当企画は、投資家の眞壁憲治郎さんが募ったトレーダーの皆さんにFXで「わらしべ長者」を目指していただこうというもの。「労働者から資本家へ」をテーマに掲げ、参加者が知識と技量をしっかりと身につけながら、わずかな資金からでも大きく勝てるようになっていくことを目標としています。
レベルを上げるべくトレーダー3名が参加
眞壁 この企画は私が打ち立てた「トレードを熟達させるためのプロセス」をたどる形式となります。参加者は2か月から3か月の交代制です。初心者の人、勝てるようになりたい人、単純に私から学びたい人といった方々に向けて、手取り足取りやっていきます。今回はその一歩目です。これから順序立ててお話ししていきますが、先に自己紹介をします。
私は2009年に大学を卒業してメーカー商社に就職、その夏にFXを始めました。翌年に株式投資、3年後に不動産も手掛けるようになり、2年ほどして暇ができたのでツイッターを開設し、知識・経験・ノウハウを記した情報配信を始めました。2015年の4月に始めた『投資家の金融マガジン』は毎週土曜に配信しており、現在で4年目です。私の投資法や運用方法は『投資におけるスキーム論』という電子書籍に取りまとめていますが、昨年は証券会社から依頼をいただいて講演会をしました。今回の企画は改めて再現性を確認するという趣旨でもあります。参加者はツイッターでご連絡をいただいた方々の中から3名を選出しました。どうぞよろしくお願いします。それでは、一言ずつ自己紹介していただけますか。
仲岡 私は36歳で妻と子がいますが、5月に会社を辞めました。専業トレーダーを目指して本気で学び直したいと考えていたので、この企画に参加できたのは運命だと思っています。
松永 私はFXを始めたのが昨年9月で、100万円以上負けてしまったので、頑張って取り戻したいと思っています。仕事は個人で刺しゅうをしています。時間には余裕があるので、FXでも勝てるようになりたいです。
黒岩 僕は九州から来ました。相場歴は4年で、勝ったり負けたり収支が不安定なので、一度しっかり鍛え直したいと思っていました。今回はどうしても参加したかったので、無理をいって入れてもらいました。
眞壁 黒岩さんは年に何回かメールをくれて、仕事や私生活でも頑張っている様子が印象的です。
黒岩 ありがとうございます。実は、僕は眞壁さんのメルマガの読者なんです。元はブログが話題になっているのを目にしまして。
眞壁 自動車工場で働いて、その給料を海外のカジノにぶっこむやつ？
黒岩 あれも大好きで、読ませていただいていますが、それより前の…。
眞壁 34歳で15万円しか資金がない人に投資を教えるやつですね。
黒岩 それです！ 話題になっていましたよね。
眞壁 それこそメルマガを始めたのと同時期ですが、アクセス数が10万人を超えて驚きました。どちらも根底にあるテーマは同じです。労働者から資本家へ。労働対価で得られる資金から積み上げていくわけです。
黒岩 感銘を受けました。
松永 眞壁さんは元々そういうことをやろうと考えていたのですか？
眞壁 やろうと考えたのは、他人に教えようというより、自分がですね。運用スキームを組んで、私自身が立身しました。それで何か人様に貢献できるとすれば、これしかないと思っています。
仲岡 僕も立身したいです。頑張ります。
松永 私も頑張ります。
眞壁 大丈夫です。順序を経て、正しい知識と技量を身につければ、どなたでも勝てるようになります。要は仕事と同じですね。では、本題に入っていきます。
方針と目標は？
眞壁 「FX長者列伝」と冠していますが、要はFXで「わらしべ長者」になろうというものです。
仲岡 わらしべ長者ですか。面白いですね。
眞壁 わらしべ長者は、貧乏だけど信心深い男が道端で拾った藁から物々交換で最後には屋敷を得る話です。日本のシンデレラ・ストーリーですが、重要なのは藁から屋敷に一度で変わったのではなく、ミカンやら馬やら段階を経たことです。この話に倣って、投資も一発逆転ではなく段階を踏んでいきます。
黒岩 なるほど。
松永 シンデレラ！
眞壁 まず、いっておきたいのは、トレードに年齢や相場歴は関係ないということです。そこで私が「投資家レベル」というものを判定するので、皆さんは知識と技術を身につけながらこのレベルを上げていきます。本質と原理から正しく積み上げて、勝てるようになるのが趣旨です。
黒岩 ゲームみたいで面白いですね！ ちなみに僕は何レベルですか？
眞壁 黒岩さんは3か4ですね。仲岡さんが4で松永さんが2とします。これから課題を出していくので、最初の課題をクリアした時点で全員が5まで上がります。
仲岡 つまり1から4までは結局は同じということですね（笑）。
眞壁 段階を経る目安に過ぎないので絶対的なものではないですが、確実に実力がつくはずです。
黒岩 頑張ります！
眞壁 投資家レベルに関してはいずれ改めて話します。今回は最初ということで、各々の目標があるかと思いますが、まずは全員10万円からスタートしていただきます。しっかり勝てるようになってから、ご自身の運用額で再スタートしてください。要は10万円が3万円負けて7万円になったのであれば、100万円なら30万円、500万円だったら150万円の損失ということです。勝てないのに運用額を大きくしても、ただ失うだけです。
仲岡 分かります。
松永 私もなんだかんだ最初から100万円で始めてしまって、あっさり負けてしまいました。
眞壁 実力が必要です。10万円から1万円の利益を上げられるなら、10回達成すれば10万円、100回達成すれば100万円にもなります。これが長者への道程です。
相場はさながら戦場 覚悟なしでは残れない
眞壁 まず投資の技量を熟達させる要素は4つに分かれます（上画像）。これらを複合的かつ合理的に身につけていきます。負ける人、勝てない人は何かが欠如しているはずなので、初歩から完璧に抜けがないように完全にやっていきます。完璧で完全というのが大事です。
黒岩 眞壁さんがいつもいっていることですね。
松永 頑張ります。
仲岡 課題をやっていくということですか？
眞壁 そうですね。最初の課題は①と②を複合したものになります。それを次回に検証して、問題なければ③の運用計画を組みます。重要なのは、利益を得られる思考を完成させることです。手取り足取り教えていきます。
黒岩 ここまで教えてくれる人って他にいないですよね。
眞壁 こうして教えるのは、私自身が知識や技術を死蔵させないためでもあります。メールマガジンもそうですね。皆さんに課すことは、私も自分に課しているので、それだけ本気でやっています。しっかり取り組んでいただければ幸いです。
仲岡 もちろんです。叩き込んでもらいたいと思っています。妻子がいるので、ダメならすぐに再就職しますが、専業トレーダーになるのが夢でした。
眞壁 分かりました。仲岡さんには一番厳しく教えますね。
仲岡 どうかよろしくお願いします。
眞壁 ただ、最終的な目標は金額ではなく、そのお金で何をやるのかです。FXは社会貢献や慈善事業にはなり得ないので、お金の先に目標がないと気持ちがブレてしまいます。
松永 分かります。私もFXを始めると友達に話したら反対されました。
黒岩 得たお金で何をするかですね。
眞壁 家族を大事にするというのも重大な目標ですが、根底に覚悟があるかどうかも大切です。
仲岡 眞壁さんは何か覚悟をもって取り組んでいるんですか？
眞壁 私は大学が哲学科だったんですが、ある意味では実践の場ですね。
黒岩 初めて知りました。
眞壁 法律や金融は独学ですが、根底には帝王学があります。相場は、築き上げた人間性を活用できる場ということですね。ベートーベンの言葉にこういうものがあります。「勇気を出せ。たとえ肉体にいかなる欠点があろうと我が魂は打ち勝たねばならない。25歳、そうだ、もう25歳になるのだ。今年こそ本物になる覚悟をせねばならない」。これはベートーベンがまだ音楽界で脚光を浴びる前に決意を固めたメモです。本物になる覚悟がない人はどこかで手を抜きます。その結果、ほとんどの人が退場します。勝ち残るのは本物だけです。
仲岡 私は相場歴7年ですが、最初のころに知り合った人たちは大多数がいなくなりました。
眞壁 7年前というと、アベノミクス前後ですね。ドル円が70円台から切り返して120円台まで上がりました。私が始めたのはリーマンショック前後ですが、リーマンショック、アベノミクス、英国の欧州連合（EU）離脱決定、トランプ大統領の登場と相場の変革を見てきました。そのたびに顔ぶれが変わっています。
松永 私はまだ高校生でしたが、新聞やニュースで見ていました。今後も大きく変わりそうですね。
黒岩 今は米連邦準備制度理事会（FRB）が利下げするかどうかで相場が変わろうとしていますね。難しいです。
眞壁 相場は残酷ですし、結局はお金を取り合うゲームです。金額が大きくなれば遊びどころではなくなりますし、人の生き死にを左右するような側面があります。そんな戦場で戦い、生き残る。本物になる覚悟がないなら、損をするだけなので早々に去った方が良いですね。
仲岡 相場は戦場ですね。
眞壁 はい。本屋では素晴らしい思想や平和について書かれた書籍が売られている裏側でセクシャルな本とかバイオレンスな本も売られています。むしろ、それこそが屋台骨としてその本屋を存続させているのかもしれません。皆さんがこれから学ぶのは市場の本質であり、社会の原理ともいえます。本物になる覚悟があるのならば、課題をこなすことで証明していただきたいと思います。
黒岩 分かりました。全力で取り組みます！
一から学び直すことで死蔵した知識を再発掘
眞壁 では、最初の課題です（上画像参照）。ざっくりとしていますが、全面的に勉強し直した上で選定し、次回、解説していただきます。
仲岡 既に使用している手法でもいいですか？
眞壁 それは構いませんが、勉強し直したかどうかは確認します。そのため、投資用のノートを作ってください。
黒岩 分かりました！
松永 やります！
眞壁 完璧かつ完全に初歩からやる理由は、勉強不足と勘違いを改めるためです。死蔵した知識の再発掘にもなります。
仲岡 分かりました。ポジションの枚数も先に決めておくんですか？
眞壁 これはいわゆる攻略法となります。ゲームのように【技①】【技②】【得意技】という感じで決めてください。要は勝率が60％以上で【技】として1枚、80％以上なら【得意技】として2枚です。10万円でやるとドル円やユーロドルでも2枚が最大になりますが、そもそもポジションの大きさというのは儲けたいかどうかではなく、勝算の有無で増減させるものです。こうして明確化していればうかつにエントリーしたり、ポジションを増やしたりすることもないはずです。
松永 本当にゲームみたいですね！
眞壁 投資はマネーゲームともいいますからね。RPG、アクション、シューティング、シミュレーション、パズルなどいろいろありますが、うまくなればなるほどお金が得られるゲーム、それがFXや株です。これは他のゲームだけでなくスポーツや趣味、仕事で培った技量や心得なども役立ちます。いや、役立ててこそやり甲斐があります。
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総括
眞壁 以上の話をまとめると、重要なことは正しい知識と有効な攻略法、技量や人格です。投資に限らずいえることですが、これらをテーマに課題を出していきます。一つずつ積み上げていきましょう。こうして原理と本質から積み上げていくと、どこかで抜けている部分が見つかるはずです。あるいは再確認して投資法の精度を高められるかもしれません。分かった気にならず、テクニカル分析ならその成り立ちと仕組み、値動きとの関連性を理解する必要があります。
なお、今後の参加者に関してはツイッターやメールで【課題】を提出してくれた人から選出します。添削のみでも承りますので、課題発表を楽しみにしています。
※この記事は、FX攻略.com2019年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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