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3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析

外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|ISMなど経済指標に注目。乱高下相場の短期売買攻略法】

米中通商交渉や英国EU離脱問題も小康状態となる中、なにかと相場が乱高下しやすい年末がやってきました。ここ4年間のドル円は11月、12月に高値をつけたあと、正月を挟んだ年末年始に急落する流れが続いています。今回はドル円、ユーロドル、英ポンドの最近の値動きから短期売買で利益を得るためのテクニカル指標の選び方、使い方について解説します。

※この記事は、FX攻略.com2020年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

ISMショックなど市場の焦点は、米中貿易戦争で悪化する米国経済指標に

 2019年も余すところ、1か月。欧米のクリスマス休暇も間近に迫り、かつては閑散相場が恒例の時期でしたが、2015年の年末以降、株やドル円は12月までに高値をつけたあと、年末年始に急落する展開を4年にわたって繰り返しています。2019年の金融市場を激震させた米中貿易戦争は、10月初旬になんとか「第一段階の合意」にこぎつけました。英国の欧州連合(EU)からの無秩序離脱も、いまだ見通しは不透明ながら回避される方向に動いています。そう考えると、2019年の年末相場はリスクオンのドル高や株高が続く可能性もあります。

 そんな中、今後、焦点になりそうなのは、やはり「実体経済」。これまで絶好調だった米国経済が米中貿易戦争の悪影響をどれぐらい受けているかを示す経済指標に注目が集まりそうです。そのきっかけになったのが米国の供給管理協会(ISM)が発表する製造業景況感指数です。10月1日発表の同指数(9月分)が10年以上ぶりの低水準まで悪化。「ISMショック」といえるドル円の急落につながりました。

 チャート①はリーマンショックのあった2008年からのドル円、ISM製造業景況感指数、雇用統計の非農業部門新規雇用者数(NFP)の推移です。

ISM指数の落ち込みが鮮明ですが、これが一時的なものか、さらに落ち込むのかは不明です。ただ、2017年~2018年には月間20万人超を連発していたNFPも8月、9月と2か月連続で予想を下回って落ち込んでいます。

 米国製造業の動向を示す経済指標としては、毎月第1営業日に発表されるISM製造業景況感指数のほかに、

〇貿易収支(毎月中旬に前々月分を発表)

〇NY連銀製造業景況指数(毎月15日、当月分、速報性が高い)やフィラデルフィア連銀製造業景況指数(毎月第3木曜日)

〇耐久財受注(毎月第4週、前月分)や鉱工業生産指数(毎月中旬、前月分)

などが重要です。

 製造業の不振が米国経済の7割を占める個人消費に悪影響を与えるようなら景気後退のリスクが高まります。たとえば、

〇小売売上高(毎月中旬、前月分)

〇消費者信頼感指数(毎月最終週、当月分)

にネガティブな数字が出ると、ドル円や株価急落につながるでしょう。ただし、米国の景気減速がゆるやかな停滞(ソフト・パッチ)で終わるようなら、トランプ大統領の対中攻撃がトーンダウンしている今、金融市場が年末にかけてリスクオンに傾く可能性も高いでしょう。米連邦準備制度理事会(FRB)の相次ぐ利下げや実質的な量的緩和も追い風です。そこで今回は、いまや年末年始の恒例行事となった乱高下相場を乗り切る短期売買の攻略法を検証してみましょう。

トランプ時代の乱高下相場で勝つための強い味方は移動平均線&オシレーター系指標

 チャート②はドル円の7月後半~10月初旬の4時間足チャートです。トランプ大統領のツイートや一進一退が続く米中通商交渉が争点だった時期だけあり、チャート上には4時間で最大1円25銭を越える大陰線や大陽線が連発しています。こういった大陽線や大陰線自体から利益を得るのは、相場にずっと張り付いている専業デイトレーダーでないと、さすがに難しいでしょう。しかも、大陽線や大陰線出現後は必ずといっていいほどリバウンド(反転)が起こるため、これまた相場に張り付いていないと、「大陰線で売りを入れたらリバウンド上昇で大損した」という結果になりかねません。相場が急変動したときは、その急変がある程度の長さを持った「トレンド」になって、少なくとも数日間続くかどうかを見極めることが大切です。

 そして、トレンド分析といえば、テクニカル指標では移動平均線の出番になります。チャート②を見ると、大陽線や大陰線が20本移動平均線を上抜けたり割り込んだり、またぐ形で登場しています。これはどういうことかというと、相場が上向きだな、と思っていたら冷や水を浴びせるような下げがあったり、下向きだと悲観していたら、ポジティブなニュースでいきなり急上昇が起こっているということ。

 同じ急変動でも、上昇機運のところにさらに大陽線が立って上昇に拍車がかかったり、下落トレンドが続く中、さらに状況が悪化して大陰線が出る、という例があってもおかしくありません。しかし、そういう動きは7月以降、ドル円に関しては1度も起こっていません。その原因は、トランプ大統領の日和見主義的な言動に関係があるのかもしれません。すなわち「株価や経済の調子がいいときは、中国への強気姿勢を誇示することで結果的に相場を冷やしてしまうものの、株価や経済状況が悪化すると急にトーンダウンして緊張緩和に動く」のがトランプツイートの傾向なのです。

 また、チャート上に突如、大陰線や大陽線が出現して20本SMAをまたいだあとは、ほぼ必ず、リバウンドが発生しています。その過程で、為替レートが20本SMA近辺までいったん戻るものの、再び大陽線や大陰線が示した方向に向かう流れに乗るのが、最近のドル円相場の攻略法かもしれません。つまり、「相場急変とそのリバウンド終了を確認してからのトレンドフォロー」が有効といえそうです。

 大きな時間軸ではレンジ相場が続いているので、レンジ相場の天底を見極めやすいストキャスティクスなど、オシレーター系指標で値動きの行き過ぎを測ることも重要です。たとえば、

〇20本SMA上抜けと売られ過ぎ圏にあったストキャスの反転上昇で買い

〇20本SMA下抜けと買われ過ぎ圏にあったストキャスの反転下落で売り

といった戦略が、レンジ相場ながら短期的な乱高下が続く2019年ドル円相場の攻略法といえるかもしれません。

 チャート③は2018年12月からのドル円日足チャートです。ドル円は、2019年5月末にトランプ大統領が対中追加関税の発動を発表する以前は109円~112円、それ以降は104円から109円の狭いレンジ内で推移しています。米中通商交渉の前向きな開催が決まった9月以降はいったん割り込んだ107円台を回復。その後、107円台で2度下げ止まりが起こり、短期的なサポート帯になっています。これまで為替レートの上昇を阻んできたレジスタンス帯がその後、強力なサポート帯に変化するのはよくあること。今後107円台がドル円の下支え役となり、年内に109円のレンジ上限を突破する可能性も十分ありそうです。ドル円はトランプ大統領選出直後の2016年12月に到達した118円台の高値以降、三角保ち合い気味のレンジ相場がすでに3年近く続いています。

 あとから振り返ると、「トランプ大統領時代のドル円は派手に動いたように見えて、結局は煮詰まった膠着相場で終始した」と総括される可能性も高く、短期売買においても日足チャートの高値同士、安値同士を結んだレンジ相場の上限と下限をしっかり見定めることが大切なのです。レンジ相場が続く限り、「レンジの下限で買い、上限に達したら売る」という戦略で臨めば、利益をあげることができます。とはいえ、FX取引の醍醐味といえば、やはりトレンドがしっかり出た通貨ペアの勢いに乗って儲けるトレンドフォローです。この連載で何度も繰り返していますが、強い下降トレンドが続くドルストレート通貨のショート(売り)こそ、2020年においても短期売買で勝つ可能性の高い王道戦略になりそうです。

トレンド鮮明なユーロドル、強いモメンタムに乗りたいポンド円はボリン&オシレーターで攻略!

 チャート④は2019年に入ってからのユーロドルの日足チャートです。ぱっと見てすぐにわかるように長期的な下降トレンドが続いています。こういったときは、「為替レートが上昇したところで戻り売り」というのがトレンドフォローのお約束トレードになります。ユーロドルの場合、急落→横ばい→再度急落という踊り場型の下落ではなく、上下動を繰り返しながら、じわじわと安値を切り下げるチャネル(レンジ)型のダウントレンドが続いています。

 レンジ相場に強いテクニカル指標といえばボリンジャーバンド。+2σバンドまでの上昇は長期的な下降トレンドの中では「行き過ぎ」と判断できます。ローソク足が+2σにタッチしたあと、反転下落に転じたところで戻り売りするのが、単純ですが、とても有効な政略といえます。その際、チャート下にはオシレーター系指標のRSIを表示して、買われ過ぎ圏の70%ラインからの下落とボリンジャーバンド+2σからの反転下落の両方が同時発生していれば、より精度の高い売り取引を行えます。

 FXの短期売買の極意は「難しい動きは避け、簡単でわかりやすいターゲットをトレード対象にすること」。日本でFXというとどうしてもドル円がメインターゲットになりますが、下降トレンドが鮮明なユーロドル、ポンドドル、豪ドル米ドルの売りのほうがかなりシンプルな戦略で利益をあげることができます。ドルストレートの通貨ペアをショートし続けている間は、プラスのスワップポイントが貯まっていくので、長期保有になっても安心です。

 デイトレなど短期売買の対象として根強い人気のあるポンド円の値動きも見てみましょう。チャート⑤は2018年6月以降のポンド円の日足チャートです。ポンドはただでさえ値動きの荒い通貨として知られますが、英国のEU離脱決定後はその「荒馬ぶり」に拍車がかかっています。基本的にここ2年近くは、下げトレンドが続いていますが、その下げ方は陰線が連発して一気に下げる急落型になっています。そのため、ボリンジャーバンドの−2σに沿って一方通行の値動きが続く「バンドウォーク発生で売り」が有効な戦略でしょう。先ほど見たユーロドルはダウントレンドながら上下動を繰り返していたので「(レンジ上限まで)上がったら売り」でしたが、ポンド円に関しては「急激に下げ始めたら追随売り」という超順張り戦略が適当といえます。

 チャート下にはRCI(順位相関指数)を表示しました。RCIは期間中の値動きに偏差値のような順位をつけたもので、-80%以下まで低下すると、非常に強い下落トレンドと判断します。なので、バンドウォークに便乗して売りを入れながら、その間、長期のRCI(52)に加えて、中期のRCI(26)が-80%以下にずっと張り付いているかどうかに注目して、急落の勢い、下げトレンドの強さを確認しましょう。

 同じ下げでもポンド円のような急落型、ユーロドルのようなチャネル型、横ばい→急落を繰り返す踊り場型など、さまざまな下げ方があります。普段使い慣れていないテクニカル指標を不慣れなまま試すと、失敗する傾向が高くなりますが、引き出しはたくさん持っておいたほうがいいもの。通貨ペアや局面ごとの値動きの性質をよく観察して、自分なりに最適な判断ができるテクニカル指標を選ぶことも短期売買では重要です。

 ただし、年末に向けては市場の取引量も減り、大口投資家の思惑で相場が不自然な動きをすることが多いもの。短期間の突発的な値動きに惑わされることなく、移動平均線やトレンドラインが示す方向をよく確かめて、「トレンドに対して順張り」を心がけることが大前提になります。

※この記事は、FX攻略.com2020年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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