トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
ドル円の上値攻略も簡単ではない
トランプ大統領の「ドル高けしからん」発言もどこ吹く風で、米中貿易交渉が合意に達するのではと言った楽観論からマーケットはリスクオンです。さらに米10-12月期GDP速報値やISM非製造業総合指数といったあしもとの米経済指標が高水準だったこともドル円上昇の要因といえるでしょう。
しかし、開催中の全国人民代表大会や、今週末3月8日(金)の米雇用統計を見極めたいとの思惑もあり、ドル円は112円には定着することはできませんでした。実際、トランプ大統領は「合意内容が適切でなければ協議を決裂させる」としており、先の米朝首脳会談を見る限りその可能性も捨てきれません。
マーケットは米雇用統計待ち
今週末の米雇用統計次第で状況は変わりますが、ドル円は112円前後での上値追いに抵抗があります。深い押し目があるならば、拾っていくぐらいが安全かもしれません。また、テクニカル面でも昨日は長い上ヒゲを付けているほか、4時間足や日足のRSIも下方向へのダイバージェンスが確認されています。今はドル円の上昇トレンドが本物であるか見極める時間帯だと割り切って米雇用統計を待つべきなのかもしれません。
さて、注目の米雇用統計ですが、現時点でのコンセンサスは、雇用者数変化が+18.5万人、失業率が3.9%、平均時給が前年比+3.3%と申し分のない数値が並んでいます。あしもとの米経済指標が堅調なだけに米雇用統計がポジティブであれば強い米ファンダメンタルが再確認されシンプルにドル高の流れが加速すると考えています。一方、数字次第ではありますが、ネガティブな結果になれば、一時的にはドル高エンジン停止となり、次の材料探しが始まるでしょう。
ブレグジットも大詰!ポンドはどこに向かうのか
イギリスのEU離脱が3月29日に迫るなか、ポンドの神経質な動きは続いています。まず、来週3月12日のEU離脱案が英議会で承認されるかが焦点です。承認されない場合は「合意なき離脱」か「離脱期限の延期」を議会に問うことになります。現実的には「離脱期限の延期」といったシナリオが濃厚ですが、局地的には要人発言に振らされる展開となるでしょう。
昨日も英国サービ業PMIが51.3と予想の49.9を大きく上回り上昇したものの、数分後に「コックス英法務長官とバルニエEU主席交渉官との会談は進展なし」との報道が伝わるとポンドは一転急落いたしました。もはやファンダメンタルは関係なく、ブレグジット報道の打ち合いになっています。ここから先はさらに神経質な展開が予想されるため、ポンドを取引する場合、ボラティリティから身を守るため、資金管理、ポジションサイズには細心の注意が必要となるでしょう。
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