FOMCは利下げに向けた地ならしへ[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年6月17日号

先週のドル円相場は膠着

先週のドル円相場は、株式市場を横目に見ながら神経質な一進一退が続いたものの、結局決定打がなく、108円台でのレンジ相場に終わった。米国株式市場では、NYダウがおおむね26000ドルを上回る水準で推移し下げ渋る展開。日経平均も2万円を下回ることなく、21000円台を回復して引けた。米国債利回りもひとまず下げ止まり、10年債で2.10%前後の動きだった。前回の当コラムでは、「米国の金利低下・ドル売りの流れと、(利下げ期待を背景とした)株高・リスクオンの円売りの流れが同時進行」することで、ドルが下げ渋る展開を予想したが、結果的にはそのような展開となった。

中国、メキシコその後

米中貿易協議に関しては新たな進展はなく、来週末に開かれる大阪サミットで米中首脳会談が実現するかどうかに関心が移っている。メキシコに関しては、7日に不法移民対策で米国と合意が成立し、追加関税の発動が見送られたため、市場の関心の圏外となった。貿易摩擦→リスクオフ・株安→円高という流れも今のところ小休止となっている。貿易摩擦を材料に107円を突破して一方的な円高となる可能性は小さくなったといえるだろう。

イラン問題

先週木曜日に中東のオマーン湾でタンカーが攻撃を受けたとされる問題で、トランプ大統領は「イランの攻撃」と激しく非難しており、イランをめぐる地政学リスクが新たな不透明要因として浮上してきた。イラン側は関与を否定しているが、戦争開始のための口実(自作自演?)、いわゆる偽旗作戦は米国の常套手段であり、軍事衝突の可能性はゼロではない。潜在的な有事リスクがくすぶっている間は市場参加者も慎重にならざるを得ず、円を売りづらい=ドル円の上値が重い局面も続きそうだ。

FOMCはスタンス変更へ

そんな中、今週は18・19日にFOMCが行われる。今回は政策金利据え置きの予想が多く、FF金利先物が織り込んでいる利下げ確率も先週金曜日時点で23%にとどまっている。ただし、このところFOMC当局者から利下げに肯定的な発言が相次いでいることを鑑みて、声明や議長会見で次回以降の利下げに向けた地ならしが行われる可能性は小さくない。FF金利先物は次回7月会合での利下げを9割近く織り込んでいる。「金利調整に忍耐強くなる」という従来のフォワードガイダンスは「利上げはしばらく様子を見る」という意味であるから、現状にマッチしておらず、いずれにせよ別の文言に差し替えられるだろう。そのハト派度合いによってはドルが一時的にせよ売り込まれることは十分考えられる。また今回はFOMCメンバーの金利予測「ドット・プロット・チャート」が公表されるが、これも著しく下方シフトするようなら、市場の利下げ催促にこたえることになり、さらなるドル売りを呼び込むだろう。

前回のFOMC声明全文はこちら:https://jp.reuters.com/article/fed-statement-idJPKCN1S74S3

3月のドット・プロット・チャート 出所:CME、FRB

今週も売買交錯で方向感がつかみづらい局面が予想されるが、総合的に見て、ドル円が持続的に上昇するシナリオは描きづらい一方、ドル売りもしくは円買いが支配的となる展開は十分ありうる。今週も慎重にドルの売り場を探すスタンスで臨みたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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