トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
ビックイベントに備えよう
ドル円は今週に入り堅調地合いが続いています。米10年債利回りが1.6%台まで上昇したほか、FRBがテーパリング(資産購入の段階的縮小)を検討するのではないかといった報道も意識された格好です。そうしたなか、今夜29日(木)日本時間午前3時にはFOMCを控えており、テーパリング時期に関する発言には注目です。
また、明日29日(木)日本時間午前10時(時刻はホワイトハウスHP参照)にはバイデン米大統領の施政方針演説も予定されており、演説内容では巨額のインフラ計画、強硬な対中政策や倍増するキャピタルゲイン課税などに関心が集まっています。今夜から明日にかけてビックイベントが続き、ボラティリティが上昇する可能性があるため、要注意(チャンス)です。
ドル売りに反応しやすい?
まず、FOMCですが、先週カナダが先進国で初めてテーパリングを決定したことで各国が追随しやすくなったほか、好調な米経済指標からテーパリングに向かうのではないかといった声が聞こえてきます。今回のFOMCでテーパリングへのヒントが見つけられればドルは大きく上昇することになります。
ただし、これまで通りテーパリングを完全否定すればドル下落の展開となります。パウエルFRB議長が十分に織り込まれていないテーパリングを発信し、マーケットを冷やすとは思えません。また8月のジャクソンホール会議あたりが落としどころ考えると今回テーパリングの議論は先送りされる可能性が高いのではないでしょうか。
一方、バイデン米大統領の施政方針演説では、富裕層向けの増税計画に関心が集まっています。バイデン大統領の公約ではありましたが、富裕層に対するキャピタルゲイン課税の税率を39.6%と現行の2倍近くに引き上げると言われており、なかなかのインパクトです。米株や米長期金利には、明らかにマイナスとなるため、ドルにとってもネガティブな材料となるかもしれません。FOMCとバイデン米大統領の施政方針演説はドル円にとってダウンサイドが気になるイベントとなりそうです。
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