トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
米ドル/円は7月29日に開催される日銀金融政策決定会合待ちの展開です。ヘリコプターマネーに対する期待感が下値を支えており、短期的なモメンタムはリスクオンに変化しています。
しかし、ここから上抜けるには材料出尽くし感が否めないほか、日経平均は6日続伸、ダウが史上最高値を更新するなど、株価にはやや行き過ぎ感もあり、このままリスクオン一辺倒にはならないと見ています。
とはいえ、明確な下げ材料も見当たらず、米ドル/円は来週のビックイベントまで106円を中心にレンジ相場になりそうなイメージです。積極的に売買する雰囲気でもないので、ボックス内で慎重に逆張りするか、もしくは売買せず静観し抜けた方向に付いて行っても良いのだと思います。
今週から来週にかけて一目雲を上抜けるか?
テクニカル面でも、方向性を示す一目均衡表の基準線は横ばいとなっており、米ドル/円が底入れして上昇トレンドに変わったと考えるのは時期尚早だと思います。
買い方としては今週から来週にかけては右肩下がりの形状となっている一目雲を上抜けられるかどうかが月末にかけてのポイントでしょう。
また、レジスタンスとして今年に入りことごとく跳ね返されている75日移動平均線(黄線)が107円に位置しており、中期的なトレンドチェンジを達成するにはここを上抜けられるかが焦点となります。
一方下値は7月8日に一時100円を割れてからの上昇スピードが速かっただけに一旦下押しが入る可能性もあります。調整的に下落に転じた場合、今週の安値105円がサポートレベルとして意識されますが、下抜けると一目転換線がさしかかる103.50円レベル迄はありそうです。
週末にかけてのイベントでは明日のECB理事会ぐらいでしょうか。今回は金利の据え置きが予想されておりますが、記者会見でドラギ総裁が追加緩和に言及するかどうかに注目が集まります。会見では将来的な追加緩和に含みを持たせるほか、利下げスタンスが強調されるような内容を予想しています。
ドル円の売買比率は均衡
売買比率を見ると米ドル/円はショートポジションが46%、ロングポジションが54%とほぼスクエアの状態ですが、米ドル/円はロングポジションに偏る傾向にある通貨ペアなのでショートポジションが目立っていると考えられるでしょう。
理由として円の先高観を期待して104円、105円台のショートが多いようですが、裏返せば同水準のショートポジションは含み損を抱え、なかなか決済ができない状況です。こうなると評価益がプラスになった時に買決済する参加者が多くなるため、105円前後はショートカバーが散見して底堅くなると見ています。
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