【来週の米ドル/円予想レンジ】→ 99.10-102.30
「うーん…。日銀だけに(景気回復を)頼るのも無理があるんだよな…」-。これは金融政策に精通する懇意の代議士から先日、聞いた弁だ。しかし7/29の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁は「マイナス金利あるいは量的緩和に限界がきたということは、全くないと考えています」と強気の発言をしている。
では、9月の日銀金融政策決定会合での「総括的な検証」で、いったい何をしようとしているのだろうか。
総括的検証とは何だ?
日銀は、次回9/20-21の金融政策決定会合で、2013年4月からの黒田政策を振り返り、自らの政策を検証するとしている。検証の理由は、デフレ脱却が道半ばだからである。そこで筆者は、「総括的な検証」で何を行うか、2つ推考した。
1つは、現策の軌道修正、強化、若しくは新たな策を追加公表することである。無難な予想は債券買入れ規模や対象の債券の拡大だ。そして以前も示したが「量」「質」「金利」に「時間」を加え、現在の「2017年度中に2%」という物価目標時期をずらす可能性である。
安倍首相は6/1に消費増税10%への引き上げ時期を2019年10月に先送りした。しかし、これは現行の自民党の党則では、安倍首相の任期満了後になる。現在、安倍自民党総裁(首相)の任期延長に向けて党則の改正論が報じられている。ならば、黒田総裁の任期後に達成時期を延長するとした論も浮上しておかしくはないのではないか。
2つ目は、異次元緩和での副作用として発生した円安が物価や経済にプラスの効果を及ぼしたのではなく、今後は円安主導で経済にプラス効果をもたらすことを明示するのではないかと推考する。
2013年4月の異次元緩和開始時の1ドル95円水準を脅かしている現状、円安がもたらしたデフレ脱却効果は剥落観を強めている。他方、主要中銀総裁らが自国通貨安を歓迎する姿勢とは対照的だ。黒田総裁の矜持に関わるかもしれないが残りの任期約20ヶ月を考えると「円安歓迎」とした市場対話の強化も検証のひとつとして挙げられるのではないか。
来週の見通し
8/29週の米ドル/円上値焦点は日足一目均衡表雲の帯(103.79-104.84)が圧迫するなか、まずは8/22高値100.95超、8/15-16-17高値圏101.18-29-47が第1目標。8/12高値102.29アプローチが課題だ。
下値焦点は100円台維持、8/18、19、23安値99.93-85-63が意識され99.50割れは2013/11/12-14安値圏99.12-08が視野となる。99円維持が失敗すると98円前半、2013/11/7安値97.60までの下押し拡大を推考している。
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