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FX力を鍛える有名人コラム

テロ警戒によりトルコリラ急落[松崎美子]

一気にリラ安が加速

今週火曜日(18日)の夜、いつものように寝る前にNY時間に出たニュースを調べていたら、「イスラム国(ISIS)が、イスタンブールを征服せよと指令を出す」というロイターの記事が目に飛び込んできました。読んでみると、トルコのエルドアン大統領に対する宣戦布告のような内容で、西側に媚を売る大統領などトルコ国民はさっさと見捨てて、その証にイスタンブールを征服すべきであるという内容でした。

翌日起きて、トルコ・リラの水準を見ると一気にリラ安が加速していたので、「こりゃ、イスタンブール征服よりも、これをきっかけとしたISISやPKKによるテロ活動がトルコ国内で活発になると、政治危機に加え、安全保障問題も出てくるよ… リラ円持ってる人達、大丈夫かな…」と友人と話していました。

ドル/トルコリラチャート トルコリラ/円チャート

イスラム国(ISIS)からのメッセージ

ISISに対する軍事行動に対し、今までずっと自国基地の使用を認めていなかったトルコ政府ですが、7月20日のトルコ南部の都市:スルチでの自爆テロをきっかけに、シリアとの国境沿いにある過激派組織:ISISの拠点や、イラク北部にあるトルコの非合法武装組織クルド労働者党(PKK)の空爆を開始しました。トルコ人とクルド人は天敵同士なので、双方の戦いの歴史は長いです。その戦いに終止符をうつ意味で、2013年に停戦したのですが、今回の自爆テロをきっかけに、停戦交渉は中断し、武力行使となってしまいました。

この攻撃が、「打倒ISIS」という純粋な目的だけなのであれば、それはそれで違う結果になったのかもしれません。しかし、6月7日の総選挙で自身が属する公正発展党(AKP)が過半数議席を取れなかったため、エルドアン大統領は解散総選挙を望んでおり、この空爆を決意した背景には、

「国内の反クルド意識を高める ⇒ 解散総選挙を実施し、クルド系が支持基盤となっている国民民主主義党(HDP)に流れた票を、AKPに戻す ⇒ AKPによる単独政権の誕生 ⇒ 念願の大統領権限強化を含む憲法改正を断行」

こういう魂胆があるといわれていました。

ロイターの記事によると、今週月曜日夜に、7分間に渡る動画メッセージが発表されたそうで、動画の出元がISISそのものか、ISISの付随組織なのかは不明のようです。そこでメッセージを流していたのは、トルコ語を流暢に話す(全く外国人のアクセントがない)ISISのメンバーだったと見られているようです。その人物は、

「アメリカにトルコを売ったエルドアン大統領は、とんでもない人物である。エルドアン打倒に賛同するトルコ人たちの手によって、イスタンブールを征服しよう。」と語ったと書いてありました。私自身もエルドアン大統領の個人的野望のおかげで、トルコという国そのものがテロの本拠地になるのだけは避けたいとずっと思っていただけに、ショックでした。

トルコ・リラに対する影響

この動画が出たことで、トルコ国内の反エルドアン勢が何らかの動きを見せるのか、しばらく目が離せません。そもそも反エルドアン勢力というものが存在するとしても、その規模については、どこにも書いてありません。

そして、この原稿を書いている水曜日(19日)ロンドン16時頃に、トルコ南部で8人のトルコ兵がクルド労働者党(PKK)による爆破の巻き添えになり死亡したと伝えられたと思ったら、今度はイスタンブールにあるダウトオール首相のオフィスのすぐそばにあるドルマバフチェ・ジャーミイ宮殿という観光名所で2人のガンマンが発砲したそうです。

現在のトルコ情勢

この報道を受け、トルコ・リラは一気に安値を更新し、とうとう対ドルで2.94台に突入し、現在は2.9310台まで戻ってきています。対円では42円台での推移に終始しています。

6月の総選挙以来、政治の空白が続いているところに、空爆参加。その代償として、今度はテロの恐れも加わってくるので、ますますトルコ・リラの取引が難しくなりそうです。

ここからのリラ円

そもそも、私はクロス円をほとんど取引していません。下手に円を絡めると訳わからなくなるので、主要通貨を取引する時は、対ドルか対ユーロがメインです。ですので、リラ円に関しても、ほとんどレベル感がないのが、辛いところ…

まず、リラ円の日足にフィボナッチ・エクステンションを引いてみると、100%のターゲットは既に達成しました。それより下(リラ安/円高)のターゲットをみると、150%の41.20/30円台、161.80%の40.90/41.00円台、そして200%が39.90/40.00円台になっています。

トルコリラ/円の日足

次は週足チャートに、過去のサポートラインなどを引いてみました。すると、日足の150%レベルである41.20/30台が過去の安値(チャート上の緑の点線)とほぼ同じレベルになっています。そうなると、もし、ここから47円台(水色ラインの上のもの)に戻らない限り、リラ円はまだ本格的な回復基調には戻らないようです。

トルコリラ/円の週足

最後になりますが、6月の総選挙後の連立交渉期限は、8月23日です。この日までに連立政権が誕生しなければ、90日以内に解散・総選挙の運びとなります。たぶん、連立交渉決裂は既に織り込み済みとは思えますが、23日のリラの動きにも注意してください。

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