トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
ドル円は昨日111.35円付近まで上昇する場面がありましたが、今朝伝わった「米当局の2000億ドルの対中関税リストを公表」との報道で急落しました。しかし、その後は下値を試すというよりは、しっかりとした値動きとなっており111円台を回復しています。米中貿易戦争に関しては一時的にはドル売りに傾くものの、終わってみれば下落したところは買い場だったということが多く、大きくドル円相場が崩れるのはまだ先になりそうです。
マーケットのテーマは引き続き米中貿易戦争
トランプ政権対中関税制裁は現在このようなステータスとなっています。
第一弾340億ドル (発動済)
第二弾160億ドル (8月発動予定)
第三弾2000億ドル(9月発動見通し)
第四弾2000億ドル(発動時期未定)
マーケットは第四弾まで織り込んでいると思われますのでここからどう展開していくかが焦点となります。ここにきて米中貿易戦争に関して楽観論も聞こえてきますが、トランプ政権は貿易不均衡是正を盾にドル安誘導政策をとり、それに対抗して中国は米国債売却といった最悪のシナリオに発展する可能性は否定できません。
また、トランプ政権の矛先は中国と欧州に向いていますが、遠くない未来に日本にも同様に求めてくると考えられます。貿易摩擦が世界中に飛び火していくと考えられるほか、今のところトランプ大統領の落とし所が不透明なため、中期的にドル円は11月の米議会中間選挙に向けてネガティブな展開をイメージしています。
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トルコリラは再び値崩れを起こすか
9日エルドアン大統領は財務と金融を統括する新しい省を作りそのトップに自身の娘婿ベラト・アルバイラク氏の起用を発表しました。エルドアン大統領の独裁色がさらに強まりトルコの民主主義が揺らいだといってもいいかもしれません。このニュースを背景にトルコリラドルは3.8%下落し新興国通貨で今年最大級の下げになりました。
また、トルコの中央銀行は、高インフレに苦しむ経済に対し利上げで対策を行ってきましたが、エルドアン大統領は利下げを行うべきとの見方を持っており、今回のアルバイラク氏の起用は利下げを行う布石では?とも考えられます。ご存知のとおり、トルコリラは個人投資家のロングポジションが大量にあります。23円台を割れるようだと再びロスカットを巻き込んで下方向にスパイクするかもしれません。十分警戒が必要です。
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