今年1月の欧州中銀(ECB) 金融政策会合で国債購入を含む量的緩和策(PSPP)が発表されました。そして、先週月曜日の3月9日から、実際にECBと加盟各国の中央銀行が国債購入を実行に移しました。ブルーンバーグなどの報道を読む限り、初日の9日には、ベルギー・ドイツ・フランス・イタリア、そして、スペイン5カ国の10年物国債が購入されたようです。個々の取引規模は、せいぜい1500万〜5000万ユーロと推測されていました。
PSPPの規模
ECBの量的緩和策は、2つに分類されており、合計して月額600億ユーロの購入を、少なくとも2016年9月まで継続することになっています。2つに分類された最初のカテゴリーは、「資産担保証券(ABS)とカバードボンドの購入」となっており、600億ユーロのうちの100億ユーロ分が、毎月購入されます。2つめのカテゴリーが「国債と機関債の購入」となっており、600億ユーロのうちの500億ユーロが充てられます。この500億ユーロの12%に当たる60億ユーロは、機関債の購入となり、差し引き440億ユーロが純粋な国債購入額となります。
1カ月を20営業日として、440億ユーロ分の国債を買い上げるためには、1日平均して22億ユーロ、1週間で110億ユーロ分の購入を継続しなければ目標が達成できません。果たして、ECBや加盟国の中央銀行はこの数字に基づいて真面目に購入しているのでしょうか? それを知るためにも、今週月曜日の午後に発表されたECBのQE残高(3月13日までの分)は参考になりました。
データ:ECBホームページ
この数字の見方を簡単に説明しますと、最初の2つ「ABSとカバードボンド」は、昨年秋から購入が開始されていますので、そのときから先週3月13日までの累計額です。それに対し、一番下の「国債・機関債」の数字は、開始されたのが3月9日なので、先週一週間の数字です。
月額440億ユーロ分の国債を購入しなければならないのに、最初の一週間で機関債も含んだ額が、100億ユーロに満たないとは、少し残念な結果になったと私は理解しています。ただし、とりあえず最初の週ですので、手探りでマーケットのリアクションを感じることに集中し、少しづつ感触がつかめてきたら購入額を増やす気なのかもしれません。
QE=通貨安なのか?
ECBからのQEの詳細発表の頃からユーロ安がすすみ、先週の実際のスタートから一気に下げ足を速めたユーロ。果たして、アメリカがQEを開始したときも、ドルが急落したのか気になって調べてみました。
データ:ECBホームページ
これは、FRBが毎日発表しているドル・インデックス(実効レート)のチャートです。QE1のときは、最初ドルは下がらずに上がっていますが、その後大きく下げました。QE2のときは、実際の開始数カ月前に、バーナンキ前議長がQE第2弾を示唆したため、そのときからずっと下がりっぱなしです。もし、歴史が繰り返すのであれば、ユーロという通貨も、QEが続く限り、下がる可能性が高いと考えてもよいと思います。
ここからのユーロ
先週は、米ゴールドマン・サックスがユーロ見通しを変更し、さらなるユーロ安という相場観を披露しました。
これを受けて、ユーロは下落基調を強めましたが、個人的には下落スピードが少々早すぎるように感じてなりません。市場での噂では、「ECBや加盟各国中銀は、ユーロ圏以外の機関投資家が売却したものを流通市場で買っているらしい、だから、ユーロは売りになる」という説明がされています。これは、ある意味本当だと思いますが、今年に入ってから先週末までに、ユーロ圏外から欧州株式を購入するために流入した資金は、昨年同時期よりも36億ドルも高い356億ドルにのぼっています。ということは、ユーロ圏外の機関投資家が国債を売却したとしても、その資金すべてが為替でのユーロ売りになるわけではなく、ユーロのまま国債から株式に再投資されている部分も大きいのではないでしょうか?
ここからのユーロ見通しですが、先ほどの米国のQE時と同じ動きを想定すれば、今後もユーロ安となることが予想されます。私自身も、「ユーロ/米ドル」がパリティ(1.0000)に届くのは、「もし」から「いつ」に時間軸が変更されたと考えております。一部のアナリストは、早ければ3月末までに、パリティに到達するという予想を出しているようですが、私はちょっとそこまで早い達成は予想しておりません。
チャート:ECBホームページ
これは1999年にユーロが誕生してからの実効レート推移です。先週水曜日に、90.0174という安値をつけ、現在は、90.1031で推移しています。私自身は黄緑の横線がある91レベルでいったん下げ止まり、少し戻してから一気に90まで下落すると予想しておりましたが、あっけなく91は抜け、いきなり90台到着です。
チャート上にオレンジの丸をつけた2カ所の値動きを見ていただきたいのですが、両方とも一気に上昇/下落しているのがわかります。それに対して、90より下のレベルは、何度もいったりきたりを繰り返しています。
私自身は、ここから実効レートが90を割れたとしても、今までのような一直線の落下ではなく、下がったと思ったら上がり、まだ上がるのかと思わせといて、そこから下がるという動きを繰り返していくのではないか? と予想しています。 ただし、「ユーロ/米ドル」を取引するには、ドルの動きを当然気にしなければなりません。もし、水曜日のFOMCで、ドル高に対してとくに言及がなかったり、現在100のレベルまできているドル・インデックスがこのままスイスイ上昇していくようなことにでもなれば、ユーロ実効レートがどれだけ二の足を踏んでも、ユーロに対するドル高が進む可能性は捨て切れません。
それも含め、今週の「ユーロ/米ドル」は、1.03〜1.08というレンジで考え、上がったところを売るというスタンスで臨みたいと考えています。
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