歴史的なドル独歩高の中でドル円に上昇余地[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年11月12日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場はじり高の展開となり、一時114.08円と1か月ぶりの水準まで上昇。米国中間選挙で野党民主党が下院議席の過半数を奪取したものの、想定の範囲内の結果だったことから材料出尽くしの動きとなった。またFOMC声明が「さらなる漸進的な利上げを想定」との見解を繰り返したこともドル買いにつながった。NYダウは週間ベースで700ドル超の大幅上昇となり、米国10年債利回りも3.2%台まで反発した。

先週の当コラムでは、「株式市場の不安がピークを過ぎ、米中貿易摩擦の緩和期待が浮上し始めた今、FOMC声明がさらに明るい内容となれば、株高・金利上昇・ドル高の“米国トリプル高”もありうる」との見方を示したが、おおむねそのような結果となった。

株式市場の不安感は沈静化

米国主要企業の決算発表がピークを過ぎ、中間選挙というイベントを通過したことで、株式市場の不安感はさらに沈静化に向かう見通しだ。恐怖指数VIXは16~17まで低下し平常時の水準に近づいている。中間選挙の結果、上院は共和党、下院は民主党が支配するねじれ議会となったが、トランプ政権の後半2年間は何も決められない、つまり極端な政策や法案が採択される可能性が小さい「現状維持」の期間となるため、株式市場にとってはむしろ好ましいと受け止められたようだ。米中貿易戦争も首脳会談が開催される月末までは暫時休戦となる可能性が高く、当面はノイズが少ない平穏な時間帯が続く可能性が高い。

10月は米国債利回りの上昇をきっかけに米国株は10%あまり急落したが、そもそも景気が強ければ金利が上昇するのは当たり前で、株式市場は金利上昇を受けて一旦調整することがあっても、やがて金利水準と折り合いをつけて上昇し始める。好況が続き株式市場がさらに上昇すれば、金利もさらに上昇し、また株価の調整が行われる。強気相場はこのサイクルを繰り返しながら下値を切り上げていくものなのだ。

今週もドル強気スタンス

金利上昇を克服し、極端なリスク回避状態から脱却した株式市場は、上昇トレンドが再開する可能性が高い。米国債利回りも前回ピークの3.25%近辺をうかがう展開となるだろう。株高と米国金利上昇は必ずしもドル高を引き起こすとは限らないが、世界経済では現在のところ米国の一人勝ちでライバルが見当たらないため、投資マネーの行先はドル以外に選択肢がない。結果、ドルインデックスは97付近と昨年6月以来の高値圏にある。また国際決済銀行(BIS)が61カ国の貿易量をもとに算出したレートによると、10月末のドルの指数は128.51と2002年の高値(128.12)を超え、プラザ合意があった1985年以来の高値を付けているという。歴史的なドルの独歩高が続く中、ドル円は比較的出遅れており、上昇余地は小さくないといえる。今週もドル強気スタンスで臨みたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066

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