サンドウィッチ間瀬さんが今のマーケットで気になるトピックを紹介。今回は「金利と株価の関係」について。市場において多くの投資家が注目している重要な二つの指標の関係性を分かりやすく解説していただきます。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。
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2021年8月現在、デルタ株(インド型)の流行から新型コロナウイルス感染再拡大が懸念されている中でさえも、米国株は上昇を続けています。その米国株上昇の裏で、金利の上昇も進行してきました。
今回は金利と株価の関係を整理してみましょう。
1.インフレと金利
実は、2021年8月時点では、米国の長期金利は一時よりも下落している状況です。筆者の見解ですが、市場参加者は現時点で米国にて進行するインフレは一時的なものだと解釈しているため、高いインフレ水準であっても、債券買いに動く投資家が多い。そのことから、金利が下落傾向にあるのではないかと考えています。
ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリング・利上げの方向に進んでいるのは確かで、中長期的な金利水準は上昇方向にあると考えています。
2.金利と株価の関係
さて、今回のコラムのテーマは金利と株価の関係です。ここでいう金利とは長期金利のことですが、株価と金利にはどのような関係があるのでしょうか。
金利と株価の関係を語る際に多く取り上げられるのは「理論株価」の公式です。
代表的なものに「配当割引モデル(DDM)」と呼ばれるものがあります。
この配当割引モデルは「理論株価は、投資家が将来受け取るキャッシュフローの割引現在価値である」という考えから理論株価を導き出します。詳しい説明は他に譲るとして、この公式を見てみると分母に金利が含まれることが分かります。
単純に考えると、金利が上昇したとすると理論株価が低下する。つまり金利上昇=株価下落というセオリーが当てはまりそうな気がします。
ただ、「金利が上がる」という状況をよく整理すると、そのセオリーが正しくないのかもしれない、と考えることもできます。
そもそも、金利とはインフレの影響を控除しない「名目金利」とインフレの影響を控除した「実質金利」の概念があり、算出式で表すと以下のとおりです。
私たちがよく目にする金利、そして理論株価の公式にも用いられる金利は名目金利です。上の算出式から分かるとおり、実質金利が変動しない場合、インフレ率が上昇すると名目金利が上昇する。
つまり、インフレと金利には、切っても切れない関係があることが分かります。
一転して、理論株価の公式の分母に含まれる利益成長率にも目を移してみましょう。実は、インフレが進行すると名目利益成長率が上昇すると考えることもできます。
前期の利益:100,000千円
実質利益成長率:10.0%
インフレ率:0%
当期の利益:110,000千円
名目利益成長率:10.0%
前期の利益:100,000千円
実質利益成長率:10.0%
インフレ率:2.0%
当期の利益:112,200千円
名目利益成長率:12.2%
名目利益成長率とは、その企業本来の実質利益成長率に、通貨価値の下落=インフレの影響を上乗せしたものと考えてください。
改めて理論株価の公式を見てみましょう。
ここまで解説した通り、インフレが進行する局面で、金利の上昇と共に名目の利益成長率も上昇する場合、理論株価の公式にあてはめると、理論株価は変動しません。つまり、金利と株価の関係は中立であると考えることもできるのです。
近年の米国株価指数の推移を見ても分かる通り、金利が上昇している局面でも株価は上昇し続けてきました。
「金利上昇=株安」という投資の教科書的なセオリーは、短期的な株安要因の一つとして語られることもありますが、金利が高いという状況は「経済が好調である=利益成長率が上昇する」と考える事もできます。その点からも、「金利上昇=株安」は確たるセオリーとして語るべきではないのかもしれません。
今後、市場テーマが「金利」にフォーカスされることもあるかもしれません。ただやはり、投資家は株価の本質的価値である、「企業業績」の如何にこそ注目していきたいものです。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、投資に関する断定的判断を提供するものではなく、情報提供のみを目的としており、いかなる種類の商品の売買も勧誘するものではありません。
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