FXではトレンドを的確に見極め、その流れに乗っていく、いわゆるトレンドフォローが基本戦術となります。とはいえ、実際の取引においてトレンドにしっかり乗ることはそう簡単ではありません。ここでは水上紀行さんに、トレンドを看破するためのテクニックを解説していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです
テクニカル分析からのアプローチが大切
相場がレンジ相場からトレンド相場に転換するときの予兆は、値動きが極端に収斂してくる(集まってくる)ことです。逆にトレンド相場からレンジ相場に転換するときには、値動きが極端に激しくなります。いずれの予兆も、相場転換を見極める上で忘れてはならないポイントです。
さて、レンジ相場からトレンド相場への転換の予兆が収斂だと説明しましたが、それをより明確に知るのに以下のような分析法がありますので参考にしてください。
まず、複数の移動平均線の収斂です。私は通常、5、10、25、90、120、200日の移動平均線を、期間にかかわらず見ています。このうちの3本ないし4本が収束してくると、トレンド相場への転換が近いことを示唆します。特に該当の移動平均線同士が接近してくると、動くタイミングが近づいていることをさらに示唆します(チャート①)。
この方法では転換のタイミングより前に予兆が現れるケースが多く、前もって身構えることができるのが良い点です。ただし、転換のタイミングをピンポイントで知るのは難しいといえます。
次は、ボリンジャーファイブの収縮でトレンド転換を見極める方法です。ボリンジャーバンドは通常、期間20あるいは21にして、レンジの上限・下限を見るものですが、ボリンジャーファイブでは期間を5(偏差:2)にして、相場がレンジからブレイクするタイミングを見ます。ボリンジャーファイブの上下のバンドがぎゅっと収縮し、かつ上下のバンドが平行になったときが相場が動き出すタイミングで、高い確率でそのときを教えてくれます(チャート②)。
ボリンジャーファイブの良い点は、トレンド転換のタイミングがピンポイントで分かることです。欠点としては、たまにブレイクせずに横ばいが続いてしまうときがあることでしょう。この場合は、その後方向感のない相場になりがちですが、エントリーしていても損益的にそれ程のダメージはないと思われます。
二つのテクニカルを併用して精度を高める
なお、今ご紹介した複数の移動平均線とボリンジャーファイブは相互に補完し合うことができます。使い方としては、まだトレンド転換のタイミングが迫っていないときに複数の移動平均線の収斂から転換が遠くない将来に訪れることをまずは察知。そしてタイミングが迫ってきたら、ボリンジャーファイブでピンポイントのタイミングを予知します。
あえて申し上げますが、相場が動き出すタイミングを察知することは大変重要です。相場へのエントリーがそのタイミングより遅くても早くても、うまくいかないからです。きちんと波に乗れてこそ、収益獲得のチャンスが現実のものとなります。
しかも、相場が動き出すタイミングは想像以上に遅く、実際にそうなるのに時間が掛かります。よくあるのは、相場のフィーリングが湧くと、いても立ってもいられなくなり、すぐに相場に飛び込んでしまうパターンです。そうして飛び込むのは一人だけではなく、かなりのトレーダーが同じようなフィーリングを抱いて飛び込んできます。そのため、マーケットは一気に売り過ぎ、あるいは買い過ぎ状態となり、そうなると後は相場の反転が起きるだけです。この反転が、俗にいう「相場のアヤ」というわけです。ですから、今回ご紹介したような分析法を使って、相場が動き出すタイミングをピンポイントで待てるようにしなければなりません。儲かるか儲からないかの分かれ目は、ここにあるといえます。
ファンダメンタルズ分析の役割とは?
ここまでにお話しした分析法はテクニカル分析からのアプローチであり、私情を交えずにできるものと思いますが、なぜそうなるかを裏付けるのはファンダメンタルズ分析です。相場が先にあって理由が後からついてくると個人的には思っていますが、それでもやはりなぜそうなるかという客観的な理由があると、自らの考え方が補強されることは確かです。
また、きっかけになり得る題材を相場は欲します。例えば題材としては、金融政策であったり地政学的リスクであったりします。そうした題材の中からテーマが決まり、そのテーマに合致してマーケットも納得するエクスキューズ(言い訳)が出てくると、俄然相場に活気が出てトレンド相場を形成し始めます。マーケットが一方向への熱狂を持つことがトレンド相場を作るわけです。
ファンダメンタルズ分析は、複数の移動平均線の収斂やボリンジャーファイブといったテクニカル分析のような具体的なアプローチではありません。しかし、ファンダメンタルズによる相場への理論武装ができてこそ、躊躇することなくトレンドに飛び込むことができるのだと思います。
※この記事は、FX攻略.com2018年1月号の記事を転載・再編集したものです
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