こんなことがありました。
結構大きなロングのポジションをオーバーナイト(翌日に持ち越し)でもっていました。
翌日朝、目を覚まして早速レートを見てみると、自分のイメージより実勢値は低めでした。
そのレートから嫌なものを感じ、さらに出勤途中その気持ちは強まるばかりで、これはもう損切る、いや倍返しするしかないと、ディーリングルームに入る時には気持ちが固まっていました。
当時は、まだ電子ブローキングはなく、ブローカーさんとはマイクとスピーカーでつながっていました。
そして、自分のデスクにつくと、席に座るのももどかしく、中腰のまま全ブローカーさんのマイクのスイッチをオンにして、たとえばマーケットが99.95-00とすると、「99.50まで売った!」と叫びました。
まだ、朝8時過ぎの薄いマーケットでの突然の売りにマーケットもややパニック気味になりましたが、それほどは売れませんでした。
いったん売りを引いて様子を見ていると、買いがムクムクと戻ってきました。
そこでまた、「99.50まで売った!」と全ブローカーさんのマイクに向かって再び叫ぶと、今度は結構売れ、ロングのポジションをショートにひっくり返すことができました。
そして、東京がオープンすると、すでにマーケットはロングになっていたようで、突然売り一色となり2円急落し、ロングの損失をカバーでき、さらに利益を得ることができました。
要は、アゲンスト(不利な)のポジションをもっていて、「塩漬け」とか「布団をかぶる」というかたちで耐えるという方法もありますが、ときには自分のそれまでの相場観を自ら否定し、逆に攻めに出るということも大事だと思います。
剣法の極意でも、「振り下す刃の下ぞ地獄、飛び込んでみよ。極楽もあり」と捨身をもって禍を福に転ずる術を諭しています。
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