トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
ドル安トレンドは継続か
今週に入りドル円は一時106.46円まで上昇するなど反発を見せています。ドル売りと考えているプレイヤーが多いだけに局地的にはショートポジションをふるいにかける場面がありそうです。しかし、この動きを見てドル安の流れが止まったと判断することは早計かもしれません。
米国の実質金利はマイナス圏に低下しており、米ドルから株式・商品にシフトする動きが加速しつつあり、足元では、8月4日(火)にナスダック総合指数が再び最高値を更新したほか、金価格が史上初の1オンス2,000ドルを突破しています。圧倒的な米金融緩和から日米金利差は43年ぶりの低水準となっており、ドル円の売りが出やすい地合いであることは変わりないでしょう。ただし、104円台は本邦財務省も口先介入してきますし、GPIF(年金積立金管理運用)のドル買いも気になるところです。下値の深いところで捕まりたくはないので短期でショートポジションを攻落ちしていくイメージで臨みます。
トランプ大統領、米雇用統計の結果をリーク!?
今週金曜日に予定されている米雇用統計について本日早朝にトランプ大統領が「金曜日の雇用統計では大きな数字が来る」との発言がありました。大統領による公認のリークともいえる内容ですが、いまのところマーケットの反応はドルが小幅に買われるにとどまっています。
とはいえ、本日8月5日(水)は米雇用統計の前哨戦となるADP雇用統計とISM非製造業景況指数の発表があり、トランプ大統領のリーク発言は真意を確かめるうえで注目度が高まりそうです。ADP全国雇用者数のコンセンサスは120万人と前回値の236.9万人を下回ります。新型コロナウイルス流行前と比較すれば、遥かに大きい数字ではありますが、5月の-2,023万人という数字を考えれば回復への道のりは遠いと言えます。
一方、ISM非製造業景況指数のコンセンサスは55.0でこれも前回値の57.1を下回ります。今週月曜日に発表され、モメンタムに回復の兆しが見られたISM製造業景況指数同様に50を超える数字を記録することが出来れば、堅調な消費動向を推測することが出来そうです。指標結果次第ではありますが、米雇用統計に向けての思惑から上下振らされる展開も覚悟しておきたいところです。
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