森晃

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    2020年8月27日
    図南鵬翼(となんのほうよく)[森晃]
     米国の理系学部生における4年での卒業率はとても低い。そのため、卒業式での理系学生の感激は他の学部生以上である。筆者は個人的に、日本も米国のように工学部や理学部の学生は一定水準の基準を満たせなければ留年させるか他学部への転部をさせるべきだと思う。  日本PTA全国協議会は、新型コロナウイルスを契機とした「9月入学」について、学校現場や家庭などに大きな負担を与えると指摘している。しかしながら、グローバル・スタンダードという視点から見れば、9月入学は日本の学生も多くのメリットを共有できるため実施すべきである。英語の入学試験に関しても、「英検」といった世界基準として採用されていない試験は廃止し、「TOEFL」「IELTS」など世界基準として採用されている試験で英語の実力を測定すればいいと思う。  さて、読者の皆さまは「図南鵬翼(となんのほうよく)」という故事成語をご存じであろうか?「極北の海に鯤という巨大な魚が鵬という鳥に化け、大きな翼で羽ばたき九万里もの高さまで空高く舞い上がり、南の果ての空まで行こうとした」という『荘子』の故事に基づくものである。この故事成語の意味は、大きな事業を成そうと…
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    2020年7月25日
    金融安定化に向けて[森晃]
     3月13日(編集部注:2020年)に、トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染拡大への対応を強化するために国家非常事態を宣言してから1か月以上の月日が経過した。筆者も大人しく自宅で時間を過ごしている。外出するのは雑貨屋に食べ物を買いに行くか、家の近所を散歩するときだけである。  4月16日に、新型コロナウイルス対策で制限した経済活動の再開に向け、ガイドライン(第1段階:在宅勤務から段階的な出勤、レストラン、映画館、スポーツジムの営業再開。第2段階:学校の授業再開、不要不急の移動。第3段階:高齢者施設や病院の訪問)を公表した。  しかし、このガイドラインを実施するのは時期尚早とし、各州は独自の経済再開計画を検討している。同じ統計を扱う、公衆衛生と経済学の議論であればよいのだが…。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、「トランプ大統領がニューヨーク州の人々の公衆衛生を危険にさらす形での再開を命じたとしても、私は従わない」と表明している。これに対してトランプ大統領は、米国経済再開時期の決定について「米大統領の権力は完全だ(州知事の決定を覆して再開日程を決定できる)」と発言。これに対し…
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    2020年6月25日
    新型コロナウイルスによるグローバル・リセッションはあるか?[森晃]
     2020年3月24日、本原稿を執筆している。読者の皆さまが本誌を読まれるころ、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大(画像①)により経済環境および市場環境が変わっていることが考えられる。3月24日時点での筆者の個人的な経済見通しとして本原稿を読んでいただきたい。  3月13日、トランプ米大統領は米国内での新型コロナウイルス感染拡大に対処するため国家非常事態を宣言。米国内の経済活動が制限された。翌日、筆者もスーパーに買い物に出かけたが、ある特定の商品(水、冷凍食品、ピーナッツバター、消毒液、ジュースなど)がなくなっていることに驚いた(画像②)。物流はストップしていないので、数日たてば商品は購入できるだろうと判断し、必要なものだけを買って帰宅した。案の定、数日後には商品が補充され、必要な商品を購入することができた。しかし、この出来事には非常にびっくりしている。 グローバル・リセッション  日常生活から、飲食などのビジネスだけでなく米国民の行動も制限されたことで、米国の経済活動が大きく落ち込むことは間違いないと感じた。米国経済について、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、Q2(…
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    2020年5月26日
    綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)[森晃]
     2020年も3月が終われば一年の4分の1が過ぎたことになる。分数に置き換えると、随分と月日が流れるのは早いと感じる。  米国は暖冬気味であるが、寒いときは毛布にくるまり、ぬくぬくとしたいものである。そして、筆者も人の子であるため、寒いときは室内のランニングマシーンで走る機会が多くなる。通常、5マイルから8マイル走るが、何マイル走ったかの表示を見ると、いつもゴールはまだかまだかと思う。そのため、筆者は走った到達距離を何分の1と工夫してカウントしながら走る。そうすると不思議なことに、残りの距離がすごく短くなったようになり、楽な気分で走ることができる。  ところで、読者の皆さまは*綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)(*)という格言をご存じであろうか。この格言は「君主が一度口にした言葉は、訂正したり取り消したりすることができない」という意味である。 *宦官の専横を元帝に訴えようとしたが、事前に事がもれ、獄に入れられてしまい、そこで獄中から書面をもって「易経にある通り、号令は汗の如くにして、汗は出て反(かえ)らざるものなり」と元帝に言葉の重さをしっかり認識するように忠告したことがこの格言の由…
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    2020年5月3日
    TANSTAAFL(タンスターフル)[森晃]
     年初めから、学会のためサンディエゴに出かけた。とても気候が良く、すがすがしくて爽やかなので、カリフォルニアは大好きである。たくさんのヨットが停泊しているのを眺め、太平洋に思いをはせるのも一考である(画像①)。  さて、読者の皆さまは「ノー・フリーランチ定理」をご存じであろうか。おそらく、この言葉を一度は耳にしたことがあるであろう。まず、この言葉の由来を簡単に説明しよう。昔、米国のある酒場で「飲みに来たら、昼食は無料で振る舞う」という宣伝が行われ、その宣伝を見た客は昼食が無料なのは良いということで足しげく通った。しかしながら、実際は昼食代が酒代に上乗せされており、客は何も知らずに昼食代を支払っていたという話である。「無料の昼食などない(There Ain’t No Such Thing As A Free Lunch)」の頭文字を取って、“TANSTAAFL”(タンスターフル)という略語として米国では知られている。  この「そんなうまい話はない」という格言は、1966年にロバート・A・ハインラインのSF小説『月は無慈悲な夜の女王(The Moon is a Harsh Mistress…
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    2020年3月26日
    ドーナツかドーナツの穴か[森晃]
     明けまして、おめでとうございます。拙文を読んでいただいている読者の皆さまに感謝すると共に、皆さまが2020年も素晴らしいスタートが切れることを心より願っております。  さて、本原稿は感謝祭(サンクスギビング)明けに書いている。今年も家内が作ってくれた七面鳥をおいしくいただいた。クランベリーソースはあまり好きではないが、豆知識をご披露したい。大昔、先人の知恵として七面鳥の病気を防ぐためにクランベリーを使ったことから、クランベリーソースで食べる風習になったと最近読んだ記事に書いてあった。  大学のキャンパスはファイナルテストが終われば、学生の姿はまばらで閑古鳥が鳴いている。一方で、商店街はクリスマスツリーや電飾に彩られ、やがてクリスマス休暇が始まる。NEW YEARにシャンパンを飲んでお休みは終わりとなる。年を取るにつれて時の流れは早くなり、「もうクリスマスか」と何かはかなさを感じるものである。  話は変わるが、アイルランド出身の劇作家オスカー・ワイルドが「The optimist sees the doughnut, the pessimist sees the hole.(楽観主義者…
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    マクドナルド
    2020年3月15日
    負うた子に教えられて浅瀬を渡る[森晃]
     街中を歩くと、マクドナルドとスターバックスをよく見かける。ニューヨークのマンハッタンなどにぎやかな繁華街を歩くと、3分も歩かないうちに別の店舗を見つける。商売繁盛なのは結構なことである。日本にいるころ、マクドナルドを関西圏ではマクド、関東圏ではマックと短縮すると聞いた。エスカレーターに乗るときに関西では右側に立ち、関東は左側に立つ違いがあることと似たような議論をしているように思えた。余談であるが、ワシントンDC、ニューヨーク、シカゴではエスカレーターに乗るときは右側に立ち、左側を歩いて追い抜いていく。 購買力平価  購買力平価とは、スウェーデンの経済学者カッセル氏によって提唱された長期為替レートの決定理論である。この理論について簡単に解説したい。何らかの経済障壁(貿易障壁)のない世界で二国間が製品を交換した場合、「一物一価の法則(同じ製品の価格は一つである)」が成り立つとする。そして、そのときに異なる二国間の交換レート(為替レート)を「購買力平価」と定義することができる。  例えば、同じ腕時計の価格が日本で2000円、米国で40ドル、ドル円のレートが1ドル100円だとすると、円建ての…
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    人民元イメージ
    2020年2月27日
    サンフランシスコの飲茶はチャイナ・タウンの飲茶[森晃]
     大昔、西海岸のサンフランシスコに滞在する機会があった。美しくてきれいで大好きな街である。そんなサンフランシスコで、丘の上にある立派なアパートを借りた。そのアパートの住人であり、大手銀行で住宅ローンの融資担当の仕事をしている女性と仲良くなった。家族ぐるみで付き合いが始まり、まだ小さかった娘は教会を挟んで前にある公園で、同じ年のお嬢さんと毎日遊んでいた。砂場で二人がスネーク遊びといって、砂の上を這いずっていたのをよく覚えている。娘の服が泥だらけになり、家内がブツブツいっていたことも覚えている。  そんな思い出がいっぱいのサンフランシスコであるが、この夏にビジネスで成功している友人と空港に降り立った。そのとき、ふと懐かしいメロディーを思い出した。幼少期であるが、タレントの所ジョージさんが「サンフランシスコの飲茶(ヤムチャ)はチャイナ・タウンの飲茶」といいながら、小籠包を宣伝していた。有名なドーナツ屋のコマーシャルソングである。若い世代の読者の皆さまにこのソングについて説明しても、何のことかさっぱり分からないだろうが…。 特別引出権SDRから「上海合意」まで  SDR(Special Dra…
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    2018年7月13日
    本音はどっち?ドルは強いのがいいのか、それとも弱いのがいいのか[森晃]
    ※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです この原稿が雑誌に掲載されるのは、ゴールデン・ウィークの直前である。米国で、日本にはゴールデン・ウィークという一週間があるという話をすると、何をする一週間かと聞かれる。それはお休みだと説明すると、「いいね」という答えがすぐに返ってくる。そして、彼らはもちろん夏休みは2週間か3週間あるのだろうと聞いてくるのだが、いつもその返答に困ってしまう。何か口にすると説明をしなければならないので、何もいわないのが一番である。しかし、何もいわなくて黙りを決め込むとコミュニケーションのなさを指摘される。 それと同じように、政策当局者が何かいうと、いつもきちんとした説明を求められる。そんなときは、何となく分かってくださいと思うこともあるのかもしれない。 ドルへの関心 1月にスイスのダボスで開かれた会議で、ムニューシン米財務長官は「ドル安は貿易と機会に関連するため、もちろん、われわれにとって良いことだ」と発言した。そして、翌日には「ドルが今ある水準でも恩恵があり、コストもある。自分のドルに対する立場が変わったものでは全くない。強い…
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    2018年5月24日
    桜酒〜日銀人事と為替動向〜[森晃]
    ※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです 2月に原稿を書いている。ここ米国でも、コートが手放せない寒い日々が続いている。しかし、春はすぐそこである。松任谷由実さんの「春よ、来い」は良い歌である。筆者は口笛を吹きながら春の花見に思いを馳せる。 春といえば、ワシントンの桜も日本に劣らず大変綺麗である。ポトマックス公園では、「National Cherry Blossom Festival(全米桜祭)」が開かれる。そのきっかけは、エリザ・シドモアさんが日本を旅行した際、桜の美しさに感動し、そして川沿いに桜を植えようと計画したことが始まりと聞いたことがある。もし、読者の皆さまが春にワシントンを訪れる機会があれば、ワシントンで「春」探しを体験していただきたい。 筆者は大酒飲みでないが、春の花見に「酒盛り」は欠かせない。そして、酒の肴を何にするか考えるのも楽しみである。しかし、この時期、サラリーマンにとって一番の酒の肴は「人事」である。 日本銀行の人事 日本政府は2月16日、黒田東彦氏を日本銀行総裁に再任するという国会同意人事を提示した。副総裁は、雨宮正佳(現…