ドル円予想レンジ 111.50-114.50
「To Fight against Currency Manipulation by China, Japan(中国、日本の通貨操作と戦う)」-。これは2/24の米地方紙が掲載した寄稿文の見出しだ。寄稿主は米大統領選・民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官。内容は日本が輸出を有利にするために為替を操作しているとの指摘であり、大統領に就任すれば「断固たる措置をとる」と示唆している。一方、米大統領選・共和党候補である不動産王ドナルド・トランプ氏も1/14の共和党テレビ討論会では、円安で輸出攻勢を掛ける日本製品/日本政府を非難している。
■政治利用される円とFRBのドル高懸念■
11月の米大統領選挙を控え、民主・共和両党の候補指名争いが本格化してきた。党員集会・予備選が集中する3/1「スーパーチューズデー」、そして以降も、各候補は有権者の歓心を買う為に舌鋒鋭く円を批判する可能性が高い。「ドル高円安≒景気後退≒日本悪」とした政治的なスケープゴートである。
幸いにして1月米耐久財受注は改善を示した。しかし、2/2にフィッシャーFRB副議長が「競争力を得るために為替レートを活用することはよくない」とした見解を表明していることから、1月米貿易収支の赤字額次第では、円水準が政治利用される可能性がある。ドルインデックスBroad(FRB)は昨夏以降、上昇基調を継続。米製造業の輸出力低迷と他国のデフレ圧力をドル高が吸収しているとしたFRBの見立てが、政治に裏書き利用されてしまう恐れがある。
■円売り介入封印。しかし手段はある■
今後の焦点は1点。まずはドル安円高に対する為替介入は、日本自らが「為替操作国」のレッテルを貼ることになり、日米関係配慮として事実上の封印となる可能性である。しかし前号で指摘したように、日銀法に基づいた臨時日銀会合の開催で“金利の下限拡大≒円買い圧力排除”の手段は更に高まったのではないか。併せて参院選挙念頭の為政者はデフレ脱却、輸出企業支援の為に公的機関投資家総動員での“円高絶対阻止”を更に強めると筆者は読む。
ドル円下値焦点は2/25安値111.885。下抜けた場合は2/24安値111.03と2/11安値110.985のダブルボトム圏が実質の最終橋頭堡と推考。上値焦点は2/19高値113.39と2/22高値113.40超。越えれば2/13高値114.34、2/17高値114.52、そして2/11安値110.98後の戻り最高値114.89が期待視されるだろう。
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