FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2017年5月8日号
先週のドル円相場は、東京市場が大型連休で薄商いとなる中じり高の展開となり、一時113.05円と3月中旬以来の高値をつけた。FOMCは予想通り金融政策を据え置いたが、声明は「第1四半期の成長減速は一過性の可能性が高い」と指摘するなど全般に明るいトーンとなり、ドル買いをサポートした。
米国雇用統計の結果は?
金曜日に発表された米国4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+21.1万人と予想の+19万人を上回り、失業率は前回の4.5%から4.4%へ一段と低下した。
市場が注目する平均時給が前年比+2.5%と予想の+2.7%に届かなかったためドル買いに弾みはつかなかったが、FRBの利上げを正当化する内容であることに疑いの余地はない。完全雇用下で20万人ペースの雇用増が続けば、労働市場が逼迫し、いずれ賃金上昇ペースが加速する可能性が高いからだ。イエレンFRB議長はかねて「完全雇用下での雇用増は月に7.5万人から12.5万人が適正」と指摘している。
6月の利上げがメインシナリオに
FF金利先物が織り込む6月の利上げ確率はすでに8割近くに達しており、「6月に一回、年末までにもう一回利上げ(1.25~1.50%)」がメインシナリオになりつつある。
一方、米国2年債利回りは1.3%程度と年初からほぼ横ばいとなっており、市場は利上げがごく緩やかなペースにとどまるとみていることがわかる。これは株式市場にとっては実に都合がよいことだ。米国株式市場では、S&P500指数が最高値を更新し、ダウ平均が21000ドル台を回復しているが、FRBと市場との対話がうまくいっている証左であろう。
ドル円はしばらく上昇か
緩やかな金利上昇と株高が共存する市場環境、インフレでもリセッションでもない適温経済(ゴルディロックス)は、当然のことながら投資先として魅力的だ。日米の金利差・ファンダメンタルズ格差を背景にドル円はしばらく上昇が続くと見るのが合理的であろう。
このシナリオを覆す要因があるとすれば、まずは北朝鮮有事だが、現時点で入手できる情報から判断する限り、事態はそこまで切迫していない。楽観はもちろん禁物だが、めったに現れないブラックスワンを恐れてばかりでは投資にならない。
一目均衡表を見ると、遅行スパンと基準線・転換線はすでに好転しており、日足が先行スパンの上限(112.80円台)を上抜けすれば三役好転の買いシグナル点灯となる。トランプラリーのピーク(昨年12月15日・118.66円)から5か月経過しており、調整の日柄としても十分だ。今週は不確実性がさらに取り除かれ、米国金利上昇・株高・ドル高の流れが一段と鮮明になると予想する。
ドル円日足一目均衡表は三役好転目前 出所:Netdania
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