FXにおいて時間的要素を重要視している川崎ドルえもんさんの当連載。「為替天気予報」として、統計的アプローチからの具体的なトレード戦略を教えていただきます。
※この記事は、FX攻略.com2021年5月号(2021年3月19日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
4月はポンド高に注目
今回は過去の為替相場から4月の傾向・アノマリーを探していきましょう。表①は、月足の数を2000年から数えたものになります。見てみると4月は、ポンドドルの陽線回数が18回と多く、ポンド円とポンドスイスフランも16回と多くなっています。特にポンドドルの18回というのは確率に直すと約85%に相当し、全ての月足天気予報のデータの中で一番高い傾向になります。このことから4月はポンドが上昇しやすい傾向があることが分かります。
また、4月はカナダドル高の傾向もあります。カナダドル円とカナダドルスイスフランの陽線回数が14回、カナダドルが決済通貨になっている米ドルカナダドルは陰線回数が15回、ユーロカナダドルは14回と多くなっています。このことから4月はカナダドルが買われやすい傾向があることが分かります。特に月足データではポンドドルが大注目の月になります。
月初めは円安の傾向
4月は、ポンド高とカナダドル高の傾向がありますが、4月といっても30日間あり、いつ傾向が出てくるのか分かりません。そこで週足の統計データを見て、いつごろに傾向が出てくるのかをチェックしていきましょう。
表②は4月第1週のクロス円の週足統計データになります。見てみると、ドル円の陽線確率が68%、ユーロ円とスイスフラン円は66%、豪ドル円は72%、カナダドル円は80%と高くなっています。このことから4月第1週は、クロス円が上昇しやすい傾向があることが分かります。
また、第1週はカナダドル高の傾向もあります。表③はカナダドルに関する通貨ペアの週足統計データですが、カナダドル円の陽線確率が80%、カナダドルスイスフランは67%と高く、カナダドルが決済通貨になっている米ドルカナダドルでは陽線確率が23%、ユーロカナダドルは29%、豪ドルカナダドルは31%と低くなっています。このことから第1週は、円安とカナダドル高の傾向があることが分かります。ただ、このデータは3月末も含まれていますので3月末アノマリーということもできるでしょう。
さらに、週足統計データを見ていくと、月末にドル安の傾向があることも分かります。表④は4月第5週のドルに関する通貨ペアの統計データになります。見てみるとユーロドルの陽線確率が67%、ポンドドルは66%と高くなっており、ドルが取引通貨になっている米ドルカナダドルとドルスイスフランは34%と低くなっています。このことから4月の月末はドルが売られやすい傾向があることが分かります。
では、4月はポンドが買われやすい傾向があると紹介しましたが、いつごろにこのアノマリーが出てくるのでしょうか。表⑤はポンドの週足統計データですが、4月12日からの週にポンドドルの確率が68%、19日からの週にはポンドNZドルが70%、26日からの週はポンド円が65%、ポンドドルが66%となっています。このことから4月のポンド高アノマリーは月の後半に起こりやすいことが分かります。
月末はドル安の傾向
次に、日足の統計データを見ていきましょう。表⑥~⑧は日足統計データを抜粋したものです。表⑥の8日の欄を見てみると、豪ドル円と豪ドルスイスフランの陽線確率が81%、豪ドル円は86%と高くなっており、翌9日も豪ドル円が78%、豪ドル米ドルが82%と確率が高くなっています。さらに、表⑦のNZドル関連ペアを見てみると、8日はNZドル円の陽線確率が71%、NZドル米ドルは90%、NZドルスイスフランは81%と高くなっており、翌9日もNZドル米ドルが78%、NZスイスフランは83%と高くなっています。このことから8日と9日は豪ドルとNZドル、つまりオセアニア通貨が買われやすい傾向・アノマリーがあることが分かります。
さらにアノマリーを探して見ると、月末はドル安の傾向があるようです。表⑧を見てみると、ユーロドルの26日は73%、30日は78%などと1週間を通して陽線確率が高くなっています。さらに29日はポンドドルの陽線確率が95%、NZドル米ドルは81%と高く、ドルが取引通貨になっている米ドルカナダドルでは10%と低くなっています。このことから月末は29日を筆頭にドル安になりやすい傾向・アノマリーがあることが分かります。
さて、今号で本誌は休刊となりますが、為替天気予報はWeb版で連載を続けていきます! よろしければFX攻略の公式サイトで引き続き読んでいただければうれしいです。
※この記事は、FX攻略.com2021年5月号(2021年3月19日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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