FXの本質を理解する
こんにちは、いいだっち先生です。前号までは5回にわたって移動平均線を使いこなすための方法を具体例を挙げて解説してきました。
今号からはいいだっち先生が一番伝えたかった本質を書いていきたいと思います。
①FXを始めたときに誰もが思うこと
いいだっち先生がFXを始めるときに思っていたのは「FXなんて上がるか下がるかの50%なんだから、ちょっとでもうまくいけば50%以上になるだろう。」だから簡単に儲かるのだと都合良く考えていました。そして多くの方が同じく上がるか下がるかの50%だと考えていると思います。実際問題として、この間違った考え方を指摘して啓蒙する人はほとんどいません。
②なぜFXはこんなにもやめる人が多いのか?
仮にトレードの成功率が50%だった場合、説明がつかない現象があります。それはFXで勝ち続けられる人があまりにも少ないということです。
少し昔のデータですが、某FX会社の調査では1年後も継続して取引をしているアクティブな口座は10%〜15%だったというデータがありました。口座を他へ移行した場合もあるでしょうが、8割以上の人がFXトレードを1年以内で諦めるという状態を表していると思います。
例えば、パチンコの勝率は一般的に3割〜4割といわれています。嗜好(しこう)性のある遊びも兼ねてでしょうが、勝ち負けを繰り返しながらもずっと継続して楽しんでいる人は多いと聞きます。パチンコとFXトレードはもちろん違うので比較には適さないかも知れませんが、大事なのはFXトレードを断念する人の大半が「勝てる気がしなくなる」という点でしょう。パチンコは「たまに勝てるときがたまらない」といって総合的にマイナスでもやめられない人も多いのです。
③トレード本来の勝率
本当にFXトレードの勝率が50%だったならば、1年以内に8割もの人がやめていくという現象は起きません。たまに3割〜4割でも大きく勝てるならパチンコやスロットのような嗜好性の違いはあれど、資金が増えるときのアドレナリンや興奮は似たようなものがあり、やめられないでしょう。
つまり、ほとんどの人がたまにすら勝てないほどの難しさを感じて断念していることになります。このことから、本来のFXトレードの勝率は3割以下といえます。
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④トレードは本当に上がるか下がるかの2択なのか?
よくインターネットの掲示板やSNSなどで「私、上がるっていいましたよね?」などとドヤ顔で書き込みをする人が散見します。または予知能力者のように振る舞い、当たったときだけこれ見よがしにアピールする方をよく見かけます。
しかし、皆さんはトレードでせっかく上がると見込んでポジションを持ったにもかかわらず、利益が出ていた期間はわずかで、あっという間に含み損へ転落したという経験がありませんか? いいだっち先生は数えきれないほどたくさんあります(笑)。これは上がるのか下がるのかという見込みは途中まで合っていたのですが、利益確定のタイミングを誤ったために起きた事象です。
トレードとは決済をして初めて完了するのです。エントリーでロング・ショートの2択をしても、利益が出ている間に決済をしなくては利益にならないのです。つまり上か下かの判断の他に「利益が出ている間」というタイミング(時間軸)の判断も必要であり、その判断も含めればトレードの成功率は50%ではないと結論づけられます。
⑤本当の勝率は?
では本当の勝率は何なのでしょうか? トレードは上か下というタテ軸だけではないということをお話しました。そして、利益が出ている間という時間軸(ヨコ軸)も問題となるのです。利益が出ている間というのは、短いときもあれば長いときもあり、このタイミングを見計らうのが非常に難しいのです。タテ軸とヨコ軸という問題で考えれば、大きく見積もってもトレードの勝率は25%といえます(画像参照)。
トレーダーはこの根本的な仕組みを理解してトレードと向き合うべきでしょう。そうすれば上がるのか下がるのかという低レベルな話題に振り回されず、自分のトレードに集中できると思います。多くの人がエントリーだけに注力していて、「利益が出ている間に利益確定する」というトレードにおいてもう一つの重要な要素である決済を軽視してしまっているからトレードで勝ち続けられないのです。
※この記事は、FX攻略.com2021年4月号(2021年2月20日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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