トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
ドル円は方向感の定まらない展開です。昨日はショートカバーが散見して戻りを試す展開となり、107円台をつけましたが、NY時間にトランプ米大統領が、ティラーソン国務長官を更迭したことで勢いを失い、106円ミドルで方向感を失っています。来週にG20やFOMCを控えるなか、日米の政権から発信されるトピックスに振らされる展開が続きます。
日米政治リスクに警戒
盤石だった安倍政権ですがここにきて雲行きが怪しくなってきました。
森友問題については材料視しないとの声が多いですが、この話題が長引くことになれば、ボディーブローのように上値を重くする可能性はあると思います。さらに安倍政権崩壊を連想させる展開まで発展すれば政局を嫌う海外勢も敏感に反応してきます。
一方、トランプ政権も相変わらずの混乱が続いています。
昨日もティラーソン国務長官を更迭したことで先日のコーン氏に続き、またしてもトランプ政権から有能な人物が去る格好となっています。トランプ大統領は「理想のチームに近づいた」と発言しておりますが、結論としてトランプ政権の周りには考え方の近い布陣で形成されたこととなり、通商政策はより強気スタンスになります。ここまでゴタゴタが続くと本当に政権が機能しているのかという疑問も出てきます。もちろんドル円にとってはネガティブな材料です。また、これらの日米の政治材料はトピックスとして突発的に入ってくることが多く、対応が難しいのもやりにくさが増します。いずれにせよダウンサイドに反応しやすいニュースになりますので警戒が必要となるでしょう。
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テクニカル的には正念場
テクニカル的に見るとドル円の立ち位置は改善されています。ただしロングかと言われればもう少し様子を見たいところです。
ポイントは終値ベースでしっかりとワークしている21日移動平均線(緑線)のさしかかる106.50-60円付近の攻防となりそうです。同移動平均は今年のダウントレンドをきれいにとらえており、今もっとも信頼度の高いレジスタンスと言えます。
この水準を明確に上抜けてくるようだとテクニカル的にはダウントレンドの終了が確認できます。その場合は2月21日の高値107.90円を目指す展開です。一方ではこの水準を絶好の戻りと考えることもでき、しっかりと上値を抑え込まれた場合、下値のターゲットは3月2日安値105.25円となり、その先には105円割れが見えてきます。105円を割れた場合はさらに一段下のステージとなり、景色が変わるでしょう。
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