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“非伝統的”金融政策の話 その2[月光為替]

では今回も、前回(いまのマーケットを知る上で欠かせない“非伝統的”金融政策の知識)からの続きで、非伝統的金融政策をお話ししていきます。

今回は、前回扱うことのできなかったマイナス金利政策についてお話ししていきます。

さて、まずマイナス金利ですが、これ自体の理解は簡単でしょう。 

マイナス金利とは? 

金利がマイナスになるわけですから、ものすごく単純にいうと、お金を借りたらお金がもらえるという一般常識的には意味不明の状態です。

「1万円貸してよ、1か月で9000円にして返すからさぁ」というような状態です。異常ですよね。 

基本的な金利と通貨の関係は、順相関の関係にあります。 

ですので、金利がマイナスになるということは、単純化して考えると金利が低下するということですので、勿論その通貨は安くなる可能性があるわけですね。

ただ、世界的に低金利の中、ゼロ金利が横行している中で、多少のマイナス金利によって通貨安が引き起こされるのかどうかというというところは勿論考える余地があります。

その時のバランスや相場の流れ、相対感でどの程度の影響が出るかが決まりますので。 

ですが、そのような相場観を語るのはこのコラムの主題ではなく、あくまで自分で考えるための基礎固めが目的ですので、基本的に覚えておくことは、「マイナス金利は通貨安の方向のポジティブだ」ということです。

日銀のマイナス金利政策について。マイナス金利を政策導入する意味とは?

さて、これだけではあまりに淡泊ですので、日銀のマイナス金利政策について、少しお話ししていきましょう。 

そもそも、マイナス金利マイナス金利と騒がれていますが、マイナス金利を日銀が導入したことは目新しいことですが、マイナス金利自体は実は前から発生しております。 

まず、2003年6月25日。この時、日本の無担保コール市場(金融機関の短期資金取引市場)で、史上初のマイナス金利が発生しました。 

その後も欧州ではマイナス金利が頻発しました。 

そして、2012年7月、史上初、政策金利でデンマーク国立銀行がマイナス金利へと移行しました。

2014年6月5日にはECB(欧州中央銀行)がマイナス金利を導入。

そして、2016年2月16日に、ついに日本でもマイナス金利を導入するに至ったのです。

ここで、大切なのは、マイナス金利を政策導入するということの意味です。 

マイナス金利それ自体の理解は容易ですが、マイナス金利の政策導入になると、途端に理解することが複雑化します。

そもそも通貨の強弱に最も関係する金利は、長期金利だということをお話ししましたね。

ですので、別に長期金利が下落していかなければ、通貨が安くなる可能性はないということです。 

先程単純化してお話ししましたが、 

マイナス金利がいずれかの時間軸の金利で起こる(大抵は短期金利)

長期金利の下落が予想される

通貨の下落が予想される

というメカニズムが、先程の単純化した、“マイナス金利→通貨安の可能性”の裏で働いております。

このメカニズム自体は、マイナス金利の政策導入においても変わりません。なので、ある程度マイナス金利と通貨の関係性に関しては単純に考えて差し支えありません。 

ですが、マイナス金利の政策導入が、実際に経済などにどのように影響を及ぼしていくのか、また、マイナス金利がどのように導入されていくのかというところは、単純ではなくかなり複雑です。

しかし、複雑化した現代において、少しでもしっかりとマイナス金利政策導入の意味を理解しておくことは、必ずニュースを読み解いて、ファンダメンタルズ分析をしていく上で有益となることと思います。

次回は、少し番外編として、マイナス金利の政策導入による、その経済その他に対する影響をお話ししていきたいと思います。 

なるべく分かりやすく解説したいと思いますので、難しいですが、みなさんついてきていただければと思います。

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