トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
昨日は日銀金融政策決定会合があり、一部報道では「金融緩和への副作用」「長期金利上昇へ柔軟対応」といった内容があったため、出口戦略があるのでは?といったモメンタムで始まりました。そうしたなか、日銀は長期金利の上限を上げるなどの政策変更がありましたが、金融緩和については継続する姿勢を強調しました。全体的にやや解釈の難しい内容となりましたが、マーケットは円安に振れる形となりました。
金融緩和の継続というパワーワードに反応
日銀金融政策決定会合では結果的に「金融緩和の継続」というパワーワードに反応しています。また、新たに政策金利のフォワードガイダンスを導入し2019年以降の見通しも政策金利は低くとどまると市場に周知させました。黒田日銀総裁の定例記者会見でも「長期金利、現在のプラスマイナス0.1%の倍程度の変動を想定」、「変動幅拡大は金利引き上げを意図しているわけでは全くない」、「フォワードガイダンス導入で早期に出口に向かうとの観測は完全に否定できる」 と発言しタカ派の見方を否定しました。全体的に見て日銀の金融政策はやや円安に優位性が出るような内容に思われます。
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FOMCはポジティブで反応か
今回のFOMCですが、政策変更はありません。また、FOMC後にパウエルFRB議長の会見もないことから、いつもより動意に欠ける展開になりそうです。ただ、今後を見据えて政策や政策変更のシグナルを発信することがあるため、声明文の内容に注目です。先々週の半期に一度の金融政策報告の議会証言で、パウエルFRB議長は「利上げ継続が最善策」と述べており、この基本シナリオが変更されていなければ、ドルは素直にポジティブな反応をすると考えています。
突発的なリスクオフに見舞われる可能性も警戒
日米の金融政策が真逆になるうえ、日銀のフォワードガイダンスにもあったように、日本の政策金利も当面はこのままと言うことであれば、中長期的にドル円買いという戦略は悪くはありません。しかし、リスク要因として、トランプ大統領のドル高けん制発言があります。トランプ大統領のツイートは一発で流れを変える力を持っています。また、今月9日に日米通商協議が開かれることもあり、米国要人の発言には警戒が必要になります。このように、あしもとでは突発的なリスクオフに見舞われる可能性があるので、ロング攻めも慎重になりがちです。手堅くトレードするのであれば、下落局面で買い場を探したいところです。
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