FX以外に仮想通貨などにも投資している不動修太郎さんによると、為替相場と商品相場、日経平均株価は互いに影響し合い、その相関関係は相場によって変わるといいます。ここでは、為替と日経平均株価や仮想通貨との連動性について検証してもらうので、為替予想の参考にしましょう。
※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです
為替と日経平均株価
円高になると、日本からの輸出品は海外での価格が上がります。したがって日本の輸出産業は海外でのコスト競争力が弱くなり、利益が少なくなってしまいますね。その一方で、海外から燃料を輸入する電力会社や輸入業者は円高局面では増益になります。日経平均株価(225種)を構成している会社は自動車、電機など輸出産業が多いので、円高が進行すると日経平均株価が下がる傾向にあります。
想定為替レート
日本の各企業は、四半期毎に業績の基準となる想定為替レートを設定しています。想定為替レートは、各企業から四半期毎に発行される「決算短信」に載っており、企業のホームページで公開されます。
2017年3月末までの各社の想定為替レートは、105円と110円が多かったです。このように想定為替レートは、5の倍数の数字となるケースが多いです。また想定為替レートは、企業業績を左右する重要な数字ですから、東京商工リサーチ、時事通信社、各新聞社などのホームページにしばしば取り上げられます。また、検索エンジンで企業名と想定為替レートを検索すると、その企業の想定為替レートの記事が見つかることが多いです。
大多数の企業の想定為替レートより円高になると輸出企業の業績悪化が予想されるので、日経平均株価は下がります。逆に、想定為替レートよりも円安になると為替の値動きは日経平均株価にあまり影響しません。
さて、ここで執筆時点までの1年間の各種チャートをご覧ください(チャート①)。このチャートを見ると、米国のダウ平均株価が日経平均株価に強く影響し、連動していますよね。チャート①の赤い四角で囲んだ今年1月以降の時期に米株が歴史的な急落、乱高下をしましたが、日経平均株価が連動した動きを見せました。これが国際経済の不安材料となり円が買われ、円高に動きましたね。つまりこの時期は、先ほど説明したのとは逆に株価が先に大きく動き、その影響で為替が動かされた形です。
これまでに見せた仮想通貨の値動き
私は仮想通貨にも投資していますが、昨年は仮想通貨の中で最も取引高が大きいビットコインがテレビ、新聞で繰り返し大きく報じられました。チャート②の上側はビットコイン円の1年間の値動きです。
2017年の初頭に10万円程度だったビットコインは、100万円の大台を突破してから上げ足が速くなり、あっという間に200万円を超えました。このような急な上昇は、日本のバブル絶頂期の株価の値動きに似ているように見えますね。そして220万円を超えた直後に急落しました。これは海外のビットコイン取引規制などのネガティブな報道の影響とされていますが、急落の本当の原因は安い時期からずっとビットコインを持っていた多くの投資家が、急騰の直後に利益確定のために一斉に売った結果でしょうね。
昨年1年間でビットコインより大きく値上がりした仮想通貨は多く、イーサリアムという仮想通貨は85倍、リップルは何と299倍になりました。ビットコインのように投資家が多く流通量も多い通貨は、ある程度はチャートから値動きを予想できます。チャート②のオレンジの直線のように、ビットコインの値動きには右肩上がりのサポートラインが引けます。このサポートラインから分かるように、ビットコインは長期的にはまだ値上がりを続けています。
個人的にはビットコインはこのサポートラインから反発し、上昇に転じる可能性が高いと予想しています。その一方で、もしもサポートラインを下回るならば、さらに大きく下げる恐れがありますから、常にチャートに注目しています。
チャート②を見ての通り、昨年の秋にビットコインが急騰し、その後乱高下していた時期は下側の日経平均株価とは全く異なる荒い値動きでした。しかし、破線で示した日経平均株価の急落以降は、ビットコインは株価と連動性が出たように見えます。
今後の仮想通貨への投資戦略は?
世界各国の当局が仮想通貨への規制を強化しており、その影響で多くの仮想通貨の相場心理が弱まり、最近は値下がりしていますね。日本の金融庁も仮想通貨の取引業者に対して立ち入り調査をし、指導しています。この一連の動きは、仮想通貨の値動きには一時的にマイナスになりますが、長期的には業者を健全にするでしょう。
仮想通貨は、まず余裕資金の一部を投資し、値下がりしたらさらに少しずつ買い足し、コツコツと積み立てる戦略をお勧めします。
※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです
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