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FX力を鍛える有名人コラム

これからの外国為替相場の行方(月刊FX攻略.com2018年3月号)[田嶋智太郎]

2018年のドル円は少々大きく動く可能性?

あらためて振り返ると、2017年のドル円は実に狭い値幅レンジ内での値動きに終始し、いわゆる「市場関係者・参加者泣かせ」の展開を続けた。

前回更新分の本欄でも述べたように、3月下旬あたりから形成していた「フラット型の保ち合いレンジ」は、大よそ108—114円の値幅で、少なくとも年末まで9か月続けて展開された。そのレンジの「中心」にあたる111円処というのが、前回執筆時のドル円が位置していたところであり、故に筆者は「ここ(レンジの中心)が一つの瀬戸際、正念場と理解する必要」「無用にまとまったポジションを構えないようにすることが肝心」などと述べたわけである。

そして案の定、ドル円は11月下旬につけた111円処(110.84円)で一旦底入れ&反発し、一時的にも113円台後半の水準まで戻りを試す展開となった。つまり、11月6日高値からの調整が再びレンジ下辺水準にまで辿り着くことはなかったわけである。繰り返すも、ここで大事なことはレンジの「中心」などという大事な節目の水準にあるときには、そこで一旦立ち止まってじっくり考え、決して軽々に売買の判断をしないことが肝心であるということだ。

また、長らくレンジの上辺水準と下辺水準との行き来を繰り返していた相場が、今回の調整局面(11月6日高値から11月27日安値までの動き)ではレンジの「中心」にあたる水準で下げ止まって反発しているという点も少々興味深い。場合により、このことは「そろそろ保ち合いレンジから上放れる前兆」と見ることもできなくはないと考えられるからである。

また、少し別の見方をするとドル円は、2015年6月高値を起点とするトライアングル型の調整を続けており、このトライアングルから上放れるのは「時間の問題」と見ることもできるようにも思われる。

前回更新分の本欄でも述べたように、11月6日高値が位置するところには「2015年6月高値とその後の目立った高値を結ぶ強力な長期レジスタンスライン」の存在があり、実のところ同ラインが前記のトライアングルの上辺となる(チャート①参照)。

そして、同水準をクリアに上抜け、さらに11月6日高値=114.73円をすんなりと上抜けてからが、いよいよ本格的な強気の流れ復活のときであるとの見方にも依然変わりはない。 

ちなみに、前述した「11月6日高値から11月27日安値までの動き」というのは、2015年6月高値を起点とした5波構成の調整が続いていると見た場合の最終5波にあたると見ることもできる。そして、セオリーに基づいて言えば、最終5波というのは従前の値動きと比較して、明らかに中途半端な値動きで終わることが多いとされる。

つまり、11月6日高値からの調整が中途半端な水準に留まったのは、2015年6月高値からの調整が最終段階を迎えていることを示すと捉えることもできるのではないかと思われるのだ。

いずれにしても、2017年のドル円の値動きがあまりに限られたものとなったことで、市場関係者・参加者らの鬱憤(うっぷん)やストレスが溜まりに溜まっていることは間違いない。

よって、やはり2018年はドル円が少々大きく値動きする可能性があると見ておいた方が良いように思われる。動くとすれば、それは基本的にドル高・円安方向であると個人的には考えており、その最大の根拠は、言うまでもなく「米・日の金融政策における方向性の大きな違い」ということになる。もちろん、ここで米国の金融政策の行方を考えるとき、今後の「経済成長・インフレ・金利」の先行きをどう見通すかは実に重要なファクターだ。

2018年のFOMCは「タカ派」色が強まる!?

去る12月12—13日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)においても、参加メンバーらによる経済成長・インフレ・金利の見通しが明らかにされ、結果的に市場はドル売りで反応した。

彼らの見通しは概ね事前の予想どおりであったが、成長見通しを前回(9月)から上方修正したにも拘らず、金利見通し(2018年の利上げは3回)が変わらなかったことで、市場は「参加メンバーらによる低インフレ状態への危惧は相当に深刻」と受け止めたようである。

ただ、周知のとおり、参加メンバーらの顔ぶれというのは年が変われば一変する。FOMCには米連邦準備制度理事会(FRB)の議長と同副議長、同理事らで構成する7人の常任メンバーに加えて12人の地区連銀総裁が参加することとなっているが、ニューヨーク連銀総裁以外の「投票権」は4人の総裁が毎年輪番で行使することとなっているのだ。

表①にも示したように、2017年に投票権を有していた4人の総裁というのは、うち2人が「ハト派」で他の2人が「中道派」であった。ハト派とされるシカゴ連銀エバンズ総裁は、これまでに「性急な利上げは景気の悪化を引き起こすリスクが伴う」と幾度も警鐘を鳴らしており、12月のFOMCでも利上げに反対の意思を示したとされる。

また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も、これまでに「インフレ率が引き続き低いなか、利上げを行う理由はない」と幾度も主張しており、やはり12月のFOMCでは利上げに反対票を投じたとされる。

その一方で、来る2018年に投票権を手に入れるメンバーは過去の言動などから、総じて「タカ派」寄りであると考えられる。

ちなみに、リッチモンド連銀のバーキン総裁は12月4日に同連銀によって選出され、後にFRBから承認されたばかりであり、今のところはまだ政策スタンスが明らかになっていない。

アトランタ連銀のボスティック総裁は、これまでに「インフレが軟調な中でもFRBは緩やかな利上げ実施を目指す必要がある」と主張しており、明らかにタカ派のスタンスであることがわかる。また、クリーブランド連銀のメスター総裁も「インフレが軟調でも追加利上げを遅延する必要があるとは思わない」などとタカ派寄りの姿勢をアピールしている。

さらに、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も明らかにタカ派的な発言をこれまでに繰り返しており、2018年はFOMCの投票権を持つ地区連銀メンバー4人のうち少なくとも3人がタカ派寄りということになりそうなのだ。なお、米ホワイトハウスは去る11月29日にカーネギー・メロン大学のマービン・グッドフレンド教授を空席となっていたFRB理事に指名している。そして、どうやら同氏も「どちらかといえばタカ派」と見る向きが少なくない。

そもそも、ハト派で知られるイエレンFRB議長がこの2月に任期を満了するのである。後任のパウエル新議長は基本的にはイエレン氏が司ってきた政策の流れを受け継ぐこととなりそうだが、元々エコノミスト出身ではないこともあり、FOMCのなかでは全体の「調整役」として立ち振る舞って行くことになると見られる。つまり、これまで以上に常任メンバー並びに4人の地区連銀総裁の意向が政策方針に反映されやすくなることが見込まれるのである。

政治空白と右傾化の欧州でユーロの価値はどうなる?

本稿執筆時は、まだ2017年の最終営業日まで幾日かを残している。果たして、12月の月足・終値と31か月移動平均線(31か月線)との位置関係は、最終的にどのようになっただろうか。

思えば、2017年は年間を通じて31か月線にずっと上値を押さえられ続けた。ここで、晴れて同線や一目均衡表の月足「雲」上限などを力強く上抜ける展開となれば、そこから一気に上方視界も拡がり始めると思われる。引き続き注目して行きたい。

同じように、当面はユーロドルの月足ロウソクと62か月移動平均線(62か月線)、および月足「雲」下限との位置関係も変わらず注視して行かねばなるまい。

既知のとおり、ユーロドルの月足は2017年8月からずっと62か月線と月足「雲」下限との間での推移を続けている。執筆時点において62か月線は1.2000ドル処にまで降りてきており、ユーロドルが同水準を上抜くことが難しいことは、これまでに幾度も本欄で述べてきた。

2017年はドル円の値動きがあまりにも鈍かったため、ときに比較的値動きのいいユーロドルを短期で買い上げる動きが見られることもあった。しかしながら、ここでユーロという通貨が置かれた状況をあらためて熟考することも必要である。

前回の本欄でも少し触れたように、9月に国民議会選挙が行われたドイツの新政権はいまだに樹立されていない。つまり、政治的な空白の状態がなおも続いているのだ。

執筆時においては、ようやく第2党の社会民主党(SPD)が「第1党のキリスト教民主・社会同盟との連立協議に応じることを党内で決めた」という段階。2党間の交渉は年明けからスタートし、仮に上手く行ったとしても、新政権の樹立は早くて2月以降ということになるらしい。場合によっては「部分連立」、あるいは「決裂〜戦後初の再選挙」となる可能性もあり、予断を許さない状況が続くなかでメルケル独首相の求心力は確実に低下する。

また、オーストリアでは10月の国民議会選挙で第1党となった国民党(中道左派)のクルツ党首が極右の自由党と連立政権を樹立することで合意した。これによって、オーストリアは「西欧で極右政党が政権入りする唯一の国」となった。

こうしたことが、少し長い目でユーロという通貨の価値にどのような影響を及ぼすこととなるのか、目先の相場とは少し離れたところで考えておくことも必要であろう。

※この記事は、FX攻略.com2018年3月号の記事を転載・再編集したものです

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