ドル円とポンド円の陰線回数が15回とかなり偏っています。全20回中16回ということは確率に直すと80%、15回ということは75%になります。私は全24通貨ペアの月足の統計を取っていますが、80%以上というのは6回しか出現していないぐらい強い確率になります。そのうちの二つが8月のクロス円に集中しているという、とても珍しい月になります。
このことから、8月は円高になるアノマリーがとても強い月になります。年間の月足データを見ても、ここまでのアノマリーデータは存在しないぐらいとても強いシグナルデータです。
また、表①の豪ドルに関する通貨ペアを見てください。豪ドル円の陰線回数が16回、豪ドル米ドルの陰線回数が15回、一方でユーロ豪ドルは陽線回数が16回と多くなっています。ユーロ豪ドルは豪ドルが決済通貨側になっていますので、これらの3通貨ペア全てが豪ドル売りの方向に偏っていることになります。
ここで6回しか出現していない80%以上の確率がもう一つ出現しました。つまり、8月は6回しかない80%以上の月足確率のうち三つが集中しているのです。ちなみに、残り三つは4月・5月・12月に1回ずつ出現します。
以上のことから、為替統計論アノマリーの中で8月は年に1回ある特異月であり、円高と豪ドル安の傾向があることが分かります。
さらに、8月は新興国通貨に注意が必要です。表②はメキシコペソ円とトルコリラ円の過去13年間の月足統計データです。見てみると、陰線回数が共に10回と多くなっています。新興国通貨はスワップ運用で人気があり、買いで入っている人も多いでしょう。しかし、この二つの通貨ペアは8月に過去約77%の確率で陰線になっており、この時期に買いで入るのは危険だということが分かります。
円高アノマリーはいつからいつまで?
8月に円高の傾向があるといっても、1か月は約30日間あります。いつごろに傾向が出るのでしょうか? 見てみましょう。
表③は過去の週足データで陽線になった確率を今年の週に当てはめて表示しています。8月10日からの週を見てみると、ドル円の陽線確率が30%、ユーロ円が20%、ポンド円が23%、豪ドル円が17%、スイスフラン円が20%と低くなっています。陽線確率が低いということは陰線になりやすい傾向があるということです。このことから、8月の円高傾向は8月10日からの週を中心に起こりやすいことが分かります。
この時期に円高が起こりやすい理由として、私はお盆休みが影響しているとみています。投資家は休暇に入る前にポジションを決済する傾向があり、お盆休みは日本独自の休暇なので日本の外貨保有者が日本円を買い戻す動きが出るからです。今年のお盆休みは8月13日(木)からなので、その前週の後半からクロス円は下落傾向が出てくると私は考えています。
次にドルストレートの週足統計データを見てみましょう。表④の8月10日からの週を確認すると、ポンドドルの陽線確率が23%、豪ドル米ドルが27%、NZドル米ドルが30%と低くなっています。このことから、8月10日からの週はドル高のアノマリーも若干あることが分かります。特にポンドドルに関しては前週(3日からの週)から陽線確率が低いので注目です。
ドル円の日足統計論データ
最後に表⑤のドル円日足データを見てみましょう。見方は、左から順に2000年~2009年の陽線確率、2010年~2019年の陽線確率、直近10年間に比重をおいた過去20年間の陽線確率(加重平均)を表示しています。
加重平均の列を見てみると、月初めからお盆休み前の12日までは陽線確率が低くなっている日が比較的続いており、お盆が始まる13日は逆に86%と高くなっています。これは日本の市場参加者がいなくなるからでしょう。
このデータを基に8月のトレードを構築するとすれば、月初めからクロス円を中心にショートを積み立てていき、お盆休み前に決済するというシナリオを考えても良いでしょう。ただし、このデータは過去のローソク足を計測したものになります。ちょっとした事象でアノマリーは簡単に覆るので注意が必要です。このデータを参考にトレードを行うにしても、必ず損切りを設定しましょう。
※この記事は、FX攻略.com2020年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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