当企画は、投資家の眞壁憲治郎さんが募ったトレーダーの皆さんにFXで「わらしべ長者」を目指していただこうというもの。「労働者から資本家へ」をテーマに掲げ、参加者が知識と技量をしっかりと身につけながら、わずかな資金からでも大きく勝てるようになっていくことを目標としています。
参加者の3人は課題にどう取り組んだのか?
眞壁 この企画は参加者に課題を出し、「トレードを熟達させるためのプロセス」をたどる形式となります。前回はエントリータイミングを三つに限定し、枚数は確証の度合いで決めるという課題を出しました。また、付随して「投資ノート」の作成も義務としました。誰しも投資関連の本などは読まれていると思いますが、やはり書き写したりまとめ直したりして、完全に理解した上で実践できなくては読んだ意味がありません。
今回は第2回ということで、早速前回の課題を発表していただきます。松永さん、黒岩さん、仲岡さんの順でお願いします(プロフィール紹介は前号を参照)。運用成績を表示した上で、手法を解説してください。
【前回の記事はこちら】
成績と手法
松永 まず、損益はプラス2万4000円でした。ただ、含み損が8000円あります。決めた手法は支持線か抵抗線の反発で1枚、ブレイクしたら損切りします。ボリンジャーバンドで±2σまで来たら2枚逆張りすることにしました。
黒岩 僕の成績はプラス2万円で終えています。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ実施でドル円をショートしましたが、米中貿易摩擦がぶり返したことで利益になりました。手法は中央銀行の動向で1枚、テクニカルでは移動平均線のクロスで1枚とフィボナッチリトレースメントの61.8%で2枚持つことにしました。
仲岡 自分は短期売買で改めてローソク足を使うことにしました。損益は5000円だけプラスになりましたが、手法はいくつか試してみたものの、損切りも多いので、まだ定まっていません。
採点
眞壁 前提として、確証の乏しいところでエントリーしてしまうと、絶好のチャンスが巡ってきたときにポジションを増やせません。あるいは「確証があっても的中率は8割程度」と割り切っておくことも大事です。1回や2回のトレードで資金の大半を失う可能性は避けて、勝ち負けを通してじっくり積み上げていきましょう。
松永 そうですよね。絶対に勝てる手法なんてないですよね。
眞壁 いわゆる聖杯、初心者にとって最初の迷路ですね。どの分野でもいえますが、あれもこれもと目移りしたところで勝てるようにはなりません。一流は一点特化型です。そのために手法も三つに絞っていただきました。
仲岡 イチローみたいですね!
眞壁 イチロー選手は私たちの世代では存在そのものが目標ですね。仲岡さんに関しては、ローソク足だけを見てエントリーするのは難点です。そもそも相場の動きは現象ではなく、マネーによる仕業です。表面的なところで法則を見つける前に値動きの原理を理解しているかどうかが問題です。
仲岡 原理ですか。
眞壁 これこそ、前回にお話しした投資家レベルの5に値しますが、相場の原理は資本の流れであり、「需給」です。各国の景気や国債の金利よりも、売買している人の心理が影響します。あとはロスカットの流れですね。相場では誰かが大損しているわけですが、その瞬間には値動きに勢いが生まれます。
黒岩 単純に買われれば上がり、売られれば下がる、ということですよね。
眞壁 そうです。そして買われていたものはいずれ売られ、売られていたものは買い戻されます。これが相場の原理であり、理解した上で次の展開を予測できるかが肝心です。ということで、第1回の課題をブラッシュアップするものとしてを提示します(下画像参照)。
松永 何を考えると良いのか、何となく分かってきました!
仲岡 需給の流れですね。
眞壁 これを押さえれば確証8割の手法になるはずです。この課題で手法は完成とし、次回から「運用計画」を組みます。なお、九州からお越しの黒岩さんは今回で終了、今後はメールで送って来てくださいね。
黒岩 ありがとうございました!
総括
眞壁 学びには本学と末学があります。本学とは人格や道徳であり、物事においては本質と原理です。末学とは表面的な知識や技術をいいます。本質を理解せずに小手先にとらわれることを本末転倒というわけですね。
相場においては、値動きから法則を見いだそうとすると、その手法が有効かどうかの前に、世の中でどんでん返しが起きたときに全てを失います。リーマンショックやアベノミクスで破産した人はたくさんいました。やはり市場で何が起きているかは理解しておく必要があります。こうした相場の原理を理解することで勝率を上げることができ、100円の利益でも1万回達成すれば100万円になるように、時間をかければ大きな資産を目指すことも可能です。いかにして実現性のある計画に落とし込むか。運用スキームに関しては次回にお話しします。
なお、当記事の中でお話ししなかった内容をツイッターおよびメールマガジンで補足解説しています。現時点(2019年9月)では「テクニカル分析の実用性」「ファンダメンタルズの勘所」「相場の需要と供給」となっています。本質的な話をしているので、ご参考にしていただければ幸いです。
※この記事は、FX攻略.com2019年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
10年以上にわたってFX月刊誌を出版してきた老舗FXメディア「FX攻略.com」編集部が、FX用語を知らない人でもわかるようにFX会社、取引口座のポイントを解説しました!
取り上げているFX会社は、金融商品取引業の登録をしている国内FX業者です。口座開設は基本的に無料ですので、まずは気になったところで2〜3つ口座開設してみて、実際に比べてみてはいかがでしょうか。
\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
---|---|
約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |