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銅の反騰は本物か?[佐藤りゅうじ]

銅がなぜ景気のバロメーターか

今年の5月以降、「景気のバロメーター」とされる銅が、再び騰勢を強めています。世界的に景気の減速感が強まりつつある中、銅価格の上昇には違和感があります。中国需要の拡大が背景にあるとの見方もありますが、今回の反騰は本物なのか、考えてみたいと思います。

現状、日本から銅に直接投資するのはCFDくらいしかなく、あまりなじみのない商品といえます。銅の商品特性について簡単に述べると、銅は耐腐食性、導電性、熱伝導性、殺菌性、加工性などに優れているため、電線・電子機器のパーツをはじめ、さまざまな用途で使われ、産業全体を支える存在であるといっても過言ではありません。よって銅需要は、住宅、公共インフラ、製造業の実態を映し出します。その一方で供給が安定しているため、需要の増減に対して銅価格は比較的素直に反応します。これが、銅が景気のバロメーターといわれる所以です。 

銅価格の推移

さて、注目の銅価格ですが、指標価格となるのはロンドン金属取引所(LME)に上場されている銅3か月物になります。銅3か月物のチャート(チャート①)を見ると、昨年11月に5000ドル付近から6000ドル台に急騰していますが、これは米大統領選挙で大規模なインフラ投資を公約に掲げたトランプ氏の勝利が背景にあります。

その後、トランプ政権の政策実行性が危ぶまれると、今年5月には5400ドル台まで軟化しました。しかし、その5月を境に再び地合いを引き締め、7月に入ると2月につけた年初来高値6204ドルを上抜き、8月には2014年11月以来の高値となる6747ドルまで水準を引き上げています。

中国の固定資産投資に支えられる

今回の銅価格の上昇には、中国需要の高まりがあると考えられています。2016年は、銅需要の約46%が中国であり、中国の景気動向が銅価格の行方を握っているといっても差し支えない状況です。

その中国は2016年以降、政府の与信関係の刺激策を受けて、国有企業の固定資産投資が一時的に増加する場面もありましたが、総じて低調でした。しかし、今年に入って再び固定資産投資が増加し、3月に前年同期比で9.2%増となりました。その後、やや減少傾向にはありますが、6月は8.6%増となっています。

中国政府の思惑相場か

今年に入っての国有企業の固定資産投資増加ですが、中国政府の事情が絡んでいると推察します。中国では今年、5年に一度の共産党大会が10月18日から開催されます。習近平国家主席は先日、中国共産党史上、過去3人(毛沢東、華国鋒、鄧小平)しかいない「最高統帥」の称呼を手に入れ、あとは共産党大会を乗り切れば次の5年、さらにはその後の院政も夢ではないでしょう。その共産党大会のお膳立てとして、景気対策の公共投資を活発化させていると考えられます。

過去の共産党大会の年をみても、銅価格は9月に向けて上昇する傾向があります(図①)。先日、中国の上場企業が定款を変更して共産党が経営に介入できるようにするという報道がありましたが、こういった動きも共産党大会を控えてのことでしょう。

現在、銅価格だけでなく中国では鉄筋、熱延鋼板、鉄鉱石などの価格が上昇しており、上海総合株価指数も地合いを引き締めています。

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ピークアウトは近い!?

全てが10月18日から開催される共産党大会のためとするならば、その前後に大きな転機を迎える可能性も高いといえます。8月14日に中国国家統計局が発表した主要統計によると、1〜7月の固定資産投資は前年同期比8.3%増で、伸び率は1〜6月から0.3ポイント縮小しています。

また、2017年7月の精錬銅の輸入をみても、7月の輸入量は2016年同期より12.8%増加し、28万3468トンとなりましたが、1〜7月の累計輸入量は182万7011トンで、2016年同期から21.5%の大幅減少となっています。つまり、銅価格が示すほど、足元の需給はひっ迫していない可能性もあります。

今の中国国内での商品高や株高は、投機筋の思惑によるとみることもできそうです。国際銅価格も、これに踊らされていると考えることもできるでしょう。いずれにせよ共産党大会前後がヤマ場になる可能性は高く、今の銅価格の上昇が本物なのかそのときに分かりそうです。

※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです 

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